喋れるようになりました
皆様、こんにちはー。
私、オディーリア(イケメン命名)は喋れるようになりましたー!!
し・か・し!!
最近の私の口癖が
「陛下、執務してください。離婚しますよ」
「!?」
であります。
どうやら私が連れてこられたあの日に婚姻届けが出されていたらしく、産まれたその日に人妻になりました。
そして、このイケメンが大陸を二分割する大国ベリーローズ国の国王であることを知った。
有り得ねー。何なんだよ、この世界。
幼女を誘拐して妻にする変態がこの国の国王で良いのか?
誰か私に教えてくれ。
「王妃様、本来結婚に年齢は関係ありません。しかし、大体は十五歳以降になります」
「だよね。じゃないと、子作りできないもんね」
やっぱりあのイケメン陛下の罠か。
私の考えを見抜いたように陛下を怒っていた人こと宰相閣下が教えてくれた。
どうやら宰相さんは苦労人のようです。
主な原因はこのイケメン陛下ですが。
「いえ、子供はお互いの魔力を練り合わせてできるので子作りはできます」
「!?」
なんですと!?
子供はお互いの魔力を練り合わせて作るだと!?
女性が産むんじゃないのか!?
……あ。
だから、棄てられてたのか。私。
じゃあ、この世界は卵から産まれるのね。
なるほど。
……あれ?もしかして、今すぐにでも子供作れたりする?
そんな私の顔を見てイケメン陛下がニッコリと笑いました。
「子供なら既に作ってあるよ。私とオディーリアの子ならとても強い子が産まれるだろうね」
・・・。
……え?何て言いました?このイケメン陛下。
既に作ってあるよ?
人の了解なく子供を作ったの!?
産まれて間もない赤子と子供作ったの!?
頭大丈夫かな!?このダメ陛下!!
「卵!!どこにあるんですか!?」
「保育室だよ」
「触るな、バカ陛下!!」
「オディーリア!?」
場所を聞き出した私は執務室を飛び出した。
陛下が私を捕まえようと手を伸ばしたが暴言を吐いて回避。
一目散に保育室を目指した。
そして、保育室の扉を蹴破り中に入る。
すると、そこには小さい卵が安置してあった。
私はそれを大事に抱えた。
「オディーリア!?」
「陛下なんて大っ嫌い!!こんなところに一人で放置されてるなんて可哀想じゃん!!」
追い掛けて来たイケメン陛下に涙目で訴えた。
小さい卵。
しかし、私には大きい卵。
私は落とさぬように大切に抱えてイケメンから距離をとる。
そんな私の姿にイケメン陛下は少し困った顔をした。
「オディーリア、卵は常に魔力を供給しなくては生きていけないんだ。それに卵はオディーリアと同じくらいまで大きくなるんだ。だから、いつまでもオディーリアが持っていると言うわけには……」
「だったら、私がこの部屋で生活する!!そうすれば問題ないよ」
どうにかして私から卵を引き剥がしたいバカ陛下があれこれ言ってくるが無視だ。
誰が言うことなんて聞くもんか!!
卵を持って威嚇する私にバカ陛下はため息をついた。
「わかった。オディーリア、こうしよう。私達の寝室と執務室に卵用のベッドを用意しよう。そうすればオディーリアも安心でしょう?」
「……わかった」
私を宥めるように優しい口調で柔らかい笑みを浮かべて言うイケメン陛下。
無駄に顔が良い分、私が駄々をこねても丸め込まれるのがオチ。
今ならまだ向こうが下手に出ている。無茶な要求はされないないだろう。
私は陛下の言葉に頷いた。
それから、陛下の行動は速かった。
文官さん達に指示を出して大至急取り寄せさせた卵用のベッドを寝室と執務室に配置した。
他にも私が行くであろう部屋にもベッドが置かれ、その近くに私用の居場所も確保された。
私に関する全ての事象に関してだけは行動が速いイケメン陛下に私と宰相さんは揃ってため息をついた。




