第081話 強制覚醒薬
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「どうしたのかな。勢いが落ちて来たみたいだけど。」
攻撃を防ぐのがやっとでじわじわと後ろへ推されている。
このままでは反撃の機会すら貰えないのは分かっているけれど、タムタットからは隙が感じられない。
容姿は前にあった彼と酷似しているが、それ以外が変わり過ぎて別人であることを疑うレベルだ。
「つまらないから終わりにするか。『剣術』"スラッシュ"」
ただのスラッシュかと気を抜くが、刀で受けた瞬間にその意識は変わる。
ただのスラッシュなんかじゃない。
レベルが全く違う。
手が痺れる程重い。
威力が全く落ちることのないこの技を、何分も受け止めるのは無理だ。
だから、地面に転がって何とか逃げる。
「あははは!無様だねー!チート持ちのりゅ・う・ま・くん!」
背筋が凍る。
異世界の人間であるはずのコイツが何故チートについて知っている。
それに俺の本当の名前も。
可能性は2つ。
1つは、タムタットが偽名の転生者の可能性。
もう1つは、考えたくも無いがタムタットの裏で糸を引いている転生者がいる可能性。
前者の可能性も十分に考えられるが、恐らくは後者だろう。
最近何かとチラつく転生車達の影。
知らない内に何か大きな陰謀に巻き込まれている気がして不安だ。
「チートの事はどこで知った。」
「それを答える義務は俺にないよー。」
「なら、無理矢理にでも吐かせる。」
「出来ると良いね。まぁ、無理だと思うけど。『光魔法』"ライトニングランス"」
魔法系統では一般的な技。
属性で作り出された槍が浮かんでいる。
スラッシュでもあの威力だった事を考えると、この技は最上級レベルに相当すると考えて良い。
普通なら技の威力は大きく変わらないはずだが、どうやってここまでの破壊力を生み出しているのか気になる。
じっくりタムタットの挙動を観察していれば、その内答えは見つかるかも知れない。
だけど、そんな時間を与えてくれるはずも無かった。
目の前に迫る光の槍。
通常スキルでまともに受けても防げる保証は無い。
だったら、こっちは固有スキルで応戦する。
「解き放て、内に寝る欲望。誰よりも卑しく、誰よりも狡猾に。"喰らう者"」
あらゆる物を吸い込む右手。
タムタットのライトニングランスもその例外では無く吸い込んでいく。
「やっぱり強い、そのスキル。こっちも負けない様に連撃を喰らわせてあげよう。いつまで、その技が持つか勝負だ。『偽りの神』"大地を灰にする炎"」
地面から火柱が上がる。
それでも俺は攻撃を吸い込み続けた。
俺の限界が来るはず無いと思いながら。
火柱は1分が過ぎても尽きない。
ずっと炎の前に手をかざしているので、手が燃えているのではないかと錯覚する程熱い。
タムタットは余裕そうな顔をして、こちらを見ている。
俺の固有スキルを品定めしている様な目だ。
腹立たしい。
まだ勝敗の決まっていない戦いの中で自分の方が優位に立っていると思っているらしい。
「戦いを遊びか何かと勘違いしてねーか?"映像模倣"」
「へぇー、この技までコピーしてしまうんだ。おもしろいねー。」
「誰がお前の後ろにいる。答えろ。」
わざと後ろを振り返り、首を傾げた。
俺の質問の意味が分からないはずも無い。
それなのに、物理的に後ろを振り向くのは挑発と捉えて良いのか。
「いやー、何も見えないな。俺には何の事だか、さっぱり。」
「怖いのかよ、そいつに逆らうのが。お前も所詮は誰かの下に付く存在。飼われてる犬の癖に吠えるのだけは忘れないだな。」
「なるほど。ちょっとは面白い冗談でも言うのかと思ったけど、相当俺を怒らせたいらしい。」
「そうだな。怒って本気になるならそれで良い。戦いの場だ。生半可な気持ちでなければなんでも良い。」
「熱い男だなー!良いぜ、本気見せてやる。『偽りの神』"原初の火"」
獄炎よりも何倍も大きい火の球。
周りの人間もこの異変に気付き、慌てて逃げ出している。
これがコイツの本気。
確かに強い。
それはこの技が放たれていない今でも分かる。
偽りの力と貰い物の力。
境遇は近いとも言える。
なら、この勝負を制するのは実力がある者。
つまりは、単純な力比べと言う訳だ。
知能も、身体能力も、運も、才能も。
そのどれもが必要だ。
俺は今、何があって何が足りない。
「十分楽しんだ。あの方には、俺がお前の代わりを詰めると言っておこう。」
ゆっくりと死を妄想させる。
じわじわと迫り来るあの火から逃げる手立ては無い。
なら、俺の作り出した技で対抗しろ。
どの技なら勝てる。
あれでも無ければ、これでも無い。
早くしなければ、きっとこのままだと。
『死ぬぞ。』
うるせー。
こんな時に何の用だ。
今はお前に構っている暇なんて無いんだよ。
『お前も薄々気付いているんだろ。』
・・・何がだ。
『言い淀む時点で気付いている。お前の考えた技についてだ。余りにも威力が弱い。本来想定しているのはあの程度の威力か?あれで満足するような仕上がりか?分かってるだろ。お前には奥底に眠った羞恥心がある。だから、無意識のうちに力をセーブしている。』
黙れ。
『もう良い、体を貸せ。この俺があの火を止める。』
ダメだ。俺がアレを止める。
それにあの条件を俺が飲むはずが無いだろ。
『あぁ、リングの事か。それも重要だが、今回は良い。どうせ、お前が死ねば俺も消える。』
俺だけの力でどうにでも。
『ならない。だから、俺が出て来た。まぁ良い。これだけ精神が揺らげば、どの道抵抗は不可能だ。』
何を言ってる!
「ほらな、この通り。」
「何独り言ってんだよ。今の状況が分かってんの?」
「あぁ、分かってるさ。少しばかりは腕が立つみたいだな。仮初の力だけど。」
「だから、どうした。仮初でも何でも使える物は使う。それが世の中の仕組みだろ。」
「面白い発想だ。それも一理ある。だけど、それは弱者の意見だ。強者はいくつもの選択肢を持ち合わせ、選択する側にいる。」
「言わせておけば、言いたい放題言いやがって!この状況を止めてから威張ったみせろ!」
「これで良いのか?」
掌に息を吹き掛ける。
それは春風の様に穏やかな風を生み出し、火の球へと当たる。
ただの吐息。
それだけのはずだった。
「どうなって・・・やがるッ!」
大きな破裂音と共に消え去る火の球。
あり得ない現象だった。
少なくとも先程まで戦ってた黒沢竜真では不可能だ。
「どうしてだ。俺の渡されたデータでは脅威では無いとされていたはず。何故だ何故だ何故だ。俺はアイツに。俺を見捨てたアイツに。一矢報いたかっただけなんだ。」
「何か知らないが、お前の世界がこの世の全てじゃ無い。俺が住んでいた世界では、井の中の蛙大海を知らず。そんな言葉がある。お前もその蛙の内の1人だっただけだ。」
「何を意味の分からない事をごちゃごちゃと。俺は、俺は、最強で無くてはならないんだ。強制覚醒薬・ハイクラス。」
腕に注射を刺す。
強引に力を覚醒させた訳か。
また厄介な事になって来やがった。
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