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「"戦乙女の宿木"亭」にて~聖ノルウェン王国周辺地理~

いきなり『第七魔導小隊戦記』の世界に飛ばされた「君」。


向かった先は勿論・・・?


※『第七魔導小隊戦記』を読んだほうが話が分かりやすいと思います。

「君」が向かった先は、「"戦乙女の宿木"亭」。


カインの実家にしてアークやキイス達が滞在する場所である。



・・・・・・「君」は、走りながら分かったことについて頭の中で整理していた。


どうやら、自分が『第七魔導小隊戦記』の世界に飛ばされたこと。


言葉は、何となくだが分かるような気がすること。


方角表示は、自分たちが使うものと同じであること。


数字や単位、時間概念などは変わらないこと。(これは確か「あらすじ」に書いてあったはずだ)



何度か迷いながらもようやく辿り着いた"戦乙女の宿木"亭からは、いい匂いが漂ってくる。



「君」は、一瞬躊躇したが、意を決して扉を開いた。



「いらっしゃい。・・・おや、見慣れない出で立ちだね」


旅の人かい?


と、器用に調理器具を操りながら此方に訊いてくる女性。


この人がティナ・ソリダスターだろうと確信すると同時に、「君」は、言葉はどうにかなりそうだ、と一先ずは胸を撫で下ろす。



旅の人、という表現はあながち間違いではないので、頷いておく。



「まあそんなとこに突っ立ってないで座りなよ。今は朝早いからまだうるさい奴らも居ないし」


カウンター席を勧められたので、「君」は素直に革張りの椅子に座った。


目の前に水とお絞りを出されたので、聞きたいことは山ほどあったが、取り敢えず「君」は手を拭き、水を一口飲んだ。



「で?何所から来たんだい?」


一通り仕込みや店内の掃除などを終えたらしいティナが、「君」の目の前に立つ。



ここで「君」は逡巡する。


正直に事の次第を話すか。


それとも


何かを咄嗟にでっち上げるか。



・・・・・・でっち上げたところでいつボロが出るかわからない。


そう思い至り、「君」は正直にここに至る経緯を話した。・・・・・・勿論、この世界のことが小説になっていることは伏せて。



* * * * * *



「・・・成程。つまりはこの世界じゃない何処かから理由もわからずにここに来たってことなんだね?」



相当荒唐無稽な話ではあったが、案外ティナはすんなり話を信じてくれた。


「となると路銀も何もあったもんじゃないね。・・・・・・よし。どうにかこうにか帰れるようになるまで、「戦乙女の宿木亭(ウチ)」で働きなよ。(まかな)いも付けるしさ」



話を信じてもらった上に、仕事までくれるとは。



「君」はティナの申し出を感謝とともに承諾した。



「そうと決まったら、まずは仕事を覚えてもらわないとね。宿の退出手続期限は午前10時だから、最初の仕事はそれになるよ。そのあと食堂兼居酒屋が午前10時30分から午後11時30分まで。で、宿の入室手続は午後3時からだ。ま、やりながら慣れていってもらえば大丈夫だから」


気楽にいきな。



そう言うと、早速ティナは「君」に仕事を教えてくれた。



* * * * * *



午後3時過ぎ。


「君」は宿の入退出管理と食堂兼居酒屋の「昼の」ピーク時間を何とか乗り切り、食堂の掃除を任されていた。


"戦乙女の宿木"亭は存外奥行きがあり、其処彼処(そこかしこ)に様々なものが置いてある。


その中の一つ、壁に掛けられた地図を「君」が見ていると、



「そういやこのあたりの地理を教えていなかったね」



後ろからティナに声をかけられた。


慌てて振り向くと、

「・・・朝から働いて疲れたろ。ここらで休憩しようか」


ティナは「君」の手から箒を取り、片付けた。


「この地図は昔流れ者で測量技術のある魔導剣士が置いて行ったものでね、王立地理学院が写本を取らせてくれって頼みに来たこともあった」



そう言うと、ティナは地図の真ん中あたりにある、長方形に近い形の領土を指さす。


「・・・これが、今あんたの居る国、聖ノルウェン王国。この南寄りにある赤い点が此処首都のファリアだ」


そのままティナは指を左に滑らせる。左側には、横に長い形の領土が描かれていた。広さは聖ノルウェン王国の4倍ほどであろうか。


「こっちが、「西の大国」ラッカメディア共和国。現在は聖ノルウェン王国と戦争中だ。・・・このラッカメディア共和国の海沿いにあるのがアリア自治区。ラッカメディアの属国だったが、50年ほど前に自治権を獲得した」


確かに、ラッカメディア共和国の領土が、点線で半分に仕切られている。


次に、ティナは聖ノルウェン王国の右側の、正方形の上部に三角形を足したような形の領土を示す。広さは聖ノルウェン王国よりは大きいが、ラッカメディア共和国よりは小さそうだ。


「こっちは「東の強国」オークヴァーン帝国だ。こっちの国とも聖ノルウェン王国は戦争している最中ってことになっている」



そのままティナは聖ノルウェン王国の上方、聖ノルウェン王国と北側で隣接する山脈の上側を指さす。そこには、東西に長い領土が描かれていた。長さはラッカメディア共和国よりもあるが、恐らく面積は聖ノルウェン王国とあまり変わらないであろう。



「このドラグリエーナ山脈の北側にあるのがネーベル連邦。聖ノルウェン王国とは友好国だけど、ラッカメディア共和国とは国交が断絶しているし、オークヴァーン帝国とは過去に何度か争っている。・・・この国より北側に人間は住んでいないって言われてるけど、定かじゃない。この流れ者もネーベル連邦より北は行ってなかったみたいだね」




ティナは一度水を飲むと、再び話し始めた。・・・どうやら人に何かを教えるのが好きらしい。


今度はラッカメディア共和国よりも左側、少し南方に曲がって半島化している部分を指さした。面積は聖ノルウェン王国の2倍ほどだろうか。


「で、ここが神聖テーヴェ教会統治区域。神聖テーヴェ教についてはまた後程詳しく話すけど、まあ聖ノルウェン王国の親分が住んでいる所だ。この教会に認められないと、国名に「神聖」とか「聖」って付けられないんだとさ」



神聖テーヴェ教会統治区域よりも西側はあまり詳しくは書かれていない。恐らくネーベル連邦の北側と同じような理由だろう。


次にティナはオークヴァーン帝国よりも東に引かれている真っ黒な縦線を指さした。

「で、此処が「嘆きの壁」っていうかなり高い絶壁。これより向こうにも人は住んでいるらしいけどその壁を頂上まで登った人間は少なくともこちら側には居ない。噂じゃたまに海流の関係で「嘆きの壁」より東から漂流してくる人がいるとか」



真相は定かじゃないけどね。



ティナさんはそう言って立ち上がった。


「ま、ざっとこんなもんだろ。・・・それじゃ私は今から買い出しに行ってくるから、此処の店番、お願いね」



「君」は頷いた。



本編に出てきていない国名まで出してしまった・・・。

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