第008話 自分で育てた生物には愛着が沸く
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勇往として前に出て来たのは良いけど、結界を前にするとめっちゃ怖いんですけど。
ゾンビ映画のワンシーンってこんな感じだろうけど、普通にちびりそう。
パンツがどこで手に入るか分からないから汚すのは死を意味するので我慢するけど。
「さてさて、エルマードくん。言ってなかったけど、俺は君の実力を高く評価しているんだよ。だから、あれは君に任せよう。」
「アホか?あんなの一人で相手してたら死ぬわ。それより、そこのエルフ。お前は何が出来るんだ?」
「エルフじゃなくて、イリミです!ってそうじゃなかった。私は・・・スキル全部使えます。」
えっ?小さな声で聞こえなかった部分もあるけど、スキル全部使えるって言ったのか?
めっちゃ心強いだろ、この助っ人は。
エルマードはそんな奴いないって言ってたけど、いるじゃんここに。
嘘付き野郎だな、エルマード。
「ハッキリ言え。情報の誤った伝達は、戦いの場において死を招くぞ。」
「嫉妬か?そんなに強い言い方しなくたって、本当に全部スキル使えるんだよねイリミ?」
「・・・初級スキルしか使えません。」
「え?初級スキル?」
思わず聞き返してしまう。
耳に入った言葉が本当だと信じたくないからだ。
「そう言えば、お前はスキルの事も知らないんだったな。スキルには初級、中級、上級、最上級の分かられていて、ランク分け通り取得難易度が変わってくる。」
「それも助かる解説だけど、そこじゃねーよ!」
俺だって何となくそれくらいの理解している。
それよりも使えるスキルが初級スキルだけっていうのは強いのか?
場面に応じた柔軟な対応が出来ることは先の戦いで証明してくれているけど。
いや、それだけじゃないのかも。
だって、俺やエルマードは固有スキルを使える。
だから、イリミが固有スキルを使える可能性だって十分にあり得る。
「固有スキルは使えるの?」
「いえ、固有スキルは特に。」
「言っておくが、俺やお前の様に固有スキルを覚えてるの特殊な例だ。後天的会得する奴もいるみたいだが、まぁ稀だな。」
「うーん、・・・まぁ良いか。俺達の問題点は細かい所のサポートがない事だったし、その点はイリミが完璧に当てはまる訳だ。」
「それは珍しく同意見だな。負担を押し付けるような形にはなるが、俺達が前線、イリミが後衛の形が最善だ。」
よし、それで行こう。
・・・それで行こう?
いやいや!待ってくれ、俺まで前線ってどういう事だよ!
今までのを見て貰えば分かると思うけど、黒歴史タイムになると完全詠唱までに時間が掛かる。
前線でそんな事してたら、魔物にパクっていかれて次の日にはネットで流さない映像になってるから。
「いやー、流石に厳しいんじゃないかなー。前線 1、後衛2で行こう。」
「お前のその武器は飾りじゃないだろ?さっさと行くぞ。」
エルマードの力は俺の思っている3倍強く、強引に連行されていく。
「ふざけんな!前で戦うのは嫌だっての。」
「俺はこの量を1匹1匹相手する。だけど、それだけだと間に合わない。だから、リューマお前の出番だ。」
首根っこを掴まれたまま、何かしらの準備を始めた。
嫌な予感がするんだけど、このまま逃げ出すには力がない。
「派手にぶちかましてこい。」
その一言と共に俺を天高く投げ飛ばした。
ふざけんなよー!エルマード!!!
敵地に投げ飛ばす奴がいるか!
このままだと何も出来ずに死ぬぞ!
クソッ!本来なら、人前であの固有スキルを連発したくないけど、今回は命に関わるから恥ずかしいがっていられない。
ピューーーーッ
昔練習しただけあって高音の透き通った指笛がなる。
「我が身に力を貸せ!"風纏の賢鳥"!」
空から一匹の鳥が現れ、俺を拾ってくれる。
ちなみに、この子の名前はテン。
人を乗せられるくらい大きくて威圧感があるけど、顔は可愛いし人懐っこい生き物だ。
親を子供の時に失ったテンを俺が育てたという設定なので、俺のことを見るとすごいはしゃぐはずなんだけど、今は戦闘中だから大人しいのかな。
「行くぞテン!お前の実力を見せつけろ!」
「キューーン!」
可愛い鳴き声と共に羽を一振りする。
すると、嵐とも言い難い激しい暴風が生み出された。
魔物達はこの異変に気付いたが、今からどうにかなるはずもなく巻き込まれていく。
ある程度、魔物を減らせたので着地点を見つけて地面に降り立つ。
あのまま天空からテンの力を借りて圧勝すれば良いのに、わざわざ降り立ったのは鬼丸の実力を測る為。
こんなに良い物貰ったのに使わないなんてあり得ないだろ。
まだ敵の数が多いけど、テンとイリミがいるのでサポートは問題ない。
「まずは、どいつが相手してくれるんだ?」
人間の言葉は理解していないはずなのに、一斉に俺の事を睨む魔物達。
嘘だろ、数匹ぐらいを相手する予定がいきなりこの量は無理だろ。
ここは逃げる一択。
その間に少しテンが間引いてくれるはずだ。
追いつかれないよう懸命に走り出した。
それでも魔物は足が早く追いつかれそうになる。
異世界の基準で考えてたけど、俺は一般人だから足が特別早い訳でもないのを忘れてた。
こうなるんだったら、身体能力が異常に高くなるバフとか考えておくべきだったか。
って今後悔しても遅いよな。
無防備な背中を目掛けて魔物達が飛び掛かって来る。
「こうなったらヤケクソだ!オラッ!」
振り向く勢いを利用して鬼丸を振り抜く。
力も人並みの俺は刀をアニメようにブンブン振り回す事が出来ない。
多分、刀に振られてしまう事になる。
それよりは不恰好だけど、勢いを使って刀を振り抜く方が強い。
振り抜いた鬼丸は豆腐を切るように軽々とゴブリンを真っ二つに。
うわー、今日は異世界風ゴブリン鍋かな。
ゴブリンって下処理大変な割に可食部少ないから嫌いなんだよねー。
って、恐ろし過ぎる切れ味なんだけど!
切れ味が良過ぎて現実逃避してしまうレベルだった。
「これ、間違って自分の腕とか切れたりしないよな。本当にそうなったら笑い話にもならないけど。」
「おい、何ぼーっと突っ立ってるんだ。魔物はまだまだいるぞ!」
「分かってるっての。だけど、この量を3人で抑えるのも限界だ。」
「それもそうだな。あの時のゴブリンのように無限に湧き出している可能性もある。」
「私に策があります!」
打つ手がない俺達にとって、イリミの策というのに全力で乗っかる所存だ。
他に案がないのだから仕方ない。
「恐らく、この先に一番魔物が密集している地帯があるはずです。そこが術者の居場所。3人で行って一斉に叩けば、攻撃も必ず通るはずです。」
作戦?なのかこれは。
うーん、まぁそれで良いか。
失敗した時はその後で考えれば良い。
最悪、死ぬかも知れないけど。
もう一度、指笛を鳴らしてテンを呼び出す。
イリミはテンを見て驚いていたが、エルマードは驚きすらしなくなった。
面白味のない奴だ。
「3人も乗せたら重いだろうけどいけるか?」
「キュイッ!」
言葉は全く通じないけど、多分いけるって言ってるよな。
ちなみにめっちゃ可愛いぞ、この鳥。
3人で上空へと上がる。
空からの眺めは綺麗だなと思いながら、作戦に移った。
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