とある男の回想
別視点になります。
私の妻が殺された。
この大国の王太子である私の妻が。
嫌がる妻を口説き落として漸く手に入れた私だけの薔薇を。
私の父や回りの愚図共は妻を愚弄し蔑んでいた。
本当にバカで愚かなのはお前達だろ。役立たず共め。
妻のお腹には私との愛の結晶が居たと言うのに……。
「誰が**を殺したんだい?」
「ヒィィィ!!」
国をまとめる大臣と国王を呼び出して問いただした。
だが、恐怖で誰も答えない。
「誰が殺したのかと聞いている!!答えられぬのか!!愚図共め!!役立たずもいい加減にせぬか!!私から愛しい妻を取り上げた報い必ず受けてもらうぞ」
私は殺気を込めて役立たずを睨み付け部屋を出ていった。
向かう先は頭のない女達が集められた部屋だ。
妻に苛めをしていた女達。
先ずは妻を殺した見せしめにあの女達から殺すとしよう。
ニヤリと笑みを浮かべた私は部屋に入っていった。
「殿下!!」
頭のない女達が笑みを向けて私にすりよってくる。
妻が殺されたと言うのに誰も気にしない。
「殿下、妃殿下がお亡くなりになられたことは仕方ありませんわ。運がなかっただけですわ」
この国は王太子妃が殺された事をその程度で片付けるのか。
妻を廃してまで自分が王太子妃になりたいのか。
役立たずの分際で図々しい。
「それなら君達も運がなかったね。私に楯突いたんだから」
「!?」
それから阿鼻叫喚。
関係ないと泣き叫ぶ女達を捕らえ地下牢に入れた。
奴等の親族も同じように私に楯突いたので地下牢にいれた。
そして、妻を愚弄した愚かな罪人も地下牢に入れた。
「ねぇ、**。喜んでくれる?明日は君を愚弄した愚か者共を処刑する日なんだ。私が直々に**と同じ痛みを与えて殺すからね」
ぐちゃぐちゃにされてしまった妻の顔にキスを落とす。
愛しい愛しい私の**。
私も近い内にそっちに行くからね。
私は妻と一緒に眠りについた。
そして、翌日。
王太子による大量殺戮は世界を震撼させた。
王太子はその位を弟に譲り、姿を消した。
これは歴史に残る大事件として歴史書に綴られている。
「あれ?」
あの大量殺戮の後、弟に王位を譲り私は妻と一緒に妻の好きだった思い出の場所に向かった。
そこで妻と一緒に眠りについた筈なのになんで生きているのだろうか?
しかも、卵から生まれたようだ。
……もしかして、この世界に妻が居ると神様が導いてくださったのか!?
こうしてはいられない。妻を探さなくては。
どれくらいの年月がかかろうとも必ず見つけるからね。
私の愛しい**。
それから、数千年の時が流れ私は一人の幼子と出会った。




