第051話 気付けば俺らは踊ってる
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!
「何が起こった。何故、気絶したリューマがバルハートの首を持っている。」
エルマードは状況が理解出来なかった。
目を瞑って開いた時には事が大きく動いていた。
それはあり得るはずの無い現状。
1秒にも満たない時間の中で起こるとは不可能な領域。
だから、混乱しているのだ。
「ククク、ハハハァーーー!君は分からないだろうね。彼は君達に扱える存在じゃないよ。」
昂る魔族はそう呟いた。
仲間でいる3人の内、誰もリューマの本性を掴めていない。
扱える存在では無いというのが、何を指しているのかはさっぱりだ。
「計画の変更だ、ミヤビ。」
「計画の変更?何の事なの?」
「ここにいる俺達以外の全員殺してリューマを奪う。」
「賛成なの。」
何が起こるのかを理解するのは容易だった。
後は反応が遅れた者から死んでいく。
単純な話だ。
現に目の前で灰になって死んでいくジーガスを見て、この場にいる全員死が隣にある事を理解する。
相手は格上。
たった1つの勝機である男も気絶から目を覚さない。
コイツはいつもいつも問題を持ってくる。
拳銃を構えるが止まる素振りは見せない。
いつの間に姿を変えているハーデスは圧倒的な力の差で場を制圧していた。
生きるか死ぬかはコイツが決める。
そう言っても過言では無かった。
「止まれや、クソ野郎。」
「あーあ、結構早い目覚めだね。」
◇◆◇
目が覚めると状況は最悪だった。
今までの行動もぼんやりと記憶はあったが、何故ハーデスが暴れ回っているのかは記憶に無い。
記憶に無いのは置いておくとしても今の状況は問題だ。
威圧感で他を制圧し、エルマードに襲い掛かっている。
止めなくてはならない。
それだけはなにも考えなくとも分かる。
「止まれや、クソ野郎。」
「あーあ、結構早い目覚めだね。」
「喋らなくて良い。そこから離れろ。」
「嫌だと言ったら?」
「ぶっ殺す。」
今まで以上に感情を抑えられていない。
溢れ出る怒りがそのまま体外へと放出されていく。
悲惨な状況を作り出したこの魔族を殺す。
それ以外の感情が消えた。
力がいつも以上に体を巡っている。
魔素とは違う力の波動。
明言は出来ないが、恐らくアレと代わった時の残骸。
完全に自分の力かと言われてしまえば懐疑的ではある。
だが、今は使わせて貰う。
戦力差がある中で、使える物は全て使わないと勝てない。
いや、相手は魔族最強に近い男。
「へぇー、あの力の5%は使える様になってるね。一時的な物かどうかは分からないけど、やっぱり面白い。」
「面白がっていられるのも今のうちだぞ。次の瞬間には首が飛んでいる。」
「無理だよ。さっきの100%じゃないとね。ほら、また彼を呼び起こすんだ。」
「調子乗ってる奴を倒すのが楽しいってネットで習わなかったのか?」
「ネット?その世界は知らないけど、是非ともみてみたい物だね。」
まだ舌戦で済んでいる。
しかし、相手が一瞬でも動き出したら戦いの火蓋は切って落とされるだろう。
肌が焼けるようにひりついた空気。
「見せてやるよ、俺の更なる進化を。『妄想具現化』"同時進行妄想"!」
いつものように長ったらしい詠唱を必要としない。
俺の思い付いた妄想を瞬時に現実へと反映させる。
弱点があるとするならば、妄想から現実へと反映させる時に掛かる脳への負担。
更には、1つ1つの技の威力が低下している。
これだけの説明を聞けばメリットなど皆無の様に思えるだろう。
そこで冷静になって考えて欲しい。
全て自分の思い描いた通りに空間を支配出来る。
炎を生み出したいと思えば作り出せるし、氷や電気だって。
リアルタイムでその場にあった状況を生み出せるのはかなりのアドバンテージとなる。
「一部の力を使えているね。育て上げたら彼のままでも。」
何かを企んでいるハーデスを無視して、背後に氷の剣を生成する。
完全な不意打ち。
気付くはずも無いと思っていたが、容易に避けられる。
360度目が付いているのかコイツは。
「まだまだ終わらねーぞ!」
右には無数の火の玉、左からは巨大な雷が。
逃げ道は前か後ろの2択しか無い。
俺が鬼丸で前も塞げば後は自然と後退していく。
それはごくごく普通の現象であり、外れるはずの無い未来だ。
スッと後ろに身を引くハーデス。
俺はこの時を待っていた。
敢えて開けていたスペースに誘い込み、罠に嵌めて殺す。
戦略において基礎中の基礎だ。
「俺の一撃を喰らえ!!!」
場所を入れ替える。
俺とハーデスの位置は入れ替わり、そのままハーデスは突き立てた鬼丸に突き刺さる。
「残念だったね。これくらいの罠には引っ掛からないよ。」
きちんと胸部を貫通している。
感触も確かにある。
なのに無表情でいられるのはどうしてだ。
彼の体は闇に覆われている。
その闇は徐々に鬼丸を侵食して行く。
刀を手放すか、闇に呑まれるか。
苦渋の選択だ。
簡単には手放す事が出来ないが、このままだと確実に俺の体まで持っていかれる。
先に見えるのは深い闇。
この中に取り込まれてしまえば、戻ってこれる保証も無い。
「手を離してください!リューマさん!」
イリミの言葉が聞こえる。
その言葉によって俺は手を離した。
完全に呑み込まれていく鬼丸。
イリミから貰った大切な刀。
それを奪われてしまったのは精神的に来る物がある。
まだ奪い返せると思い手を伸ばすが、その距離は余りにも遠かった。
「帰ろうか、ミヤビ。アルカナ獣は回収出来なかったけど、鬼丸は回収した。これを手土産に帰ればあの人も満足するだろう。」
「待って!それはリューマの武器なの。」
「分かってる。リューマ、この武器は僕が預かっておく。武器やスキルに頼らない戦い方が出来るようになったらまた渡すよ。それじゃあ。」
闇を放ち、一瞬にしてこの場から消えていった。
待てと言いたかったが、反動で立ちくらみが酷い。
鬼丸を奪われてしまった最悪の状態。
転がる死体が2つ。
それでも、仲間達だけは生き残った事を喜ぼう。
「大丈夫か。」
エルマードが近寄って来た。
動けない俺に肩を貸してくれる。
「大丈夫に見えるかよ。」
「文句を言える内は大丈夫だな。」
他の2人とも合流する。
まだダンジョンの中にいるのにも関わらず、一難去った安堵で無防備に休む。
今回のダンジョンはハーデスの勝ちだ。
全てアイツの掌の上で遊ばれていた。
きっと俺が無理矢理にでも状況を打破しようするのも読んでいたはず。
そして、元々アルカナ獣の封印を解く事など興味は無く、鬼丸を回収するのが目的。
唯一、計画を狂わせたのだとすれば、俺がハーデスに回収されなかった事。
たったそれだけ。
色々あったが先へ進もう。
まだ冒険者の回収もアルカナ獣の封印を解くのも終わっていない。
やる事は全て終わらせないと。
反省するのはそれが終わってからだ。
少しずつ動き出した俺の異世界生活の中で怪しく動き出す影。
不安は残る。
だから、次は、次こそは。
誰にも、そして自分にも負けないくらいに強くならなければならない。
ご覧いただきありがとうございました。
よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!
あ、毎日21時投稿予定です。




