第004話 勝利に仲間は必須条件
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露骨な第二形態ではないけれど、明らかにバルハートのギアが一段階上がったのが分かる。
敵の強さは格上。
異世界転生して数時間で戦うような敵ではない事は確かだ。
しかし、こうなった以上はすみませんでしたの一言だけで済むレベルの話では無い。
相手が戦闘を望んでいる所を見る限り、俺達の未来は勝って全てから解放されるか、負けて全てを失うかのどちらか。
こうなるなら、高校生になってからも厨ニ病を続けておくべきだったか?
生憎、俺が厨ニ病全盛期だったのは3〜4年も前の話になる。
そうなると記憶が所々曖昧な所があるのはごく自然で、必然的にこのチートスキルを完全に扱いきれるかは怪しい。
唯一、俺が喜べる事は一人じゃない事だ。
隣にはエルマードがいる。
正確に言えば仲間ではないけど、それでも共闘が出来る時点で心強い。
「あれが、バルハートが魔王軍十二席の内の一人たらしめる理由だ。アイツは武器のスペシャリスト。どんな武器でも自由自在に操れる。恐らく固有スキルだろうが、まだそこまでの情報は掴めていない。」
こっちの世界では固有スキルと普通のスキルが別れてるタイプなのか。
だとすると、エルマードが使っていたスキルも固有スキルで、俺のもそれに分類されるかもな。
「呑気にお喋りとは舐められたもんだぜぇ!」
バルハートの大剣は俺とエルマードの間を分断する。
そして、当たり前のように地面を切り裂く。
力で荒々しく切り裂いたような跡ではなく、豆腐でも切ったかのように綺麗な切れ方をしている。
それほど、あの大剣の切れ味が鋭いと言うことだ。
ここまで冷静に相手の戦力を分析してみたが、ようやくするとやばくね?
チートにはチートってこと?
フィジカルつよつよの魔族とどうやって戦えって言うんだよ。
これは序盤に付き物の負けイベだってことにしてくれた方がいっそ心は穏やかになる。
「おい!お前!」
「名前はリューマだ!」
「どうでも良いだろ、クソッ。リューマ、さっきのスキルは使うまでに時間が掛かるのか?」
「まぁ、それは種類によるけど大体時間は掛かるな。」
「なら、俺が時間を稼ぐ。だから、絶対に当てろ。」
カッコいい台詞を言っている所申し訳ないが、俺の厨ニ病技は全て発動中に如何なる阻害も受けないって設定がある。
つまりは、その援護は不必要だぜ。
なんて、場の雰囲気を乱すような事をわざわざ口に出して、士気を下げる真似はしないけどな。
1日2回もあの黒歴史を掘り返されるのは精神的によろしくない。
かと言って、自分で撒いた種を放っておく事もできない。
「作戦会議は終わりで良いか?なら、俺を楽しませてくれよッ!」
「何度も暴れるんじゃねー。街が壊れるだろうが。」
宣言通り、俺とバルハートの間に立って攻撃を防ぐ。
俺、男だけど普通にカッコいいじゃねーか。
危うくトキメキ掛かる所だった。
「早くしろ!イライラするだろうがよ!」
さっきまでバルハートが若干押していたが、今の一瞬で形勢は逆転。
エルマードの固有スキルは名前からも推測出来るように、怒れば怒る程強くなる能力か。
感情に左右されるのは難点だが、本人の性格と相まって魔族に打ち勝つポテンシャルを秘めている。
この拮抗した勝負の行方を見守りたい所だが、これ以上は待たせるのは色んな意味で後が怖い。
1日にして2つ目の技を見れるなんて贅沢な奴だな、エルマードも。
「深淵に巣喰う異形よ、目覚めの時は来た。邪悪なる者を喰らいて顕現せよ!"深淵蛇の晩餐"」
何にも染まらない真っ白な皮膚を持つ大蛇が空間を裂いて現れる。
勿論、それを見てバルハートは身構えるが、魔族はどう足掻いても勝つことが出来ない。
何故ならこの技の設定は、過去に犯した罪の数だけ蛇は強大な力を得る。
「良いじゃねーか!このスキル!もっともっと遊ぼうぜ!」
襲い掛かる蛇にも驚かず、むしろやる気にさせてしまっているみたいだ。
しかし、無駄な抵抗も悲しく噛みつかれる。
こうなると後は死を待つのみ。
じわじわと悪を浄化する毒がバルハートの体を蝕み、痛みに悶え苦しみながら。
「あれまー。これは不味い事になってるねー。」
もう一人、黒い髪が肩まで伸びていて、目も隠れている魔族が現れた。
この余裕そうな態度と溢れ出ているオーラ。
コイツも魔王軍十二席のメンバーだろうな。
「とりあえず、これは殺しておいてっと。」
俺の召喚した蛇が息をする様に死んでいく。
この魔族も悪行を重ねているはずだ。
それなのにこの技が軽々と打ち破られてしまったということは、チートにも打ち勝つ力があるということ。
もう一発打って勝てる見込みはない。
一気に勝機が遠退いて行くのが分かる。
「そんな絶望した顔しなくても大丈夫だよ。僕はこの雑魚を回収しに来ただけだから。」
それだけ言い残して、帰ろうとしている。
流石にこの状況を見逃す訳には行かない。
そう思い追いかけた時には既にいなくなっていた。
後もう少しでバルハートを倒せていたかも知れないと思うと悔しくなって来た。
気付けば俺は地面に座り込んでる。
異世界に飛ばされて、いきなりこんな体験をするとは思ってもいなかったからな。
日本にいた時は味わえなかったハードスケジュールだ。
それに命を賭けた戦いをしたと思うと、今になって心臓の動きが早くなって来た。
やばいよな!俺、死ぬとこだったぞ!
戦ってる時はアドレナリン出て気付かなかったけど、平気で刃物が飛び交う世界とか実際体験すると恐すぎる。
異世界って考えたら、危険性のある場所だって分かっていたはずなのに、アニメの見過ぎで何故か大丈夫と勘違いしていた。
これから先もこんな戦いが続くのかと思うと、最初異世界に来た時より億劫になる。
いっその事、本当に商人とか初めてしまうか。
「大丈夫かリューマ。」
立てなくなっている俺を見て、手を差し伸べるエルマード。
自分の事よりも他人の心配を先にするとかどれだけ良い奴なんだよ。
イケメンで良い奴とか腹立ってきてな。
「エルマードこそ、あの炎を全身に浴びてよくピンピンしてられるな。」
「詳しくはいえないがそういう固有スキルだからだ。」
どうやら俺の推測は当たっていたみたいだな。
「これからどうするつまりだリューマ。」
「これから?とりあえず、寝る所を探して・・・」
「そうじゃない。魔王軍相手の話だ。お前は正式に魔王軍に逆らった。顔も割れているだろうし、今後は刺客達が次々と送り込まれる事になる。そして、それは俺も同様だ。」
まぁー、そうなるよな。
あの黒髪には確実に顔を見られたと思うし。
面倒な事になって来た。
魔王軍がどれだけの勢力を伸ばしているのかは未知数だが、逃げ場はこの世界のどこにもないと思って良い。
となると、
「最初から魔王を倒す予定ではあったし、ここから魔王城を目指すだろうな。だから、まずは魔王城の場所を探すのと、俺の実力をあげる事、それと仲間集めだな。」
「そうか。それなら良かった。俺が1人目の仲間になってやるよ。」
「良いのか!?これから先、結構厳しい戦いもあると思うぞ。」
「どうせ普通に生きていても魔族に狙われて死ぬんだから、少しでも足掻いてやるよ。それにリューマ、お前に託したくなった。」
1人目の仲間は唐突に増えた。
最初の仲間は可愛い女の子が良かったのは、ここだけの秘密。
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