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元厨二病の俺、スキル『妄想具現化』は強いけど恥ずかしいです  作者: 風野唄
前編 ダンジョン攻略

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第056話 力に頼らない方法

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

身動きの取れない偽オリジンは暴れ出した。

どれだけ足掻いても抜け出せないと分かっても尚暴れる。

いくら強固な拘束とはいえ、相手もフルパワー。

このまま暴れ続ければ、いつかは拘束が解ける。


五重発動したイリミは気絶して離脱。

タタルとエスクの手によって安全な位置まで移動はしているが、これ以上戦闘には参加出来ないだろう。

上記の理由で、イリミを守る為にタタルとエスクも守りに徹して欲しい。


残されたのは俺、アイリス、そして片腕を斬り落としたエルマード。

3人で倒す為には単純な力だけで無く、知恵も必要だ。

俺に作戦を立てる脳みそがあれば良かったが、生憎持ち合わせてはいない。


「時間が無いのは分かるよね?兎に角、アンタの出来る限りの一撃を当てるのよ。そうすれば、アイツを倒せる。この場を突破出来るのはアンタしかいないのよ。」

「俺の最高火力はアレだけど、使って自由に動ける保障はないぞ。」

「それは論外よ。アタシは固有スキルの方の話をしているの。いつもピンチを切り抜けて来たのは固有スキルでしょ?」


実績で言えばそうだ。

しかし、あの相手には効かない。

断言できる。

アルカナ獣に近い存在へと成ったアイツは、攻撃の殆どを無効化するだろう。

やれるだけやってみるが通用する様な相手では無い。


下手な攻撃をすれば死。

攻撃をしなくても死。

残されたのは完璧な一撃を叩き込む事だけ。

ならば、アレに頼るしか無い。

ダンジョン内でどれだけ発動させるのか。

頼り過ぎな一面もあるが仕方ない。


「任せたぞ!」

『俺は行かないぞ。』


初めての拒絶。

変わらないなんて事は今まで無かったので焦る。


「ふざけんな。俺の人格の癖に助けようとしないのかよ。」

『フッ、お前は俺であり、俺では無い。昔決別した人格だ。お前を助けた所で、否定する限り俺が自由になる事は無い。』

「なんでだよ!死んだらお前諸共消えるぞ!」

『だろうな。だから、代わってやっても良いぞ。ただし、条件付きだ。その指に付けているリングを外せ。そうすれば代わってやる。』


リングというのは、ミヤビから貰った物の事か。

これを外すとどうなるのか分からないが、外したら代わると言うならそうするべきだろう。

でも、このリングは外さない。

何か嫌な予感がする。


わざわざこのリングを指定する事が怪しい。

だから、外さないでおく。


『それがお前の選択か。ならこの試練、自分で乗り超えて来い。』


そうだよな。

全部頼ってばかり。

こんな危険な状態でも関係ない。

俺の力で乗り越える事が成長へと繋がる。


「風、鋭く万物を裂く。林、生命の源。火、触れて物皆灰へと変える。山、悠然と待ち構える。四つ交えて、最強へと移り変わる。"風林火山の極み"」

「程度は見切りました。それくらい無効化してあげましょう。」


四属性の攻撃。

そのどれもが最上級に匹敵する程の力を有している。

しかし、相手は1枚や2枚も上手。

何もない空間を切り裂き、別次元へと繋がる裂け目を作る。

吸い込まれて行った俺の技。

一瞬で無効化されたのは想定外だったが、これが最終形態の実力と言う訳だ。


「余りにも稚拙な攻撃ですね。」

「その割には随分と大層な穴開けてるじゃねーか!」


意識が俺の攻撃に向いていた隙に懐へと潜り込む。

コイツが近接戦をしているのを見た事が無い。

つまり、勝機は近接戦にある。


刀を生み出し攻撃のリーチを伸ばす。

届かないと思って動じていなかった偽オリジン。

確実にこの距離なら当たる。


案の定、刃が当たった感触はある。

しかし、血は出ていない。

何が起こっているのか目視で確認すると、切り裂かれた体の先には筋肉や血管などでは無く、真っ黒な世界が広がっていた。


どこに繋がってんだよアイツの身体は。

どんどん吸い込まれていく刀。

俺が飲み込まれる前に手放す。


近接も遠距離も無効。

不意打ちも効くかどうか怪しい。

なら、倒す方法があるのか。


諦めて思考を止めるな。

考えを放棄した者から死んでいく。

まだ、俺達には沢山のカードがある。

切る順番を間違えなければ絶対に勝てるはずだ。


「無駄の多い人間。先程は腕1本で済みましたが、今度こそ1人は持って行きたい所ですね。」

「余裕そうね。でも、その余裕がアタシの怒りを買ってるわ。『斧術』"龍殺し"」

「学習能力の無い人間ですね。その攻撃も私の体内に取り込まれて終わりですよ。」


アイリスにしては珍しく感情的な攻撃。

同じように異次元に飲み込まれるだろう。

そう思った瞬間だった。

今度はちゃんと飛び散る鮮血。


俺も驚いていたが、それよりも驚いているのは偽オリジン。

あれだけ無能だと嘲笑っていた人間に、傷を付けられてしまったのだ。

屈辱と怒り、加えて何故攻撃が効いたのかという驚きがあるだろう。


「バカなアンタには教えてあげる。武器に大量の魔素を流してあるのよ。その異次元も体内の一部なら、許容範囲を超えた魔素の攻撃は通る。最も普通に防いでいたなら容易く対処されたでしょうけどね。」

「この傷は私の慢心の表れと言いたいのですか。面白いですね。私を不完全だと呼ぶ貴方からまずはあの世へ送ってあげましょう。」


言葉は淡々としているが、それに伴わず口調は荒れている。

無表情を決めていた顔も次第に引き攣っている。

それ程傷付いた事に荒立ちが募っているのだ。

絶対的に上の立場だと思い込んでいるからそうなる。

もう一度同じ攻撃をして通じるかどうかは怪しいが、工夫をすれば倒せない相手でも無い。


「『星霊術』"星詠みの歌(スターレコード)"」


歌声が聞こえる。

音がどこから出ているのか分からない。

近くに敵はいないはずなのに耳元で歌が聞こえるのが気持ち悪い。

歌声のせいで周りの音が完全に聞こえなくなる。

こうなると視覚に頼った戦闘をせざるを得ない。


一度でも視界から外れて見失えば、免れる事の出来ない死が待っている。

落ち着け、冷静になって動きを見ろ。


「─────」


なんて言ってるか分からない。

だけど、口が動いているのは分かる。

今から攻撃が始まるのか。

出来るだけすく反応して防御出来るように構える。


何も起こらない。

そんなはずは無いと思い、少しずつ後退して様子を見る。

徐々に聴覚が取り戻される。

同時に全身を走る激痛。

現状を理解するのに数秒を要した。


奪われていたのは聴覚だけでは無かったのか。

恐らく痛覚も。

幸いにも血が出て入るが致命傷には至らない。

来ている服を脱ぎ、出血している箇所に当て簡易的に止血をする。

イリミがいれば回復魔法を使って貰えるだろうけど、気絶しているエルフに無理はさせられない。

痛みはあるが、この世界に来て慣れてしまっている。

良い事では無いだろうけどな。


「本当は殺すつもりでしたが、貴方が動いたので狙いがズレました。」

「俺は運が良い方みたいだな。」

「それもいつまで持ちますかね。『血因術』"雨血(うけつ)"」


至る所に落ちている血が集められていく。

その光景は異様である。

しかし、そんな事は気にしてられない。

数秒後には攻撃が飛んでくる。


俺は敢えてもう一度偽オリジンの下まで走り出した。

ご覧いただきありがとうございました。

よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!

あ、毎日21時投稿予定です。

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