第057話 最後に想うは貴方
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「密着すれば攻撃が飛んで来ないとでも?安易ですね。」
「それもあるけど、それだけじゃ無い。"映像模倣"」
俺の身体能力では補え無い分をスキルで補う。
密着したのは攻撃を躊躇わせる為でもあるが、近接戦を仕掛ける為でもある。
魔素を流せば攻撃が当たる可能性があるなら、それを試すしかない。
「無価値な争いです。」
まさか、自分諸共攻撃してくるとは思ってもいなかった。
ここまで来れば、俺も手を緩めない。
せめて相打ちには持っていく。
偽オリジンの攻撃は自身には当たらずすり抜けて俺にだけ飛んで来る。
数発が俺に命中しているが関係無い。
痛みは覚悟している。
刀を振る。
今度は確実に偽オリジンを切り裂いた。
「何ッ!?先程、完璧に対策したはずなのに!」
「魔素は纏うだけじゃねー。放つ事も出来るんだぜ。」
コイツが魔素に関する知識が無くて良かった。
全放出した事により攻撃が当たるようになっていた。
本来はエルマードの様に酔いや吐き気が襲うはずだが、それは何かしらの力で無効化されているのかも知れない。
だからこそ、気付かなかった。
完璧過ぎるのも考え物だな。
1回の攻撃を当てるのに、体がボロボロになっているので成功と呼んで良いのか。
痛みは体の動きを鈍らせる。
そして、集中力も徐々に奪われていく。
このまま消耗戦になれば、分が悪いのはこちらだ。
メンバーが半壊している状態だからな。
特にエルマードは動けなくなっている。
腕を一本斬り落としたのだから当たり前だ。
今まで痛みに耐えていた方がすごい。
イリミがここで目を覚ます。
状況を把握するまでに時間は掛からない。
起きたばかりで申し訳無いが、エルマードの治療にすぐさま入って欲しい。
下手をすれば死ぬ可能性もある。
「アイリス、いけるか?」
「アンタこそ傷だらけだけど、大丈夫なの?」
「俺が確実にトドメを刺す。だから、アイリスには極限まで時間を稼いで欲しい。」
「具体的な時間は?」
「3分。」
「余裕ね、オマケで5分にしてあげる。」
この余裕は本心からでは無く、俺に気を遣わせない為だろう。
本当は3分も時間を稼ぐのは至難の業だと理解している。
だけど、これから試す技には時間が必要だ。
俺は地面に座り、空気中の魔素を取り込むイメージをする。
同時進行妄想の力が上手く発動すれば、絶対に成功するはずだ。
俺の強みは妄想力。
そこに無限の可能性を秘めている。
細部にまでこだわった妄想はより力を強める。
力を取り込み、1つにまとめ上げろ。
そうして出来た魔素の塊は強大な破壊力を生み出す。
「覚悟は出来てるか?」
「!!?『星霊術』"スター・・・」
「おせぇーよ!」
魔素の塊は一直線に偽オリジンへと向かう。
直撃を確認。
これで終わりだな。
「見てみろよ。結構な被害だ。」
「い、生きてるぞー!俺、生きてる!」
ククルの生命力には驚かされる。
積極的に戦闘へ参加していなかったとはいえ、傷1つ無い。
エスクも同様に傷は見られない。
「大丈夫か?」
1番の負傷者であるエルマードの下へ行く。
一言目は謝罪であるべきなのは分かっているがどうしても出なかった。
後悔や罪悪感、その両方がそうさせている。
「悔やむな。顔を見てれば何を考えているか分かるぞ。」
「うるせー、自分だけカッコよく決めやがって。」
「それぐらい言える元気があれば問題無いな。」
「ごめん、俺のせいで。」
「その言葉で気持ちを切り替えろ。腕なんか義手を作れば問題無い。寧ろ、冒険者は義手義足の奴らも多い。それだけ危険のある仕事だからな。」
俺の事を気遣った言葉。
心が痛むけれど、これ以上は気にしている素振りを見せてはならない。
それをエルマードが望んでいるのだから。
「カハッ・・・。痛い。私が敗北するだと。」
後ろから声が聞こえる。
まさかあの攻撃を喰らって生きているだと。
焦って俺達はフロアボスの下へと駆けつける。
しかし、虫の息なのは見て明らか。
喋れているのも不思議なくらいだ。
「私は所詮出来損ないだったのだろうか。ただ、私を作ってくれた彼に認められたかっただけなのに。どうしてこうも上手く行かないのか。この人格も所詮は偽物、作られた物に過ぎない。」
「このダンジョンは人工的に作られたと言うのか?」
「このダンジョンだけじゃ無い。この世にある全てのダンジョンは彼の手によって作られた。あぁ、私の主人よ。最後にあの暖かな手で優しく撫でて欲しかった。」
最後の言葉は儚かった。
コイツにもコイツなりの人生があって、それを俺達の手で終わらせた。
勿論、殺し合いの場ではあった。
だから、同情は無い。
ただ、何とも言えない気持ちになっただけだ。
「さぁ、この扉の奥へと向かうぞ。」
エルマードが先に扉へと向かっていた。
一刻も早く地上に戻って治療を受けたいのだろう。
その気持ちを汲み取って俺達も後を追い掛ける。
最後の扉。
そう思うと感慨深い物がある。
代表して俺が扉を開けた。
開いた扉の先には鎖に繋がれた1匹の動物と大きな宝箱。
他の仲間は武器を構えたが俺はコイツが敵では無い事を知っている。
「本物のアルカナ獣だ。」
「本当か?コイツが本物かどうかは分からないだろ?もしかすると、あのフロアボスの様にダミーの可能性も。」
「今から証明するから。」
アイリスから斧を借りて鎖を壊す。
すると、眠っていたオリジンが目を覚ました。
どのくらい封印されていたのだろう。
下界にアルカナ獣がいる事も不思議だ。
聞きたい事は山ほどあるが、今はアーティファクトを回収して地上に戻る事が優先だ。
無視して宝箱を開けようとすると慌ててオリジンが止めに入る。
「ちょっと待ってください。私が目を覚ましてそこから色々やり取りをする流れでしょ。」
「悪いけど、負傷している仲間がいるんだ。今はすぐに戻りたい。」
「待ってください。貴方達、特にそこの彼にとって良い話があるのです。」
「端的に話してくれ。」
「私は長い間封印されていました。その封印を解いていただいたお礼にそのなくなった腕を治してあげましょう。」
そんな事が出来るのか。
いや、アルカナ獣の力があれば造作も無い事だろう。
その申し出は願ってもいない。
断る理由も無いので二つ返事で了承しよう。
「ただし、何かを代償にしないといけません。彼の腕に匹敵する物はこのアーティファクトくらいです。彼の腕を治す為にはアーティファクトは諦めていただくしかありません。」
一瞬、全員で顔を見合わせる。
そして、エルマードが何かを口にする前に返事した。
「それで良いから治して欲しい。」
「待て、アーティファクトは俺の腕よりも価値のある物だぞ。」
「腕を治してくださいエルマードさん。」
「そうよ。片腕だとアタシを強く抱きしめられないでしょ。」
途中で私情が混じった奴がいるけど気にしないでおこう。
「それならささやかなプレゼントも用意してあげますよ。」
そう言いながらエルマードに触れる。
触れたと同時にメキメキと生える手。
感動的なシーンかも知れないが、生え方がキモいと思ってしまったのは俺のせいでは無い。
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