第072話 人の視線は気になる
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俺達は洞窟の中の気味が悪い道を歩いていた。
先に避難した国王様と合流するという話だったが、本当にこんな場所に避難所があるのだろうか。
「そろそろ着きます。」
アレンテがそう言ったが、この景色を見るだけでは信じられない。
「ここから先が避難所です。」
頭の中に疑問符が浮かぶ。
壁に向かって、ここから先が避難所だと言っているからだ。
混乱中の俺達への説明は省き、壁に向かって何かを始めた。
適当な所を触ってみたり、ノックしたり。
そして、10秒程色々な事をやった結果壁だったはずの場所が動き始めた。
一見、ただの壁に思えた場所が隠し扉になっていたのか。
この仕組みからも、何か緊急事態に備えて作られたのが分かる。
流石にここを短期間で特定するのは、アイツらでも不可能だろう。
隠し扉の中へ入って少し歩くと広間の様な場所に出た。
そこには騎士団のメンバーと国王がいた。
「パパ!」
ネムリが国王の下へと走り出す。
幼いながらにここまで耐えていた感情が、国王との再会で溢れ出して来たのだろう。
「よく頑張ったなネムリ。後はパパに任せなさい。絶対になんとかして見せるからね。」
いつもとは違う優しさの顔を見せる。
この瞬間だけは国王では無く、ネムリの父・サイモンとして娘との時間を過ごしていた。
現状は少しでも話合う時間が欲しい所だが、この時間だけは誰にも邪魔出来ない。
一頻り感動を分かち合った後に、騎士団のメンバーが口を開いた。
「まずは、我々がいながらこの様な結果になってしまい大変申し訳ございませんでした。」
全員が息を合わせて頭を下げる。
死ぬ可能性もあった事を考えると失態の2文字では片付けられない。
厳しい国王ならば、死刑宣告が下されてもおかしくはないだろう。
「頭をあげなさい。今回の件は確かに君達のミスでもあると私は思う。」
「仰る通りでございます。処罰は如何様にも。」
「だったら、君達のするべき事はわかっているね?」
「はい。国王様が許していただけるのであれば、再三の失態を拭うべく、次こそは殲滅いたします。」
「その言葉が聞けたなら私は満足だよ。期待しているからね。」
その優しさが必要かどうかはさておき、国王の人間性の高さが窺える。
これが彼に付いて行きたくなる理由の1つだろう。
名ばかりの国王なら、ここまで騎士団が深い忠誠を誓うはずもない。
「ここからどうするかですよね。」
「見つけ次第敵を殺していく。それ以外に何がある。」
「敵の数は?目的は?アジトは?」
「そんなのいちいち調べていられないだろ。」
「そうだよな。調べるにも時間が掛かる。だからこそ、慎重に。それが鉄則だろ。」
熱くなる議論。
どちらの言い分も間違えでは無いからこそ、譲れない戦いになっている気がする。
エルマードを擁護する訳では無いが、情報の無い段階で動いても何の解決にもならないのは事実だ。
「黙って、この仕打ちを許せと言うのか!!!」
簡易的に設置されたテーブルを激しく叩く。
気持ちが昂っている時に、きちんとした話合いは出来ない。
だからこそ、周りの騎士団がフォローする時間を設けて落ち着かせる。
「今回の件に関しては相手が2枚も3枚も上手だった。だから、監視の目を厳しくする。」
「でも、この人数では流石に限界があります。」
「敵の活動範囲と出現頻度から敵のアジトも王都のどこかにあると推測出来る。それなら、王都全体を監視していれば相手も動き難いだろ。」
「ちょっとちょっと!僕の話も聞いてくださいよ!」
1番若いであろう騎士団員がツッコむ。
確かに問いと解答が合っていない気がするけれど、これはエルマードの語りに、割って入ったから語りに夢中で対応出来てない図である。
「あるだろ監視の目を増やす方法が。」
「王都のギルドに依頼ね。冒険者なら技術や実力は置いておいて数が多いから。」
赤髪の女が誰でも思い付きそうと言わんばかり答えた。
「半分正解だが、もっと広げられる。監視だけで言えば戦闘をする必要が無い。だから、国民全員が監視すれば良い。」
「言いたい事は分かる。報酬をある程度用意すれば国王陛下の人柄もあって一定数の協力は期待出来るだらう。しかし、それだと情報の錯乱が絶対に起きる。ただ金銭を目当てにした奴等の情報や勘違いなどで起きるズレが混乱を招く。例え1人、2人だったとしてもな。」
「それでも良いのよ。本質は情報を得る事では無くて、見られているという事実を突き付ける事により動きを制限させるのが狙いなんだから。国全員が敵と分かれば作戦を変える可能性だってある。」
「動きを制限させて時間を作り、焦らずに行動するって作戦か。それは確かに良い案かも知れない。こちらで進めておこう。」
こんな意義のある討論をしている中で申し訳無いが、俺ならその問題一発で解決出来ます。
なぜなら、敵の構成員の中に裏切り者がいるから。
アイツをまたリッドナーブルから呼ぶと裏切り者として殺される可能性もあるし、ついさっき送り届けたばかりで呼び戻したく無いという自分がいる。
「俺なら敵の本拠地が分かる。」
何を言っているだと白い目で見られる。
それも仕方の無い事だとは分かっている。
何故知ってるのか、どうして今まで言わなかったのか。
問い詰めたい所は沢山あるが、誰一人として聞いて来ない。
「ハァー。案内しろ。」
呆れて物を言えなくなったみたいだ。
騎士団数名を残して、後は俺の案内の下で動く。
避難所から出る際には細心の注意を払って、扉を開ける。
ここで誰かが待ち構えているなんて事は無いだろうけど、念の為。
なるべく姿を隠しながら移動する。
相手にこちらの動きを悟られてしまえば、こちらからの奇襲が台無しだからな。
何と無くで覚えている道を辿って、街を歩いていると様子がおかしい事に気付く。
あまりにも人の気配が無いのだ。
「これは一旦。」
「今は気にしてられないわ。行きましょう。」
天気は小雨。
だから、外に出るのを躊躇っていると思いたい。
「ここが敵のアジトだ。」
前回、俺が捕らえられていた場所に辿り着いた。
「見張りが2人か。俺達なら簡単に倒せそうだけど、迂闊に近付くのは良くないな。」
見張りは明らかに下っ端の構成員だと分かる。
隙も多ければ、やる気も感じられない。
何より、片方が居眠りをしているのがその証拠だ。
エルマードが先端にサプレッサーが付けている拳銃を構える。
起きている方を音も立てずに殺せば、寝ている奴や気付かない。
そうすれば、ほとんど2人倒したのと同然。
引き金を引く。
近くからでも音は小さい。
距離が少し離れている扉の近くでは全く聞こえないだろう。
「敵が来たか。」
眠っている男が、いきなり目を開き弾丸を素手で掴んだ。
色々と驚く所はあるが、奇襲は失敗。
ここからは正々堂々と戦う以外の選択肢が無い。
「ほう。ぞろぞろと来たな。アイツを逃した時点であり得ると思っていたけど、やはりか。」
「随分と余裕そうだな。」
「余裕そう?当たり前だろ。強者が弱者に恐れる道理など無い。」
この余裕、腹が立つ。
俺達の事など相手にもしていないような会話の仕方だ。
だけど、その程の実力があるのは肌で感じる。
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