◆プロローグ
竜と人が共存する国、ニルビア国。
昔は、赤い瞳の魔物に支配されていた国だった。
だが、どこからか飛んできた竜が滅亡寸前の国を守った。
以後、その国は、竜が国を守り、人が竜を守った。 竜の守護を受けたのだ。 人も竜を守るのを条件にして。
竜は、子孫を残すため、卵を産んだ。 竜は、その卵を人に任せた。
「我の子をそだてるがよい。育てきればこの国には竜の守護を。だが、それができなければ我がこの国を滅ぼそう。
育て方や育てた人のココロで竜も変わる。 さぁ、契約しよう。 人が破るか、竜がやぶるか・・・。」
ギリギリの契約。 破るためにある約束。 いや、それは『賭け』ともいう。
いつ破るか、誰が破るか。 竜か、人か。
ただ、それだけが竜と人とのつながり。
その契約を知るのは、古く昔の王だけだ。 それを知る者は、もういない。
否、人には(・・・・)。
知っているのは、紅い瞳の魔物と竜のことだけ。 賭けのことなど知らないのだ。
さぁ、また新しい卵が生まれる。 今度は、誰に託そうか?
そろそろ、飽きた。 ギリギリで、予想ができない賭けにしよう。
さぁ、誰? 誰?
見つけた。 見つけた。
この男にしよう。 紅い瞳をもったこの男にしよう。
面白くなりそうだ。
これは、竜と赤い瞳の男の物語。