一年後
掲載日:2026/06/25
今日は今日の風が吹く。
「冬爾、なんでそんなに不満そう何だよ」
俺は春樹と二人で学校から家への帰路についていた。
黙り込む俺に春樹は次の言葉を重ねる。
「冬爾はこんな田舎町の高校からすっごい大学に合格したんだぞ」
周りを見渡すとそこには田んぼが広がる。
春樹は止まらない。
「みんな言ってるよ『冬爾は昔からすごかった』って」
「それが嫌なんだよ!」
俺は声を荒げて続ける。
「みんな何も知らないくせに合格した途端、合格する前までの俺のこと勝手に創造しやがる!」
俺は止まらない。
「まるで、最初から俺の人生は決められているみたいに。一年前とこんなにも環境が変わるとは思わなかったよ」
二人の間に沈黙が生まれる。
そして春樹は口にする。
「俺は冬爾の友達だ。今までの冬爾を見てきたし、これからも一緒にいる」
俺はその言葉を聞いて、先ほどまでのモヤモヤがスッと去ったのを感じた。
途端に一年後が楽しみになった。
「春樹、これからもよろしくな」
一年後に吹く風は果たして、どんな風だろうか。




