◆赤い瞳の男 Ⅱ
呼ばれた男は、振り向いた。 いや、ロイだけではなく他にも数人。
「おぉ~!! ナイスタイミングジャン! さすが、オレの友人!」
・・・のんきだな。 今にも殴られそうなヤツが。 コツコツ、と歩み寄る。
「今日は、助けないからな。 俺は、帰る。 がんばれよ。」
「なッ!? 助けてくれねーのかよ!? あてにしてたんだぞ!」
問答無用、と来た道を戻ろうとする・・・・が。
「おい!! あんたもこの男の仲間かい? なら、あんたも殴んなきゃなぁ?」
「顔なんか、隠して何者だ? ま、これからやられるのには変わりねーけどなぁ。」
ぎゃははは、と下品な声を上げる男供。 やはり、巻き込まれた。
ロイは、ニヤニヤと笑っている。
(お前のせいだというのに! そろそろ、殴ってもいいか? この男・・・。)
いい加減、飽きた。と思う。 いつも、いつもそうなのだ。 ロイがふっかけられたケンカに巻き込まれる。 ていうか、いつもふっかけられているのはなぜだ? という疑問はいつになっても解決されない。
「おい! 前見ねーとアブねーぞ!!」
忠告、ではない。 殴る寸前で言われても意味がないからな。
眼前に迫るソレをさっと横に避ける。 避けられたのに驚いていたが、立て続けに殴ってくる。
ふむ。 今回のやつは、けっこう強いやつらしい。 ちら、とロイをみるとあいつも戦っている。 一人でも勝てるくせにいつも俺に振ってくるのだ。
おれは、殴り返した。 ドゴッとに鈍い音がした。
「グフッ!!」
おとこが倒れる。
「なんだ!? こいつら、強ぇーじゃねぇか!? 何者だ!? ガッ!」
こいつも殴っておこう。
ロイも殴って蹴って、とりあえず終わり。 といっても意識は残してあるから、とりあえずだ。
「ぐぅ・・・! 本当にダレだ!? 顔を見せろ!」
「・・・見せているだろう。 こいつが。 だから、仕返しするならこいつにしろ。 俺に来るなら筋ちがいだ。」
ロイを指差す。 ロイは、苦笑いだ。
「おいおい・・・。・・・っと!!!」
急に強い風が吹いた。 フードがとれる。 しまった、と思ったが遅かった。
顔が日にさらされる。 瞑っていた目を開く。 光が目に痛い。
「な・・・っ!? 紅瞳!?」
きゃぁぁぁぁぁぁぁ、と悲鳴も上がる。 本当にしまった。 フードを被りなおし、走って立ち去る。 ロイも後ろから着いてくる。
やはり、外に出るのではなかった。と思う。 やはり、この瞳は陽に晒すものではない。
男たちは、騒ぎを残したままそこを立ち去った。
紅は、災いの色。 恐怖と非難の色。 男は、ソレを持っていたがため、親に捨てられ、蔑まれた。
愛されなかった。 愛されたかった。 だが、それは叶わなかった。
だが、この男にも愛される瞬間が来たのだ。 あとすこし、あとすこし・・・。
誤字訂正しました。