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maximum online  作者: ノイサジイマ
第一章 maximum online
6/9

5

《始まりの町》帰った俺達は、そのあしで、ギルド案内所へ向かった。

木造建築の大きな家の入り口に『ギルド案内所』と書かれた大きな看板がつるされていた。

中に入ると、がやがやと騒がしかった。ここは、ギルド創設をするのとギルドに入れてもらいたいプレイヤーがギルドを探すためここに来ているのだそうだ。ちゃっかり店の中で飲み物や食べ物を売っちゃってるプレイヤーもいる。

まっすぐ奥に向かって歩いていったアイカは、カウンターの向こう側に立っている、女性NPCに話し掛けた。

「ギルド作りたいのですが。」

「ギルド作るには、2人以上いないとダメよ。」

外見も、話し方もかわいいNPC。

アイカは俺を、ちょいちょいと、手でこっちに来るように合図した。

「あら、もしかしてあなた、《始まりの草原》とこの町の境目に立っているNPCを拗ねさせたっていう、2人?」

「えぇ、たぶん。そうだと思います。」アイカは、ちょっと困ったような顔で答えた。

「あぁ、そうそう。ギルド作りたいんだったね・・・・名前は決まっているのかしら?」

「あ、いえ、まだです。」

しまったという顔をして、アイカはこっちを振り向いた。

「名前、何にする?」

名前は大事だ。俺達は、最強になってこの世界に閉じ込めた奴を倒したという、称号を得るのだから、名前はかっこいいのにしなければならない。

「なぁ、円卓の騎士団ってのはどうだ?」

「だめだめ。そんなどこにでもあるような名前じゃダメ。」

アイカは、考えるそぶりもみせないで、ダメだしした。

「なぁ、5神ってのはどうだ?俺達、5神の中の2神を倒しただろ?そいで、後の3神を倒す予定だから5神。そいで後、3人仲間に入れたらいいだろ?な?」

自分の中では、最高の名前だった。

「う~ん。名前がいまいちだし。理由もわかりにくい。でも、まあいいかもね。じゃ、名前は5神にします。」

最後の部分は、俺達のやりとりをみていたNPCに向けたものだ。

「あら、もしかしてあなた達、5神を倒したの?」

「そんな、たまたま見つけただけで、それに倒したのは、まだ2神だけだし。」

「それでもすごいじゃない。それじゃ、ギルド作るよ 」

そういうとNPCは、自分のメニューを呼び出し、なにやら操作した。

たぶんこのNPCは、ギルド作成用に創られたNPCなのだろう。

「はい。これで君達のギルドが出来たよ。仲間を入れるには、マスターである君達のどっちかが、ギルド加入メールを送ればいいからね。」

それじゃぁ、といって手を振っているNPCに、ありがとうといってから、カウンターを離れた。

俺達は、店の中でうろついているプレイヤーを勧誘することにした。

<盗賊>を職業にしている女性プレイヤーは3人見つかった。

一番初めに声をかけた女性プレイヤーは。

「はっ。所属人数2人?あ~だめだめ。そんなザコのギルドなんかに入るわけないし。」

2番目に声をかけたグラマーなお姉さんは。

「あらぁ。あなた達、私をギルドに勧誘したいの?ギルドの名前は・・・・5神?ふふふふふふ。ごめんなさい。ついおかしくて。私が入ると、18禁のギルドになっちゃうわよ?」

俺は、大歓迎だったのだが、アイカは、じゃあいいですと言って俺を引っ張って離れていった。

最後に声をかけたプレイヤーは。

「所属人数2人?だめ。」

即答だった。

3人に断わられてしまった俺達は、店の掲示板に<盗賊>の女性プレイヤー募集と書いて、店の中で昼ご飯を食べて待っている事にした。プレイヤーから買った、おにぎりは児童福祉施設の先生が作ってくれる物とよく似ていた。

後から買った、お茶をちびちび飲んでいると、視界の隅にこっちを見ている女性プレイヤーが目に入った。

まだ俺達と同じぐらいの年齢で、気の弱そうな顔をしている。

俺が振り返ると、女性は目をそむけた。

ふむ。もしかしてあの子は、俺のことが好きなのではないか?よし。あのこの所へ行ってやる。

「ねぇ、カズキ君が見つめてる子、<盗賊>じゃない?」

なんだ。俺のことを好きな奴はいねぇのか。俺はてっきり、マキシマムオンラインの一大事かと・・・・・俺がだまされただけか、まったくいい人生だった。

アイカは、女のこの所へ歩いていく。俺もその後をついて行く。

「あの、すいません。職業は何ですか?」

「わ、わ、私は、<盗賊>です。すいません。」

やばい。マジでかわいすぎる。

「何で謝るの・・・もしよければ、ギルドに入りませんか?」

「えっ?いいんですか?私、この世界に閉じ込められてから怖くて外にも出れなくなっちゃって、やっと外に出れたと思ったら、こんな年だから仲間に入れてもらえなくて。」

半分泣いていた。この子はたぶんたくさん苦しい思いをしたのだろう。

「それじゃぁ、加入メール送るね。」

そう言ってアイカは、なにやら操作した。

女の子はメールを開き、加入ボタンを押した。

「それじゃ、これからよろしく。え~っと、名前聞いてなかったね。名前は?」

「私は、西村幸恵といいます。あ、この世界では、ユキエです。」

な―――――。女の子の名前は俺が5歳の時に死んだはずの妹の名前だった。


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