◆竜の卵と竜使い
「こんな大切な(・・・)モンを食おうとすんな!!」
ということで、ひとしきりキレたところで、口を開く。
「で、何のたまごなんだ?」
ロイは、「大切なモン」と言った。 ということは、何の卵が知っているということだ。
ギクッという風にからだを揺らした。
なにか、まずいことでもあるのか?
ロイは何か思案してから、口を開いた。
「・・・確信はないんだけどな。 いや、最近こんな話をきいたからな・・・。」
ロイによると、 昨日ぐらいに竜の卵が生まれたらしく、それがだれかに届いた、という噂を聞いたのだそうだ。
おれは、「竜?」と首をひねる。
「なんだ? 知らないのか? この国のやつらならみんな知ってる話だぜ? ほんとに外界には、何にも興味がないやつだな・・・。」
よかった・・・。 勝手に勘違いしてくれて・・・、と思う。
俺には、それを教えてくれる人間がいなかった(・・・・・)のだ。
「じゃぁ、教えてやるよ。」 とロイは口を開く。
「この国は、竜と共存している国だとは知っているだろ?」
あぁ、と返事を返す。 だが、それはどこかの御伽噺だと思っていたが。
「竜は王宮に住んでいてな。100年に一度、卵を産むらしい。 ソレを国民に与えて、育てらせるんだ。 まぁ、人を選ぶのも
竜だがな。 ま、そんで今年もその年が来たってことだ。 選ばれたら、王宮で贅沢三昧、ダレでも頭を下げるし、いい事だらけ
だな。 竜の子供のお守りつきだけど。 選ばれた人間を 竜使い(ドラゴンマスター)というんだ。」
ふーん、初めて知った。 そんなことがあるのか・・・。 ま、どうでもいいな。
「じゃあ。これを隣の隣の隣のまた隣の家に持っていくぞ。」
「は? なんで?」
本当に分からない、と言う顔をされる。 物分りの悪いヤツだな・・・。
「持っていって、これを押し付けるんだ。 ちなみになんで隣の隣の隣のまた隣かというと、いつも鍵が開きっぱなしだからだ。
あと、昼間はいつも留守だ。」
物分りが悪いやつに聞かれる前に答えを言ってやる。
「・・・なんで、そんなことを知っているのかは聞かないでおこう・・・。 お前、意外と怖いな。」
「 ? 知っているのは、普通じゃないか。 第一、あの家はかぎをつけていないからな。」
「もういい。 で、なんで押し付けにいくんだ?」
急に場の雰囲気が変わる。 ロイの空色の瞳に俺が映る。
「俺なんかがもらっても意味がない。そんなものに興味なんてない。それに、この眼のこともある。おれは、やらないんじゃない
。できない(・・・・)んだ。」
ロイは、この眼の事を知っている。詳しい(・・・)事は、教えてはいないが『紅い瞳』という事は知っているのだ。
「・・・。」
沈黙がつづく。 ロイはしゃべらない。 その代わりに俺に視線を向ける。 俺もロイにむける。
・・・男同士が見つめあう、気持ち悪い時間が続いた。
「はぁ、何がよくて、男を見つめにゃならんのだ・・・。」
それは、コッチの台詞だ。
俺もため息をついて、卵を持ち上げた。
「とりあえず、もっていくぞ。 本当に俺ではまずい。」
ロイは、ふいに窓から外を覗いて歩き出した。
ドアノブを掴んで、ドアをあける。
「俺は、帰るよ。 ソレは、好きにしたらいいと思うぜ。 ・・・そんなことをしても無駄だろうけどな。」
「 ? それは、どういう・・・」
言い終える前にパタン、とドアが閉まる。 俺は、頭に「?」を浮かべて、卵を持ち直す。
意外と重いな・・・。と思っていたら、外で足音が聞こえた。
俺に客か? だれだ?
コンコン、とノック音。 勝手に扉が開いた。
おいおい、と思ったが何もいわない。 急いで、フードを深くかぶり直す。
「 竜の卵をお持ちですね。 王宮まで来ていただきます。 竜使い(ドラゴンマスター)。」
?がついていないということは、確信を持っているということだ。
ついさっき聞いた言葉を放ったそいつらの胸には、王直属の官吏の証の竜と人をあらわす紋章がついていた。
(・・・)が多いですね・・・。
初めまして。みのりです。
やっと、卵までいきましたっ
できるだけ、早く更新したいとおもいます。
ルシファーは天然入ってますね。 ロイはつっこみ役。
二人とも何かしら秘密が・・・。 気づいた人は、もういますか?
よろしければ、またこの駄文を読んでくださいな♪
感想など待ってます!