第006話 エルフが美男美女なのはテンプレ
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ゴブリン達は俺の厨二病技を持ってしてもしぶとい。
倒しても倒しても押し寄せてくる。
このままだと消耗戦になってしまい、こちらが圧倒的に不利だ。
まずは、無限に湧き出るゴブリンの謎を解くのが最優先に考えよう。
「一旦、引いて体勢を立て直すぞエルマード!」
「んなのは、分かってんだよ!その前に逃げるだけの隙を作らねーと!」
逃げれるだけの隙って言っても、現状は余りにも悲惨。
永遠にゴブリンの相手をしているエルマードと俺を助けてくれた少女は、体力的に限界を迎えている。
そして、何より怪我人の多さが問題だ。
エルフ数名がゴブリンによる攻撃によって、身動きが取れない程の怪我を負っているのをさっき確認した。
特に酷い怪我をしているのは、明らかに村長顔をした老いた老人だ。
「大丈夫ですか。って、血が出てる。」
俺が驚いたのは助けに行った老人から血が流れていたからではない。
血が流れている部分が心臓付近だったからである。
異世界に来て初めて見る血が、まさかここになるとは。
出血は止めるためには、急いで服を切って老人に結びつけた。
「ワシの事はもう良い。それよりも、他の若い衆をここから逃してやってくれ。」
「でも、そしたら確実に死ぬぞ。血の量もかなり出たみたいだし、このままだと血が足りなくなる。」
「良いんだ。夢ならもう沢山見て来た、人間種と違って、ゴハッ!・・・ハァハァ。長生きもするからな。ただ最後にやらないといけない事がある。だから、肩を貸してくれ人間種。」
応急処置をしたばかりなのに動こうとしている。
本来であるなら絶対的に安静にしておかなければ、傷口が開く。
しかし、そんなことよりも伝えてるべき事があるらしい。
「よく聴くのだ!今、悪しき者による謎の襲撃でエルフは壊滅状態に陥ろうとしている。それでもイリミ様だけはお守りするのだ!そうすれば、エルフを導いてくれるはずだ!」
「そうだよなー!」
「行くぞー!」
軽傷を追っていたエルフ達は自力で立ち上がり、あの美少女を取り囲むようにしてゴブリンの前に立ちはだかる。
それでも、焼き石に水でゴブリンの数の方が圧倒的に多い。
倒しても倒しても終わらない地獄。
「おじいさん。この森の中で逃げるのに向いてる場所はあるのか?」
「それなら、エルフの里へ行くしかない。あそこなら、高位の結界が張ってある。ゴブリンもそう簡単には・・・」
話の途中で老人は息絶えた。
目の前で死んだ。
人は死んだらすぐに冷たくなるかと思ったが、まだ今まで生きていた証拠として体温が残っている。
それが余計に悲壮感を掻き立てる。
「エルマード!俺の近くまで来れるか!?」
「簡単に言ってくれるなよ。」
近くにみんなを集める事さえ出来れば、ここを何とか逃げれる方法がある。
少しずつ後退してくるエルマード。
しかし、またもやハプニング。
エルマードの使っている銃の弾が切れてしまったみたいだ。
その隙をゴブリン達は見逃してくれなかった。
一斉にエルマードを取り囲んで、袋叩きにしている。
これだと無闇にスキルを使えない。
使ってしまえば、確実にエルマードを巻き込む事になる。
「『水魔法』"アクアウェーブ"!今のうちにこちらへ!」
イリミの放った魔法は的確にゴブリンだけを撃ち抜いて行く。
そこまで鍛え上げるのにどれの苦労をして来たのか。
気になる所ではあるが、このチャンスを逃す訳にはいけない。
怪我人を途中で拾いながらも、全員一箇所に。
「こっからは俺の番だ。全員、捕まっておけよ。薄れゆく気は誰も見破らず、いずれ見えざる姿を与える"隠者の心得"」
「これは・・・。」
「いきなり、ゴブリンが俺達を見失っているぞ。」
「俺も最初は驚いていたが、段々と慣れて来てしまったな。」
俺が派手な攻撃技だけ考えていると思ったら大間違い。
こんな器用な技だったある訳なんだよ。
作った時は自分でも地味な能力設定にしたなと思ったけど、見れば見るほど渋いのが良いという感覚に陥ったのだ。
ちなみにこれで、何度も学校をテロリストから救った経験がある。
はぁー、あの頃の俺何やってたんだよ。
勿体無い青春時代を送っていた様な気もするが、あの暗黒期が無ければ今の状況は作れていない。
なんとも複雑な気持ちである。
そんな事を置いておき、このままゴブリンに見つからないようエルフの里へ送る事にした。
「どうしていきなりゴブリンが襲い掛かって来たんだ?」
あの状況になった理由を聞く権利ぐらいはあるよな。
「それが私達にも分からないのです。ゴブリンは元々知能の低い魔物なので、あれほど統率の取れた行動を取るはずがないのです。考えられるのは、『召喚』や『使役』の使える人間種が私達を襲って来たのだと思います。」
「何故、人間種だと断言出来るのですか?」
「助けた俺達も人間種だから言いづらいだろ。俺から説明してやる。エルフは元よりその美形から人間に攫われる事が多かったからだ。言わば、人間とエルフは水と油。決して混ざり合う事のない敵対関係という訳だ。」
なるほど、そっちのパターンの設定ね。
人間嫌いのエルフは良くある設定なので、これ以上説明されなくても分かる。
イリミを冒険の仲間に誘う計画だったけど、その話を聞いた後なので止めておくことにした。
エルフの里に着いたらすぐにでも次の街を目指すか。
それにしても気まずい移動時間になってしまったな。
俺もイリミが仲間にならないと分かった瞬間にテンションガタ落ちだし。
平然としているのは、ノンデリエルマードくらいだ。
あんなにハッキリと言う奴がいるかよ。
こいつには次回からオブラートを持たせて歩く必要があるな。
「着きました。ここがエルフの里です。」
おぉー、ゲームとかで見る世界樹レベルで大きな木が一本生えており、その木の周りに集落を気付いている。
普通の村だったらガッカリするなと思っていたが、想像通りのエルフの里で大満足。
おっと、少し観察し過ぎてしまったか。
このまま滞在すると、気を遣ったエルフが何を言い出すか分からない。
日本人は気を遣うのは好きな癖に、気を遣われるのは嫌いだからな。
エルフが何やらコソコソ会議している間に出発するか。
「行こう、エルマード。」
「良いのか?エルフに強請れば、礼の一つくらい貰えるんだぞ。」
「どんだけ強欲なんだよ。」
「いや、見返りを求めない人助けは、人の為にならない。俺の実体験だ。」
どんな経験則か知らないけど空気を読めよ!
俺が折角格好付けているのに台無しだ。
「良いから行くんだよ。こういうのは礼の一つもさせずに立ち去るのがカッコいいって相場が決まってんだから。」
「お待ちください!」
あぁ、そうこうしている内にエルフが声を掛けて来た。
俺のプランが崩れ去っていく音がする。
このまま強行突破というのも考えたが、話し掛けられて無視と言うのをバツが悪い。
「あの、よろしければ私達の里にお泊まりしていただけませんか?命を助けていただいたお礼がしたくて。」
「やめとけ。お前がどれだけアホかは知らないけど、人間とエルフの隔たりは思っている以上に深い。」
よし、一回コイツを黙らせよう。
口を無理矢理抑える。
これ以上の発言はエルフの機嫌、いやイリミの機嫌を損なう。
それだけは避けないといけない。
「もちろん、そちらがよろしければ宿泊させてください。」
口を抑えているのに、まだ何か喋ろうとして踠くエルマード。
しばらくしたら、動かなくなったので安心だ。
ん?動かなくなった?
酸素が足りなくてぐったりとしてエルマードに俺は謝り続ける事になった。
しかし、エルフの里に宿泊という大きな権利を得たので大満足だ。
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