絶対変態!? お兄ちゃんマン!!
下ネタあります。
ご注意ください。
「ねえ、シンジくん。変な人がいるよ」
小学一年生の杉崎ココは同じクラスの堤シンジにこっそりと耳元で言った。
二人は今日の授業を終え、家に帰ろうと一緒に下校している最中だった。
「変な人?」
言われたシンジはココの示す場所に視線を移す。
二人は住宅街の道路を端によって歩いていた。
シンジたちの後方15メートル離れた位置に電柱があり、その陰には太った中年男性がいた。
シンジたちを見て鼻息を荒くしている姿が目に映る。
「本当だ。こっちを見てるみたい」
「シンジくん……私、怖い」
シンジが見るとココは涙目で震えているようだった。
狙いはココちゃんだろうか?
シンジは思う。
少なくともココは自分に危険が迫っていると思って怖がっているようだった。
いつもは気が強いのにこういうときだけ怖がるんだ、とシンジは場違いなことを考えてしまう。
「大丈夫。こういうときはまず、自分たちの安全を確保するんだ」
シンジはココを安心させるように言ってから周囲を見回す。
住宅街の道路、見える範囲に他の大人はいなさそうだった。
どこかのお家に入れて避難させてもらう?
でも逃げた先も危険な大人がいるかもしれない。
そう考えると大人が多い場所に向かうのが安全かもしれない。
他の大人がいる場所……コンビニだ!
「ココちゃん。今から防犯ブザーを鳴らすから、音が鳴ったら近くのコンビニまで一気に走ろう」
「うん……わかった」
不安げな表情だったが、ココもシンジの言葉に力強く頷いた。
「あの~すみません」
「「っ!?」」
防犯ブザーに手をかけた瞬間、背後から見知らぬ人の声が聞こえた。
シンジとココがゆっくりと振り向くと、そこには電柱の陰にいた中年男性がすぐ後ろまで近づいていた。
その身のこなしにシンジは驚いた。
早い!? 近付いてきた気配すら感じなかった。
この距離では、防犯ブザーを鳴らしてもすぐに取られて音を止められてしまう。
シンジは内心焦ったが、その素振りを見せないように平然と声を出した。
「はい。何ですか?」
シンジは目の前の男性を観察する。
モジャモジャと癖の強い髪の毛に脂ぎった顔立ちと眼鏡。
太った腹が突き出るような白いタンクトップに黒いジャージ、赤いスポーツシューズ。
肩にタオルをかけていたその恰好は、ダイエットのためにジョギングをするただの中年男性にしか見えなかった。
「お願いがあって声をかけたのですけど……はぁはぁ」
物腰低く丁寧な口調だったが、息が荒かった。
ジョギングや身体を動かして息が荒いのではなく、シンジたちを見て興奮したように鼻息が荒かった。
「き……」
「き?」
言いかけて止める中年男性。
ココは見ていられず、目を瞑ってシンジの手を握っていた。
「君の吐息を、僕に嗅がせてください!!」
中年男性は九十度腰を折ってシンジに頭を下げた。
「ぼ、ぼく!?」
シンジはココではなく、自分に対して言われたために驚いてしまう。
「そう! 君です!!」
中年男性は言い切る。
その声にココも目を開けて相手を見た。
「ど、どういうことですか?」
シンジは聞いた。
「君が息を吐くだろう? その吐いた息をおじさんに嗅がせてほしいんだ」
おじさんは真剣な眼差しで言った。
「な、なんで、そんなことを?」
シンジは緊張のあまり裏返った声で聞いてしまう。
「ぼ、僕は、男の子が大好きなんだ!!」
おじさんは語り出す。
「子供の頃は同い年の男の子が好きだった! けれど、学年が進むにすれ、その気持ちは冷めてしまったんだ! 何故だ!?」
拳を振るって語るおじさんにシンジは気圧される。
逆にココはどんどん冷めた目で軽蔑するようにおじさんを見た。
「坊やだからさ!! 僕が好きなのは幼い子供だったからだ! 大人になった男の子には魅力を感じられなかったんだ!!」
「ひっ、ひぃいいい!?」
シンジは鳥肌が立つのを感じて一歩後退りする。
おじさんは再び頭を下げてお願いする。
「頼む! 一回だけ、一回だけでいいんだ!! 君を傷つけたりしない。ただの一回だけ、君の吐息を嗅がせてほしいんだ!!」
「いや!!」
シンジに対するおじさんの頼みを、何故かココが拒絶した。
「こ、ココちゃん!?」
シンジは驚いた。
「おじさんにシンジくんの吐息を嗅がせるなんて絶対いや!! それならまだ、私の吐息を嗅がせた方がマシよ!!」
シンジくんが汚される!! それは絶対にいや!!
そう思ったココは、自らを差し出してでも止めたかった。
「ごめんよ。君は対象外だから受け付けないんだ。僕も君の吐息は絶対にいや!!」
おじさんがココの口調を真似して拒否する。
その姿に恐怖を忘れたココの心に怒りが芽生え始めた。
「ふ、ふざけないでよ!! なんでどこの誰とも知らないあんたにシンジくんの吐息を嗅がせなければいけないのよ!?」
「ごめんね~。嫉妬するのは勝手だけど、おじさんが話したいのは彼であって君ではないんだ。先に帰ってもらってもいいかな?」
「いや!!!」
ココが叫んで拒否する。
シンジを忘れたかのように、おじさんとココの舌戦が始まった。
「大体、あなたがやってるのは犯罪よ!! 知らない大人が子供に声をかけただけで警察に捕まるのよ!! 変質者の癖に偉そうに言ってんじゃないわよ!!!」
「はんっ! 同い年だからってずけずけと。おじさんがね、シンジくんと同い年で同じ小学校に通ってたら、今の君より、もっともぉーーーーっと仲良くなれるんだからね!! 今の君なんてシンジくんから見たら有象無象の一つでしかないんだからね!? 有象無象ってわかる? お嬢ちゃん? わかるはずないかぁ! 所詮子供だものね!!」
「なんですって!!? このボンレスハムの腐ったような変態じじいが!! 私とシンジくんはね。生まれたときから一緒に過ごして今日までずっとずーーーーっと一緒にいたんだから!! あんたみたいな奴がシンジくんと一緒にいても仲良く出来るどころか、距離を置かれるのが目に見えるわよ!!」
「きぃーーっ!!? 人を貶めながらマウント取りやがってこのクソガキがぁああああ!! 恋人にすらなれてないくせに言いたい放題言いやがって!! あなたみたいな子、シンジくんが好きになるはずないんだからね!!!」
おじさんは持っていたタオルを嚙みながら悔しそうに言う。
「そんなことないもん!! 好きになってくれるはずだもん!! バレンタインデーでチョコ貰ってくれたし、ホワイトデーでチョコくれたりしたもん!! 誕生日にはお互いにプレゼント上げたり、家にお泊りしたこともあるくらい仲いいんだもん!! 結婚してくれるって約束したもん!!!」
「いや……結婚するなんて、一言も言ったことないよ……」
ココの発言をシンジは一部否定した。
「もんもんもんもんうるさいわよ!! そんなに言うならねぇ、今この場で告白してみなさいよ!! もしその恋心が実ったら、今日は何もせずに帰ってもいいんだからね!! ありますか? 告白する勇気。言えますかぁ~? 好きですって。言えるもんなら言ってみなさいよ!!」
「っ!?」
シンジはおじさんが言ったことを聞き逃さなかった。
今この場でココがシンジに告白し、OKをもらえるならこのまま帰ると断言した。
チャンスだ!!
シンジはおじさんへ悟られないように平然とした顔でいた。
「いいわよ!! 言ってやるわよ!! そこで私とシンジくんが恋人になるのを悔しそうに見てなさいよ!!」
そこまで言うとココはシンジのほうを向いた。
勢いそのままに頭を下げたまま、手を出した。
「シンジくん!! ずっと好きでした!! 私と結婚してください!!!」
ココはシンジに告白した。
「振れぇっ!! 振れぇっ!! 振れーっ!! 振れーっ!!」
その光景を見守るおじさんは一心になってシンジが告白を振るように叫んだ。
シンジは考えた。
これにOKを出せば、このおじさんは危害を加えることなく帰ってくれる。
そう思い、返事をしようとしてふと躊躇ったシンジ。
待てよ……? ここで告白に応えてしまったら、本当に結婚しなければいけないのだろうか?
シンジは振り返った。
ココと過ごすこの日までの出来事を。
ーーー
「ココちゃん~。ぶたないでよ~」
「シンジくんが私の言うとおりにしないからよ!!」
幼稚園の頃、シンジはココによく殴られていた。
「おままごとなんて生温い遊びなんてしたくない!! やるなら本気のおままごとよ!!」
「だからって、殴らないでよ~」
「駄目よ!! 本気で愛してるなら、本気で叩かないと!!」
そう言ってココはシンジをよく殴っていた。
おままごとの設定は、恋人がいながらも他の女に現を抜かしつつ、浮気はしていないと言い張る駄目な亭主シンジと、パチンカスでいながらも献身的に夫を支えるメンヘラ主婦ココというものであった。
「シンジくん!! どうして浮気するの!? こんなにもあなたを愛しているというのに!!?」
ココが涙を流しながら叫ぶ。
「君が愛してるのはボクじゃなくてパチンコだよ……痛い!! 殴らないで!!」
叩いてくるココにシンジは涙目で訴えた。
「違うわよ!! そこのセリフは……『ごめんよココ。僕が間違っていた。もう浮気はしないから一緒にパチンコしに行こう』でしょ!!」
「なんで夫婦揃ってギャンブル中毒になるのさ……痛い!? やめて!!」
また叩いてきたためにシンジは逃げようと走った。
「逃げられないわよシンジくん!! 地の底まで追って死ぬまで添い遂げるのだから!! あははははっ!! あははははっ!!!」
そのときのココの顔をシンジはよく覚えていた。
怖かった。
ただただ恐怖しか抱かなかった。
それ以来、シンジの芽生えかけていたココへ対する恋心は完全になくなり、彼女への気持ちは恐怖と畏怖しか残らなかった。
ーーー
ココは恋人として付き合ってほしいとは言わず、結婚してほしいと告白した。
おじさんという危険を遠ざけるために、ここで告白にOKと返事をしてしまえば最後、シンジは永遠にココに囚われてしまうだろう。
仮にここでOKと返事をして、あれは方便だと口にしてしまったら……どんな制裁が彼女から加わるだろうか。
シンジは彼女と結婚する恐ろしさと、おじさんに吐息を嗅がせる恐怖を天秤にかけた。
その結果――
「いや結婚はキツいな……」
「っしゃあ!! オラぁああああ!!!」
シンジは告白を断り、おじさんは歓喜した。
「うぇええええんっ!!! どうしてぇええええっ!!?」
ココは泣き、金切り声を上げたのだった。
「ふははははははははっ!! 馬鹿めっ!! これが現実だーっ!! 思い知ったか!!?」
勢いそのままにおじさんはココを罵倒した。
泣きじゃくるココを見てシンジは罪悪感がちょっとだけ……ほんの少し……微かにだけ、湧いた。
「ごめんよ。でもココちゃんと結婚するくらいなら、おじさんに吐息を嗅がせたほうが、まだ危害も少ないと思ったんだ」
シンジは素直に言った。
「うっ! そ、それなら! 恋人だったら? 恋人ならどうなの?」
涙と鼻水でグチャグチャになった顔でココは聞いた。
シンジは一瞬考えたが結論を出すのは早かった。
「無理……かな」
「うええええんっ!!!」
ココの涙が増量される結果となった。
「フォーっ!! フォーっ!! イヤッフォーっ!!」
おじさんの調子はノリノリになった。
腰を振って脂肪塗れの身体をブルンブルンと揺らしていた。
「だからおじさん。吐息を嗅いだら今日は帰ってもらっていいですか?」
「いいよぉ!!」
親指を立てて返事をするおじさん。
シンジはココと結婚や恋人など、恋愛関係に発展せずに済んで内心とても喜んでいた。
おじさんに吐息を嗅がせるのも嫌だったが、それは今日この場限り一回だけで終わると考えれば安いものだった。
しかもココと友達のまま生涯を終えられる機会が出来て寧ろおじさんに感謝してもいいくらいだった。
「シンジくん。ちょっと変身するから待っててね」
「えっ?」
おじさんはウィンクしてその場に仁王立ちすると、手を身体の前で揃えてポーズを取る。
「変・身!!」
おじさんが叫ぶと同時に彼の全身が発光し始めた。
「な、なんだ!?」
シンジは眩い光に目を細める。
おじさんの背景が住宅街から宇宙に広がる星空に変わった。
すると発光している身体の形が変わり、全身が掃除機のような機械に変化した。
「怪人ショタキューナー!!」
おじさんの声が機械音に変わり、その姿は掃除機の化け物となって表れた。
「か、怪人……!?」
「そうですぞぉ!! これが僕の本当の姿ですぞぉ!! はぁはぁ」
掃除機の排気口から白い煙を勢いよく出しおじさん――怪人ショタキューナーは答えた。
ショタキューナーは掃除機の吸気口と思われるノズルのついた部分を自身の身体から引っ張り出す。
「はぁはぁ。じゃあ早速ここの部分に息をはぁーって音が鳴るまで吐いてね」
「は、はい」
シンジは蛇腹でショタキューナーに繋がった掃除機のノズルを持たされた。
「ありがとうシンジくん。これが終わったらすぐに帰るからね」
「……わかりました」
「シンジくん!! 駄目ぇ!!」
シンジが吸気口に顔を近づけようとすると、背後からココの悲痛な声が聞こえた。
「お願いやめて!! シンジくんが、シンジくんがおじさんに吐息を嗅がせるなんて、あたし耐えられない!!」
「ココちゃん……」
シンジは泣き崩れるココを見て思う。
ごめんよ。ココちゃん。でも僕は君と結婚するほうが耐えられないから。
シンジはココを無視して再び前を向いた。
「だ、誰かぁああああっ!? シンジくんを、シンジくんを助けてくださいっ!!!」
ココの悲痛な声が響く。
「無駄無駄無駄ぁ!! 誰も助けになんか来ないさ!! そこで僕とシンジくんのやりとりを悔しそうに見てなさいなっ!! あっはっはっはっはっ!!!」
ショタキューナーは大笑いしてココを見下す。
シンジが吸気口に息を吐こうとしたそのときだった――
「待てぇぃ!!」
「「「っ!?」」」
その場にいた全員が驚き、声の方角を見る。
シンジの背後、民家の屋根の上、太陽を背に一人の男が立っていた。
「恋する乙女から相手を奪う卑劣極まりないその行い――辞書曰く、横恋慕と言う」
「な、何者だ貴様!? 名を名乗れ!!」
ショタキューナーが男に言う。
「貴様にお兄ちゃんと呼ばれる筋合いはないっ!!」
そう言うと男は屋根から跳躍し、三人のいる道路に降り立った。
「我が名は露結トオル! ここに見山!!」
ライダーヘルメットを被った青年が決めポーズと共に言った。
また変人だ。
シンジは真面な大人が助けに来ないと、日本の現状に絶望した。
「少年よ。助けに来た。そのノズルを手放して今すぐ逃げろ」
「は、はい!」
言われてシンジは手を放し、露結トオルの後ろに逃げた。
「ああっ!? 待ってぇええええ!!」
ショタキューナーが悲痛な声で呼び止めるもシンジは無視した。
助けてくれるなら、言動はおかしいけれど良い人なのか?
シンジは助けに来てくれた露結トオルに対する見方を変えた。
「偉いぞ。よく無事でいた。あとは俺に任せろ!」
露結トオルは親指を立てて言う。
「シンジくん。だ、大丈夫?」
「うん。僕は平気」
心配して駆け寄ってきたココにシンジは内心怖がりながらも平静を保って言った。
「き、貴様ぁああああっ!! よくも邪魔したな!? どうなるか分かってるんだろうなっ!!?」
ショタキューナーは激昂し、露結トオルに詰め寄る。
「どうなるかだと? こんな小さな子供の吐息を嗅ぐなんて……許されると思っているのか?」
露結トオルは相手を睨みつけて言った。
「うんっ!!!」
うんじゃない。
シンジは心のなかでショタキューナーにツッコミを入れた。
「貴様のその曲がった性根、叩いて強制してやる……」
露結トオルは言うと、ポーズを決めて何かを言い始めた。
「幼児園児に幼き子供……我に力を与えたまらん」
「えっ? 気持ち悪い……なにこの人……?」
ココは思わず言ってしまった。
すると露結トオルは跳躍した。
空中で静止すると、彼の背景が幼稚園や小学校へと変わる。
ライダーヘルメットはそのままに服が破れ散らかった。
さらけ出される裸体。
服の代わりに全身がモザイクに包まれ、見る人を不快にさせない(?)見た目へと変身した。
そして再び地に降り立つ。
「絶対安全!! お兄ちゃんマンここに参上っ!!!」
露結トオルもとい、お兄ちゃんマンがショタキューナーの前に立ちはだかった。
「「絶対変態だっ!!」」
シンジとココは目の前に現れた新たな変質者を見て、言わずにはいられなかった。
前言撤回。良い人ではなく変態であった。
「貴様っ!! この令和の時代において、そんなヒーローが許されると思っているのか!?」
ショタキューナーは至極真っ当な疑問をぶつけた。
「コンプライアンスを遵守した結果だ。何も問題はない!!」
問題しかなかった。
モザイクに包まれているとは言え、ライダーヘルメットを被っただけの裸一貫に変わりはない。
そのためココは正面を見ていられずに両手で目元を隠してしまった。
「くっ!? これでは男の子の吐息を嗅ぎたかった僕の方がまだマシじゃないか?」
どっちもどっちであった。
「貴様の悪行はこれで終わりだ! 覚悟しろ!」
「全裸の貴様にだけは言われたくない!!」
こうして怪人VS変態の戦いが始まった。
「食らえぇいっ!! ヌードパンチっ!!」
お兄ちゃんマンはただのパンチを繰り出す。
「甘いっ! というか裸であることに自覚があるのか!? 隠しているのではないのか?」
それを避けたショタキューナーは問いかけた。
「無論だ! 俺は小さな子供に裸を見られれば見られるほど興奮し、己の力が増すんだっ!! モザイク如きで我が肉体美を完全に防げるはずがない!!」
「詭弁じゃないかっ!!」
「見せかけのモザイクで何が悪い!?」
全部悪いよ。
シンジはお兄ちゃんマンを軽蔑した。
「クソっ!? 僕はただ……シンジくんの吐息を嗅ぎたかっただけなのに。ただそれだけなのに……それの何がいけないんだ!?」
「相手の気持ちを考えずに、己の欲望を突き通す行為が許されないんだ!!」
「全裸のお前が言うなぁああああっ!!」
尤もである。
「無限吸引っ!!」
ショタキューナーは全身のありとあらゆるところから、掃除機のノズルを出して吸引し始めた。
「このまま貴様の身体を吸って乾燥させてやる!! 干乾びるまでな!!」
とてつもなく強い力で掃除機に吸われそうになる。
お兄ちゃんマンも立っていられないほどの吸引力だった。
「くっ!? なんてパワーだっ!?」
地面に手を付いてどうにか耐えるお兄ちゃんマン。
しかし、徐々に掃除機のノズルへと引っ張られ始めた。
「まずいっ!?」
お兄ちゃんマンは意地でも吸い込まれないようにと四つん這いとなって耐える。
奇しくも敵に臀部を向ける形となった。
モザイクがかかっているとはいえ、ショタキューナーは嫌な気分になった。
「貴様ぁ!! 尻をこっちに向けるなっ!! 汚いだろう!!」
「なら今すぐ止めろ!! そうすれば全て解決だっ!!」
「クソっ!! 止めてたまるかぁああああっ!!」
地獄絵図だった。
シンジとココは二人が会話している間に離れて見守っていたが、見ていられなかった。
大の大人たちが変な格好で戦っている。
一人は危害を加えることはなかったが、吐息を嗅ぎたいと言った変態。
もう一人は助けに来たというが、小さい子供に自分の裸を見せつけることで興奮し、力を増す変態。
勝敗などどうでもよく、さっさと終わらせてほしいとシンジとココは思った。
「この間に警察に通報しよう」
「うん。そうだね」
シンジが提案し、ココが同意したときだった。
「「待ってっ!!」」
お兄ちゃんマンと怪人ショタキューナーが異口同音に子供たちへ言った。
「警察は駄目だ!! 事態を収拾するどころか悪化させてしまうぞっ!!」
お兄ちゃんマンが焦った口調で言う。
「そうだ! 僕ももう君の吐息は吸わないから、警察に連絡するのだけはやめてくれ!!」
ショタキューナーも悲痛な声で懇願した。
争いをやめ、二人揃ってシンジたちのもとへ歩いてくる。
「もう戦いは終わりだ。これ以上争う理由はない」
「彼の言うとおりだ。僕は君たちを危険な目に遭わせようとは思わない」
しおらしくなって話す二人にシンジは口を開いた。
「なら約束して。お兄ちゃんマンは子供に裸を見せつけることはしないって。ショタキューナーは男の子の吐息をもう嗅がないって、約束して!!」
「「いや……それはちょっと……」」
揃って言い淀んでしまう変態と怪人。
その様子に更生の余地なしとシンジは思った。
「ココちゃん! コンビニまで逃げよう!! 警察を呼ぶんだ!!」
「わかったっ!!」
シンジとココは走り始めた。
「待ってくれ君たち!! 話せばわかる!!」
「そうだ!! 僕もシンジくんが本当に嫌ならもう嗅がないから!! だから警察だけはやめてぇええええっ!!!」
子供二人を追いかけるお兄ちゃんマンと怪人ショタキューナー。
こうして今日も世界の平和を守る(?)お兄ちゃんマンであった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本当はもっと話を膨らませようと思いましたが、内容がくだらなさ過ぎたために執筆をするのが辛く、話を省略いたしました。
あらかじめご了承ください。




