第058話 いくら何でも足りないでしょ
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「どうですか?もう動かして大丈夫ですよ。」
その言葉を聞いて手を握り込んだり緩めたりする。
まさか自分の腕が戻って来るとは思っていなかったからなのか、腕が戻って来た実感が湧いていない様子。
何度も入念に確認してようやく自分の腕が戻って来たと理解する。
「これが新しい俺の腕。」
「そうです。しかも、特別な仕様になっていて、集中すると何かを感じませんか?」
言われるがまま、集中する為に目を瞑る。
そして、その何かを探し始めた。
次に目を開けた時、エルマードは喋らなかった。
自分の身に起きている事が信じられないのだろう。
他の2人は何が起こっているのか分からないので、説明を欲しそうにしていたが、俺は何と無く理解している。
体の中にあって、集中すると感じ取れる物なんてそう多くない。
「魔素が・・・、流れている。」
「その腕は空気中の魔素を直接体内に取り込む効果があります。残念ながら、取り込める量で言えば少量になって来ますが、必ず貴方の助けになるでしょう。」
今まで固有スキルしか使えなかったエルマードだが、通常のスキルも使えるようになれば戦闘の幅は大きく広がる。
魔素の量自体はそこまで多くないらしいので、多様は出来ないだろうけど。
「まさか、俺に魔素が流れる事があるとは。」
「何?もしかして泣きそう?」
「感動を通り越して、どの感情でいれば良いのか分からない。夢の世界にでもいるみたいだ。」
魔素が後天的に発生するケースは極めて稀かあり得ないのかもな。
一通り動きに異常が無い事を確認すると俺達やオリジンに深く頭を下げた。
仲間だから当たり前の行動を取ったまでだが、それでもエルマードの気持ちを汲み取って素直に受け入れた。
こうして、俺達の初となるダンジョン攻略は幕を閉じていく。
失った物も多いけれど、普段は見れないエルマードの表情を見れただけでも良しとしよう。
「地上までこの奥にあるポータルに乗れば一瞬で辿り着きます。」
「丁寧なんだなアルカナ獣って。」
「アンタ、この異常性を理解してないでしょ。幻の生き物が目の前にいるのよ?」
そう言われるとそうだった。
アルカナ獣の存在は、前の世界で言うツチノコやユニコーンと同等。
居たと言われても信じては貰えないレベルだ。
でも、俺はこっちの世界に来る前に別のアルカナ獣ともあっている。
もっと言えば、女神にも。
口が裂けてもそんな事は言えない。
だから、周りの反応に少しは合わせないといけないな。
その辺は追々、異世界で生活する上で学べば良い。
とりあえず今は地上に出てゆっくりとしたい。
「良かったですよ。このアーティファクトが守れて。他のダンジョンのアーティファクトも早く回収して、アイツの野望を阻止しないといけないですから。」
◇◆◇
久しぶりの外の景色。
抱いた感想は眩しいだった。
ずっと洞窟の中にいて時間感覚が無くなっていたが、どうやら今は朝らしい。
朝日が丁度昇るタイミングだったので、綺麗な景色が見れた。
ダンジョンはまだ形を残している。
今後、このダンジョンがどの様な扱いになるのか気になる所だ。
「アタシ達は今からこの足でギルドへ向かうわ。付いて来るのも来ないのも勝手だけど、どちらにせよギルドカード偽装の事は話す。少しでも新たな歩みを進めたいなら自分の口から話すべきね。」
「親切にありがとう。でも、俺らはアンタらが思っているよりもずっと前から汚れてるんだ。だから・・・。」
「もう終わりにしようよタタル。私、これ以上は耐えられないよ。辛いそうにしているタタルを見るのは。」
タタルは悩んでいる。
俺達は一度だけ見逃すつもりでいる。
この場から立ち去ったとしても、追い掛ける様な真似はしない。
ただ、大事な何かは2度と取り戻せ無くなる。
だから、この悩む時間があるのだ。
あって然るべき時間である。
「分かった、分かったよ!罪を認める。余罪も出て来るだろうけど、1つ約束してくれ。エスクは無関係なんだ。」
「ダメよ。同罪なんだから。それに仮に何もしていなかったとしても止められなかった事は問題よ。」
「ちょ、ちょっとアイリスさん。厳しすぎますよ。一応、みんなで脱出した仲じゃないですか。」
余りにも正論過ぎる意見。
許してあげる雰囲気が出てた感動過ぎるシーンでも、アイリスは自分の芯を曲げない。
調和を重んじるイリミは、厳し過ぎるアイリスの態度を見て慌てている。
どうにか説得してみるも首が縦に振られる事は一度も無い。
「アイリスの事だ。自首は促すが、攻略に貢献した事を考えて減刑を申し出ていただろ。」
「・・・、まぁそうなっていたかも知れないわね。あくまでも可能性があるだけよ、可能性が。」
「なんだー。素直じゃ無いなーアイリスさん。」
「言う様になったわねイリミ。ダンジョンで体力的にキツそうな場面もあったみたいだし、今から特訓でもしておく?」
「た、助けてくださいリューマさん!」
俺を盾にするのはやめてくれよ。
エルマードなら効果あるかも知れないが、俺なら諸共斧の錆となる事だろう。
「で?何で、イリミとリューマは大きなタンコブつけて戻って来たんだ。」
「聞かないでくれ。」
「右に同じく。」
関係無いはずの俺まで巻き込まれてしまったが、ここで文句を言えば余計に叩かれかねない。
ならば、沈黙しておく事でこれ以上の被害を減らす。
ギルドマスターにはダンジョンで起こった事を依頼完了の報告も兼ねて説明した。
信じられない様な話を聞かされて、ずっと口を開けたままのギルマス。
それも仕方無い。
ただでさえ、攻略困難と言われたダンジョンをほぼ4人で攻略。
魔王軍十二席の1人の討伐。
アーティファクトこそ回収できなかったが、十分過ぎる成果と言えるだろう。
「さて、しっかりと依頼をこなしてくれた4人には報酬を。そして、他者のギルドカードを使い偽装した2人だが、ダンジョン攻略に貢献した事を考慮して今回は不問とする。余罪に関しても、ギルドが裁く立場に無い為、聞かなかった事にしてやる。」
「「ありがとうございます!」」
「ありがとうございますじゃないわよ!忘れてたは報酬の件よ!」
お金の話になると急激に態度が変わるアイリス。
言いたい事は分かる。
これだけの結果を残したのにも関わらず三億だけでは足りないよな。
何回俺達が命を落とし掛けた事か。
「分かってるよ。そんな睨み効かせ無くても1人1億5000万ゴールドで6億ゴールドにしてやる。」
「何言ってんのよ。魔族、それも魔王軍十二席を倒してるのよ合計7億よ!な・な・お・く!」
「まじかよ。まぁ、そんくらいは必要かぁーー。待ってろ、今すぐ持って来させる。」
10分後、箱に詰められた大量の札束。
任侠物とかでしか見ないよ、こんなシーン。
触りたくてウズウズしているけど、下品かなと思い自制しておく。
てか、ギルドってどれだけ儲けがあればこんな大金を一瞬で用意出来るんだよ。
「これ、アンタ達の取り分よ。命掛けたのに何も無いのは可哀想でしょ。」
2人に合わせて1億ゴールドを手渡す。
まさかあの時、1億ゴールド上乗せで請求したのはこの為だったのか。
めっちゃカッコいいやん。
俺も今度真似してみようかな。
泣き崩れる2人。
俺達はそのすすり泣く音を黙って聞き届けた。
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