1話 バイトの力を舐めんなよ?
俺は久永 霧斗24歳の男である。大学を卒業したは良いのものの就活に失敗し、フリーターとして"ペコペコ"西東京店で働いているバイトだ。
「ええっと、今日のシフトは9時から25時までと…あれ?明日の朝7時のキッチンの尾上さん休みじゃなかったけ?」
バイトのシフトも組み、他店舗の応援にも行かされるぐらいには偉い地位にいるバイトである。
「はぁ、流石に12連勤は身体が持たねーよ」
休みになってはいるが人がいないので給料が付かないのに出勤している程度にはお人好しであり責任感が強い俺ではあるが流石に睡眠時間が足りない週に15時間とかアホか!と言いたくなる。
「久永さん、ハンバーグ250の奴今日廃棄なんですけど、30個あるんですけどどうしましょうか?」
「多分はけないから、バーグ150で使う商品をサービスと言って大きくしますってお客様言ってくれない?本日のみのサービスって言ったらなんとかなるから」
「久永君、盛り付けやってもらっていいかな?鉄板側のオーダー入り過ぎて盛り付けの余裕ないの!」
「それサラダ場の人に頼のむの無理なの?見た感じデザート類入ってないからサラダ場の人にやってもらって」
「久永さん4の3卓、別れ話してますけどどうしましょう?」
「別れ話してんの?何それ面白そうだから後で聞かせて、んでその卓俺が担当するから他の卓でオーダー取ってね」
「久永君、新メニューの食材なんだけど置く場所どうする?」
「店長それぐらい自分でやってくれません?とりあえずサラダ場が今回楽だからサラダ場のとこで盛り付けできる場所に用意したらいいんじゃないです?」
こんな具合で俺はバイトの癖して店長に意見を言ったり他のアルバイトやパートのおばちゃんに指示出ししている。
アルバイトだから社員より楽ということは皆無であるむしろ社員の方が楽して俺より給料高いのにイライラするくらいだ。
さてこんなアルバイトの俺ではあるが高1からオープンスタッフとして働き続けている。
シフトが組めないと店長がほざいたせいで俺がシフトを組む事になったりおばちゃん共の急な休みに対応したり、新しく雇った新人も次の日ドロンする対応をしたりと大変だったのが丁度就活の時期と重なり就職を逃してしまったのだ。
「ハァ、就職してーなぁ定時で上がれる仕事がしたい…」
モクモクと浮かぶ煙を吐きながら喫煙室で一人ボーとしている自分は一体何なのだろうか?
ピンポンと言う呼びベルの音に合わせて灰皿にタバコを押し付け営業スマイルを作りホールに出る。
「大変お待たせいたしました。ご注文はお決まりでしょうか?」
マニュアル通りの接客をしながら今日も働く。それを見ていた店長が頷いて満足そうにしていた。
(あれ?俺このままじゃ就職この店になんねー?)
ふと考えた時にそれはダメだと思った。絶対にそれはダメだ。
(明日来る新しい子を鍛えあげぬいてとりあえず就活しよう)
決意を胸に秘めながら自分で取ったオーダーを自分で作り始めた。
その姿を見た休憩中のアルバイト達は久永の事について話し始めた。
「久永さん、働き過ぎじゃね?今休憩中だよね?」
「社員が働かないからねーこの店、久永さんが一人で何でもしちゃうから、その内過労死しちゃうんじゃない?」
「やっぱりすげーな久永さん、俺には絶対無理だわ。新メニューも完璧に手順も量も覚えてるし、俺なんかまだカンペ見ながらやってる品あるのに」
「そうよねー、私もデンモクの位置変わってよく分からないところあるけど、それすら完璧に覚えてるからねー」
「「何でバイトなんだろう?ここに就職したらいいのに…」」