第076話 刺し違えてでも
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「関知せぬままに滅びを齎す。阿鼻叫喚の声を聴き、完美な悲鳴を欲す。負の感情が奏でるは最高のファンファーレ。"悲鳴を運ぶ歌姫"」
まずは挨拶がてらに一発お見舞いする。
口から出す音全てが衝撃となって敵を襲う。
かなりの範囲に届く技なので、避けるのはほぼ不可能。
さぁ、どうやってこの技を回避する。
「戦地で様子見とは甘い考えだな。」
傷を負う覚悟で前に攻め込んでくる。
多少のダメージを計算に入れて来るのは厄介だ。
俺も近接戦闘は割と出来るようになっているが、目の前の糸目と比べると劣っている。
それを理解しているから、なるべく距離を取りたい。
中途半端な距離でも射程圏内に入る。
出来れば一気に距離を取るべきだろう。
「考えが手に取る様に分かるぞ。」
「だろうな!けど、これはちょっと予想外なんじゃ無いの?」
霧がどこからともなく現れる。
徐々に濃さを増す霧。
距離を詰めないと行けないのは分かっていても、こうなれば迂闊には近寄れないだろう。
俺の望んでいる展開が作り上げられた。
「浅はかな考えだ。これだとお前の攻撃も当たらないだろ。」
「そいつはどうかな?」
霧の中で飛び出す水の弾。
しかも、正確に敵の位置を捉えている。
相手は混乱した。
声か匂いか体温か、どれがこの視界の悪い中で的確な命中率を生み出すのかが分からない。
「お前はもう俺の術中なんだよ。」
黙り込んだか。
声で判断していると勘違いしているみたいだな。
そんな事では判断していない。
悲鳴を運ぶ歌姫が直撃した時点で俺の勝ちは決まったも同然だった。
固有スキルにも関わらず、少し威力が低かった事に何の疑いも持たなかったのが敗因だ。
本来の効果は攻撃なんかでは無い。
歌声を聴いた者の位置が常に分かる様になる。
それは術者、つまりは俺が解除するまで永遠に。
何で昔の俺はこんな技を考えたのか。
思い出せるけど、思い出してしまうと気持ち悪がられるのでやめておく。
あれだから、妄想の中だけに留めておいたから。
「馬鹿も休み休みに言え。お前に有利なフィールドがあっての余裕。ならば、この霧を晴れさせるのみ。『風魔法』"サイクロン"」
吹き荒れる風が視界をクリアに・・・しなかった。
どれだけ風で吹き飛ばそうとしても霧は全く晴れない。
それどころかより一層濃くなる。
「どうなってるんだ。」
「知る必要もない事だ。だって、今から俺に倒させるんだから。」
火の弾を生成する。
霧の中で薄らと光る灯火に気付かない相手では無い。
だからこそ、このフェイクが効く。
「終わりだよ、お前は。」
確実に相手の背中を捉えた。
飛び散る血。
赤く染まった刀。
その瞬間に勝利を確信した。
「阿呆が。自ら近寄るこの時を待っていた。」
背中からは血が出ているが、それでも動く糸目。
痛そうな顔の1つも見せないのは普段からその様に訓練しているからなのか。
「お返しだ。『闇魔法』"ブラックシャドウ"」
禍々しい球体が俺の方へと飛んでくる。
避ける選択肢を取ろうにも、この距離では背中を見せられない。
だったら、取れる選択肢は1つ。
「"映像模倣"」
同じスキルをぶつけて相殺する。
単純明快な方法だけど、これが確実に技を止められる。
「弱いな。それでは私に勝てない。」
まさかの出来事だった。
相殺されると思っていた技が打ち破られてしまう。
何故だ。
同じ技を使っているはずなのにどうして負ける事があるのか。
動揺よりも不思議に思う感情が勝った。
闇の弾が俺に当たる。
全身に広がる苦痛に悲鳴が上がりそうだ。
でも、ある程度は威力を削っておいたお陰で耐えられる。
被弾は両者共にあるが、俺の方が少ない。
ここからまた距離を離してチマチマと削れば勝ちが見える。
例え、それが狡い戦法だと言われても勝てるならばそれで良い。
「どこへ行くつもりだ?」
そんな考えが簡単に許されるはずも無く、ピッタリと俺の後を付ける糸目。
一歩下がれば、こちらへ一歩近付く。
所々に攻撃も織り交ぜて牽制も忘れていない。
最初は俺のペースだったのに、既に相手のペースに飲み込まれてしまった。
「どうした?先程のまでの威勢は。完全に勢いを失っている様に思える。」
「敵の心配かよ。まずは自分の心配をした方が良いぜ?」
「今から私が負ける未来が見えない。」
この余裕がどれだけ持つか。
距離が取れないなら、不意打ちでゼロ距離まで詰める。
一瞬だけ驚いた表情を見せるが、すぐに反応して拳銃を構え出す。
俺の刀が届くのが早いか、それとも相手が引き金を引くのが早いか。
響き渡る発砲音。
先に攻撃が出来たのは糸目の女の方だった。
ニヤッと笑っているのがよく分かる。
だけど、焦らなかった。
弾丸のスピードは今までの敵の攻撃よりも遅い。
この距離では躱すことが出来ないだろうけど、即死を避けることは出来る。
相手と同じ思考だ。
敢えて喰らって、無理矢理こちらの攻撃を通す。
最後の攻撃は互いにスキルを使わない一撃。
勝敗はついた。
勝ちはいただいていく。
倒れ込む糸目の女。
腹部をガッツリと突き刺したので、動けないだろう。
「敵を生かすな。戦いにおいて情けを掛けられた者がどれだけ惨めか分かるだろ。」
「うっせー。生死は勝った方に委ねられたんだ。負けた奴がとやかく言う筋合いはねーよ。」
「私をこのまま生かせば、必ずお前を殺しにまた戦いを挑みに来るぞ。それでもお前は同じ様に生かすと言えるか?」
「何度でも言うね。お前から命狙われなくても常に死と隣り合わせなんだよ。敵が1人に増えようが2人に増えようが対して変わらない。そもそもだな、生かしておくのがお節介って言うなら、わざわざ殺せと言うお前もお節介だ。」
「いちいち、揚げ足を取る奴だ。好きにしろ。」
疲れた。
他の奴らはまだ戦闘中みたいだ。
俺も助けに行かなければならない。
だけど、もう少しだけここで息を整える。
それは3人が負けるはずが無いと信じているからだ。
◇◆◇
地面に転がるアイリス。
その周りには大量の血が広がっている。
「弱いな。雑魚の1人に過ぎん。興味を失った。」
それでも返事は無い。
あのアイリスが簡単に負けるはずがない。
誰もがそう思うかも知れない。
だからこそ、この現状が信じられない。
「さて、どうやらヴィオレットがやられたみたいだな。そっちの方へ向かうか。」
アイリスはまだ倒れている。
死んだのかと思う程に動かない。
ただ、斧を握っている手がピクリと動く。
彼女はまだ動く。
戦う為に動く。
「こんな美少女放っておいてどこ行こうってのよ。」
斧を杖代わりにして立ち上がる。
肩で息をして、意識を保っているのがやっとの様子。
「ふははは!やはり楽しませてくれる女だ。まさか立ち上がるとは。」
「まだ戦いは始まったばかりでしょ?」
ここから逆転する事が出来るのか。
それは神のみぞ知る事だ。
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