第056話 力に頼らない方法
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身動きの取れない偽オリジンは暴れ出した。
どれだけ足掻いても抜け出せないと分かっても尚暴れる。
いくら強固な拘束とはいえ、相手もフルパワー。
このまま暴れ続ければ、いつかは拘束が解ける。
五重発動したイリミは気絶して離脱。
タタルとエスクの手によって安全な位置まで移動はしているが、これ以上戦闘には参加出来ないだろう。
上記の理由で、イリミを守る為にタタルとエスクも守りに徹して欲しい。
残されたのは俺、アイリス、そして片腕を斬り落としたエルマード。
3人で倒す為には単純な力だけで無く、知恵も必要だ。
俺に作戦を立てる脳みそがあれば良かったが、生憎持ち合わせてはいない。
「時間が無いのは分かるよね?兎に角、アンタの出来る限りの一撃を当てるのよ。そうすれば、アイツを倒せる。この場を突破出来るのはアンタしかいないのよ。」
「俺の最高火力はアレだけど、使って自由に動ける保障はないぞ。」
「それは論外よ。アタシは固有スキルの方の話をしているの。いつもピンチを切り抜けて来たのは固有スキルでしょ?」
実績で言えばそうだ。
しかし、あの相手には効かない。
断言できる。
アルカナ獣に近い存在へと成ったアイツは、攻撃の殆どを無効化するだろう。
やれるだけやってみるが通用する様な相手では無い。
下手な攻撃をすれば死。
攻撃をしなくても死。
残されたのは完璧な一撃を叩き込む事だけ。
ならば、アレに頼るしか無い。
ダンジョン内でどれだけ発動させるのか。
頼り過ぎな一面もあるが仕方ない。
「任せたぞ!」
『俺は行かないぞ。』
初めての拒絶。
変わらないなんて事は今まで無かったので焦る。
「ふざけんな。俺の人格の癖に助けようとしないのかよ。」
『フッ、お前は俺であり、俺では無い。昔決別した人格だ。お前を助けた所で、否定する限り俺が自由になる事は無い。』
「なんでだよ!死んだらお前諸共消えるぞ!」
『だろうな。だから、代わってやっても良いぞ。ただし、条件付きだ。その指に付けているリングを外せ。そうすれば代わってやる。』
リングというのは、ミヤビから貰った物の事か。
これを外すとどうなるのか分からないが、外したら代わると言うならそうするべきだろう。
でも、このリングは外さない。
何か嫌な予感がする。
わざわざこのリングを指定する事が怪しい。
だから、外さないでおく。
『それがお前の選択か。ならこの試練、自分で乗り超えて来い。』
そうだよな。
全部頼ってばかり。
こんな危険な状態でも関係ない。
俺の力で乗り越える事が成長へと繋がる。
「風、鋭く万物を裂く。林、生命の源。火、触れて物皆灰へと変える。山、悠然と待ち構える。四つ交えて、最強へと移り変わる。"風林火山の極み"」
「程度は見切りました。それくらい無効化してあげましょう。」
四属性の攻撃。
そのどれもが最上級に匹敵する程の力を有している。
しかし、相手は1枚や2枚も上手。
何もない空間を切り裂き、別次元へと繋がる裂け目を作る。
吸い込まれて行った俺の技。
一瞬で無効化されたのは想定外だったが、これが最終形態の実力と言う訳だ。
「余りにも稚拙な攻撃ですね。」
「その割には随分と大層な穴開けてるじゃねーか!」
意識が俺の攻撃に向いていた隙に懐へと潜り込む。
コイツが近接戦をしているのを見た事が無い。
つまり、勝機は近接戦にある。
刀を生み出し攻撃のリーチを伸ばす。
届かないと思って動じていなかった偽オリジン。
確実にこの距離なら当たる。
案の定、刃が当たった感触はある。
しかし、血は出ていない。
何が起こっているのか目視で確認すると、切り裂かれた体の先には筋肉や血管などでは無く、真っ黒な世界が広がっていた。
どこに繋がってんだよアイツの身体は。
どんどん吸い込まれていく刀。
俺が飲み込まれる前に手放す。
近接も遠距離も無効。
不意打ちも効くかどうか怪しい。
なら、倒す方法があるのか。
諦めて思考を止めるな。
考えを放棄した者から死んでいく。
まだ、俺達には沢山のカードがある。
切る順番を間違えなければ絶対に勝てるはずだ。
「無駄の多い人間。先程は腕1本で済みましたが、今度こそ1人は持って行きたい所ですね。」
「余裕そうね。でも、その余裕がアタシの怒りを買ってるわ。『斧術』"龍殺し"」
「学習能力の無い人間ですね。その攻撃も私の体内に取り込まれて終わりですよ。」
アイリスにしては珍しく感情的な攻撃。
同じように異次元に飲み込まれるだろう。
そう思った瞬間だった。
今度はちゃんと飛び散る鮮血。
俺も驚いていたが、それよりも驚いているのは偽オリジン。
あれだけ無能だと嘲笑っていた人間に、傷を付けられてしまったのだ。
屈辱と怒り、加えて何故攻撃が効いたのかという驚きがあるだろう。
「バカなアンタには教えてあげる。武器に大量の魔素を流してあるのよ。その異次元も体内の一部なら、許容範囲を超えた魔素の攻撃は通る。最も普通に防いでいたなら容易く対処されたでしょうけどね。」
「この傷は私の慢心の表れと言いたいのですか。面白いですね。私を不完全だと呼ぶ貴方からまずはあの世へ送ってあげましょう。」
言葉は淡々としているが、それに伴わず口調は荒れている。
無表情を決めていた顔も次第に引き攣っている。
それ程傷付いた事に荒立ちが募っているのだ。
絶対的に上の立場だと思い込んでいるからそうなる。
もう一度同じ攻撃をして通じるかどうかは怪しいが、工夫をすれば倒せない相手でも無い。
「『星霊術』"星詠みの歌"」
歌声が聞こえる。
音がどこから出ているのか分からない。
近くに敵はいないはずなのに耳元で歌が聞こえるのが気持ち悪い。
歌声のせいで周りの音が完全に聞こえなくなる。
こうなると視覚に頼った戦闘をせざるを得ない。
一度でも視界から外れて見失えば、免れる事の出来ない死が待っている。
落ち着け、冷静になって動きを見ろ。
「─────」
なんて言ってるか分からない。
だけど、口が動いているのは分かる。
今から攻撃が始まるのか。
出来るだけすく反応して防御出来るように構える。
何も起こらない。
そんなはずは無いと思い、少しずつ後退して様子を見る。
徐々に聴覚が取り戻される。
同時に全身を走る激痛。
現状を理解するのに数秒を要した。
奪われていたのは聴覚だけでは無かったのか。
恐らく痛覚も。
幸いにも血が出て入るが致命傷には至らない。
来ている服を脱ぎ、出血している箇所に当て簡易的に止血をする。
イリミがいれば回復魔法を使って貰えるだろうけど、気絶しているエルフに無理はさせられない。
痛みはあるが、この世界に来て慣れてしまっている。
良い事では無いだろうけどな。
「本当は殺すつもりでしたが、貴方が動いたので狙いがズレました。」
「俺は運が良い方みたいだな。」
「それもいつまで持ちますかね。『血因術』"雨血"」
至る所に落ちている血が集められていく。
その光景は異様である。
しかし、そんな事は気にしてられない。
数秒後には攻撃が飛んでくる。
俺は敢えてもう一度偽オリジンの下まで走り出した。
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