双葉連
「はぁ……」
ため息をつく乙女が居た。名を双葉連。高校2年生。
花よ蝶よともっとも自由で、もっとも成長する人生において長く短い、そんな多感な次期。
ため息ともなれば恋の一つや二つのお悩みとも思えなくもない。
周りのいえいえに比べると頭がひとつもふたつも抜けた大きな日本家屋の、1室。
女の子の部屋にしては質素と言わざるを得ない部屋は飾り気がなく、可愛いアクセサリーやぬいぐるみもない。
窓際にある勉強机とベット。それとテレビが置いてあるだけ。本棚もあるけど、スッカスカだった。
勉強も身が入らなく今日のことを思い出しては、ため息を着く。かれこれもう三回目。
「ほんと、大変な1日だった……」
机に突っ伏して力んでいないと、何を壊すか分からない。ぷるぷるとチカラを全身に分散させている。
紺色の髪は風呂上がりで少しだけ湿っていて平時より艶やかだ。
また、なにか思い出したのかぷるぷると震え始めた。
けっして寒いから震えているのではなくて、拳を握りしめていて、血管まで浮かび上がってる。
怒り心頭の様子。
髪の毛が意思があるようにうようよと動いている。
「なんだよぉ、まだ怒ってんのか?」
「怒ってないわ」
「怒ってんじゃん」
「怒ってなーーーい!!!」