とある陛下の大暴走
「転生しました」と「誘拐されました☆」のイケメン視点になります。
生まれ変わって数千年。
私はようやく、妻に巡り会えた。
ここ数年、片付けるのが面倒になった執務を放り出し、外に出ていた時一つの卵を見付けた。
どうやら生まれるらしく、卵にヒビが入っている。
私は卵が完全に割れ生まれるまで見守るために森に身を潜めた。
卵が揺れながらヒビを大きくして生まれるまで時間はかからなかった。
卵から生まれたのは天使を思わせる容姿をした幼子。
真っ白い翼に耳の後ろにある真っ白い羽根。
たぶん、種族は魔天使だろう。
正式名称、魔法最強魔力底無しの天使。
通称、魔天使。
ふざけた種族名はこの世界の十八番。
余談だが、私の種族は武力最強魔力最弱の魔法族の王だ。
意味がわからない。
最早、魔法族じゃない。
そんな意味不明な世界に妻はいる。
はやく見つけ出さなければ。
と、考え込んでいたら幼子が私を見た。
「!!」
私は幼子を見て感動した。
妻に会えた!!私の**!!
私は嬉しさのあまり森を飛び出して幼子……いや、妻を抱き締めた。
逃げようとしていたのは気のせいだろう。気にしない。
それにしても長かった!!妻に会えるのを期待して探しづつけた甲斐があった!!
嬉しさのあまり、急いで城に戻ってお風呂に入れて着替えさせてキスしまくった。
生まれてまもない**に固形物はキツいだろうと判断してお粥を用意させた。
お粥といってもどろどろのスープ……離乳食みたいなものだ。
だけど、離乳食って言って機嫌を損ねられるのも嫌だったのでスープと言った。
スープをスプーンに少量のせて**の口に持っていくと小さい口を開けて食べた。
「!!」
私の手から食べる**が可愛すぎて仕方ない。
でも、大人しい**に苦笑した。
大方、嫌がると何かされると思っているのだろう。
大正解だけど。
「今度はずっと一緒だよ、**」
私の呟きに**は驚いた顔をして私を見た。
**は私だとわからないのだろう。
でも、**に記憶があるのを確認できた。
なら、こちらのものだ。
固まる**の頭を優しく撫でて抱き締めてキスをする。
あぁ、そうだ。住民票を作らなきゃいけない。ついでに婚姻届も出しておこう。
後、子供も作らなきゃ。
私は**が寝た後に必要な書類を書いて大至急で処理させた。
寝ている**の魔力と私の魔力を練り合わせて卵を作る。
これで**は私からは逃げられない。
これからは常に私と一緒だよ、**。
他の男になんか絶対にやらない。
**に手を出した奴は誰であろうと殺す。
私は決意を新たに**を抱き締めて眠りについた。
主人公を見つけ、前世の死ぬ前が基準となって動いているイケメンにとって結婚も子供も死ぬ前の延長に過ぎません。
と言うより……イケメンに転生した認識がないのかも……?




