とある陛下の嫌われ日和
「喋れるようになりました」のイケメン視点です。
私の愛しい愛しいオディーリア(私命名)が喋れるようになってから何故か私に容赦がなくなった。
執務が面倒になって手を止めてオディーリアを撫でまわしキスをして抱き締めて頬擦りしているとオディーリアからキツい言葉をもらった。
「陛下、執務してください。離婚しますよ」
「!?」
酷い!!オディーリア!!なんでそんな辛辣なの!?
私は泣く泣く執務をやる。
オディーリアに色々とバレてからオディーリアは宰相に教えて貰うことが多くなった。
「王妃様、本来結婚に年齢は関係ありません。しかし、大体は十五歳以降になります」
「だよね。じゃないと、子作りできないもんね」
オディーリアと結婚している事がバレてから宰相はオディーリアにフォローを入れる。
私とオディーリアは夫婦だから隠し事はダメだろうと思って言ったのが不味かったらしい。
だって、オディーリアには隠し事したくないもん!!
でも、宰相と仲良くしないで!!
私の心境を知らずにオディーリアは宰相と仲良く話す。
「いえ、子供はお互いの魔力を練り合わせてできるので子作りはできます」
「!?」
宰相の言葉にオディーリアが驚いている。
この世界では子供は女性の腹から生まれるのではなくお互いの魔力を練り合わせて作る卵から生まれる。
しかも生まれるのに時間がかかるため、捨てられる事もしばしば。
でも、そのお陰で私はオディーリアに会えたんだけどね!!
宰相の言葉を聞いて驚いたオディーリアが私の方を向いた。
私はにっこりとオディーリアに笑みを向けて言葉を紡いだ。
「子供なら既に作ってあるよ。私とオディーリアの子ならとても強い子が産まれるだろうね」
オディーリアの顔が驚愕にそまった。
?どうしてだろうか?
前世の……オディーリアのお腹には宿ったばかりの子供がいた。
生まれてくるはずだった子供がオディーリアと一緒に殺されてしまった。
だから、私は新たな生を三人で歩みたかったのだけれど……オディーリアは違うのだろうか?
私が内心で首を傾げているとオディーリアが叫んだ。
「卵!!どこにあるんですか!?」
「保育室だよ」
「触るな、バカ陛下!!」
「オディーリア!?」
オディーリアが私に暴言を吐いて執務室を出ていってしまった!!
城の中を知っているとはいえ、一人で歩くのは危険だ。
私がオディーリアの後を追おう立ち上がると宰相にため息を吐かれた。
しかし、今はオディーリアを追うのが先だ。
私は宰相を無視して執務室を出ていった。
卵が安置してあるのは私が厳重な結界を施した保育室。
私とオディーリア以外は入ることができず、部屋には卵が成長するための魔力を供給する装置が置かれている。
私は卵を作ってから毎日膨大な魔力を補給していた。
それでも今はまだ鶏の卵くらいの大きさな私達の卵。
しかし、オディーリアには少し大きい卵。
たぶん、オディーリアは卵を抱き締めるだろう。
その腕で卵を傷つけぬように持つだろう。
だが、卵は今だ軟らかく少しの衝撃でも割れる可能性がある。
オディーリアが持つことで割れる事が無いよう願いながら私は扉を蹴破られた保育室に入った。
「オディーリア!?」
「陛下なんて大っ嫌い!!こんなところに一人で放置されてるなんて可哀想じゃん!!」
案の定、オディーリアは卵を抱えていた。
涙目で訴えてくるオディーリアは可愛いが卵も心配だった。
常に側に置くとしても裸のままと言うわけにはいかない。
だからと言ってこの保育室から出すと盗まれる可能性も無くはない。
だから、私は困った顔をしてオディーリアに説明した。
「オディーリア、卵は常に魔力を供給しなくては生きていけないんだ。それに卵はオディーリアと同じくらいまで大きくなるんだ。だから、いつまでもオディーリアが持っていると言うわけには……」
「だったら、私がこの部屋で生活する!!そうすれば問題ないよ」
そういう問題じゃないんだよ、オディーリア。
私に威嚇しているオディーリアは可愛いけど、オディーリアに卵を割らせるわけにはいかない。
私はため息をついてオディーリアに提案した。
「わかった。オディーリア、こうしよう。私達の寝室と執務室に卵用のベッドを用意しよう。そうすればオディーリアも安心でしょう?」
「……わかった」
渋々頷いたオディーリアに私は外で待機していた文官に指示を出す。
オディーリアを抱き上げる時に少し卵に触れて保護の魔法と衝撃軽減、魔力供給の魔法をかけて強度を少しでも高くしようとした。
オディーリアも割らないように気を付けているがいつヒビが入るかわからないので念のために各部屋にも施しておく。
その行動力に宰相はため息を吐いていた。
 




