第005話 悲鳴の先には美少女と決まっている
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俺達は今何も無い森をひたすらに歩いている。
エルマードから聞いた話だが、ギルドが隣街にはあるというのを聞いたからだ。
ギルドに登録をしないと緊急時を除いて魔物を狩る事が出来ないらしいから、今後魔王城を目指す上で必須事項である。
それは良いんだけど。
「ハァー・・・。なんで男と一緒に何も無い道歩かないといけないんだよ。」
「お前、さっきからずっと同じ事しか言ってないな。 ぶっ飛ばすぞ。」
「そんな物騒な事言うなよ。長時間歩くだけでも疲れるって言うのに。」
「そもそもだな・・・」
また始まった。
街を出てからここまでずっとやり取りの繰り返しだ。
俺とエルマードは水と油のような存在なのかも知れない。
けれど、頼り甲斐のある奴ってのも事実だ。
それにこの世界を知らない俺にとってエルマードは有難い存在でもある。
ただ、短気という性格が一緒に冒険する上で、あまりにもストレス。
俺の一挙手一投足に文句を付けてくる。
こんな事でいちいち苛ついていたら今後の冒険が大変だぞ。
頭の血管とか切れてしまうんじゃないか?
また、エルマードがイライラしてしまう前になんとか話題を逸らさないと。
「そう言えば、聞きたい事があったんだよ。」
「質問か?俺のプライベートな事以外ならなんでも答えるけど。」
誰がお前のプライベート知りたいんだよ。
待てよ、妹とか姉がいるなら是非とも紹介してもらいたいかも。
エルマードは美形だし、姉か妹がいれば絶対に美人だというのは俺が生命を宿す前から決まっている事。
なんならお母様だって良い。
そこは悩ましいので一晩考えさせて欲しい所だ。
「言っておくが、俺は男兄弟しかいないし、母は紹介しないからな。」
「な、な、な、何言ってんだよー。ソンナコトカンガエテイナイヨー。」
「お前のくだらない考えは顔に出てる。馬鹿な事考えてないで本題に入れ。じゃないと、俺の気が変わって教える気が無くなる。」
おっと、それは困る。
『妄想具現化』を完全に物にしていないので、戦いおいて力量を埋めるには知識を得るのが手っ取り早い。
魔族延いては魔王軍十二席といつ対峙する事になるか分からない今、出来る事はしておこう。
「固有スキルとスキルについて軽く教えて欲しい。」
「はぁ?お前、そんな事も知らないのか?格好も怪しいと思ってたけど、素性も怪しい奴だな。」
だから、着替えただろうが服は。
言えない事も多いから怪しくなるのは仕方がないけど、言い方がどうにかならないのか。
やっぱり、今すぐにでも癒しを導入すべきだ。
「固有スキルは、魔素を必要とせず遺伝子や人格によって形成されるスキルだ。だから、誰でも魔素があれば使える通常のスキルよりも強力な物が多い。しかし、使う為には条件がある場合がほとんどだ。」
「俺の『妄想具現化』も固有スキルに分類されるだろうな。」
「そこが疑問だ。何か制約があるはずなんだが、今の所は見当たらないな。」
エルマードからしたら俺の固有スキルはデメリットの無しの最強スキルらしい。
本人からしたら、どんな妄想でも具現化出来る訳では無いし、使う度に精神を削られるから十分デメリットと言えるけど。
「それで普通のスキルってのはなんだ?」
「例を出すならバルハートの使っていた『炎魔法』だ。あれは魔素を使って脳の記憶を呼び起こし、スキルを発動させている。理論上だけで言えば、全種族が全スキル覚えられていると言われているが、実際にそんな奴とは会ったことがないな。」
「で、お前はどんなスキルが使えるの?『怒れる闘牛の目覚め』は使い所が限られるなら、他のスキルを使うんだろ?」
「俺は通常のスキルは使えない。」
コイツなんて言った?
今、通常スキルが使えないって言ったように聞こえたが。
本当に面白い冗談を言う奴だなー。
あの固有スキルしか使えないなら、どうやって通常時の戦闘をするつもりだ。
毎回使える訳じゃないんだろ?
「・・・マジ?」
「ガチだ。」
ふざけんなよ!
俺だって無限に技使えるかわからないんだぞ?
そもそも厨ニ病は呪文の様に長い詠唱を必要だから、その間の戦闘どうするつもりだよ。
エルマードの武器は拳銃一つだけ。
心許ないはそれだけじゃ。
「そんな顔をしているがリューマも使える通常のスキルは無いんだろ。お互い様だ。」
「お互い様な訳あるかー!俺が今から何しに行くか分かってるのか?魔王討伐だぞ?あぁーー!!すぐ切れるし、通常スキル使えんし!」
「好き勝手言うのは許してやる。俺は実力で黙らせる派だからな。」
「カッコいいからって格好つけ「キャァーーーー!!!」
どこからともなく悲鳴が聞こえてくる。
それも事件性のある悲鳴だ。
こっちの世界ではいつも死と隣り合わせの危険性がある。
もしも、さっきの叫び声もその可能性があるなら一刻も早く助けに行くべきだ。
「今のは悲鳴だよな。」
「だろうな。森の奥から聞こえて来た。助けに行くぞ。」
「んなのは、当たり前だろ。」
森の奥へ最速で行く為には人が通れる道がないので、草木を掻き分けて行く必要がある。
普段なら絶対こんな所を走りたくはないが、今はそんな事言ってられる状況じゃない。
俺の嫌悪感どうこうより人命が最優先だ。
険しい道をしばらく走ると広めの場所に出る。
そこには、ゴブリンの群れと耳の尖った西洋人風の顔の生物が数人。
これってもしかして、エルフじゃないか?
「大丈夫か!助けに来たぞ!」
ここは格好を付けてエルフからモテモテ大作戦だ。
「リューマ、勢い良く飛び出して来たのは良いが、ゴブリンの数が多すぎる。俺の固有スキルはタイマン向けだから、お前に任せるぞ。」
ゴブリンが通常より数が多い時は、ゴブリンの上位種が後ろに控えてるって相場が決まってんだよ。
つまり、俺が雑魚を一掃する。
エルマードがゴブリン上位種と1対1で戦う。
結局、エルフはエルマードに惚れる。
・・・そうなると、俺が踏み台にされてるじゃねーか!
「グギィイーーー!!!」
まずい事になった。
馬鹿な事を考えている間に前線から漏れ出たゴブリンが俺を殺しに来ている。
なんとか、防げるだろうがその後は身動きが取れないし、詠唱も難しい。
ただ、この数のゴブリンに押し潰されるのを大人しく待つだけになる。
「『風魔法』"ブリーズ"!お助けいただきありがとうございます!私も援護いたします!」
うわー、めっちゃ美人だ。
透き通る青色の目に、腰まで掛かる白髪。
人形のようにきめ細かい肌。
どれをとっても地球では考えられないレベルで綺麗だ。
っと、見惚れてる場合では無かった。
ゴブリンを吹き飛ばしてくれている内に、いち早くこの状況を打破しなければ。
恥ずかしいけど出し惜しみせずにやるしかないか。
「果てなき大地の物語をここから始めよう。"原初地創"」
やっぱり、何回この固有スキルを使っても恥ずかしい物は恥ずかしい!
よくこんな微妙にダサい台詞考えたな昔の俺は。
頼むから誰も聞かないでくれー!!!
なんかエルマードにまで憐れむ目で見られたんですけど。
現地人からもそんな目で見られたら終わりだろ!
そう思いながら、揺れる土の波がゴブリンだけを綺麗に飲み込むのを見届けていた。
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