第037話 キメラ降臨
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「今回、僕達魔族がこのダンジョンに潜入した理由を教えてあげるよ。」
魔族がダンジョンに潜入した理由か。
気にならないと言えば嘘になる。
ダンジョンを潜るにはそれなりの実力が必要だ。
魔族の中でも選りすぐりの人材を派遣しているはず。
実際にダンジョンにいる事が確認されたバルハートとハーデスは魔王軍の中でもかなりの実力者である。
それだけの者を派遣してまで潜入した理由とは一体。
「そんなの簡単な話だ。聞かなくても分かる。アーティファクトだろ。」
「ぶぶっー、不正解。確かについでにアーティファクトの確保も指示されているけど、本来の目的はそれじゃない。」
「何か他にもあるって言いたいの?そんなのあり得ないでしょ。」
「このダンジョンに封印されているはずのアルカナ獣を捕獲することさ。」
その一言で空気が一変した。
普通なら笑い話として流す話だが、魔族が本気の顔で言っていたら笑えないのは当然だ。
「どうせ嘘なんでしょ。信じるに値しないわ。」
アイリスが当たり前の反応で返した。
どこにも信用に足る要素が無い。
「そうだったとしても君達に損は無いでしょ?何か対価を払って得た情報って訳でもないんだから。頭の片隅に置いておけば良い。」
俺としてはややこしい話だ。
3人はアルカナ獣を信じていないが、俺はこの目で確認している。それも2回もだ。
アルカナ獣の事を魔族が信じていて探しているなら、それよりも早く見つけ出さないと。
アルカナ獣を先に捕獲し悪用されてしまったら、この世界のパワーバランスは大きく崩れる。
「それじゃあ、僕は言いたい事は言ったし、やり残した事をやろうかな。」
本当に自由気ままな奴だ。
自分の要件が終わったからと言って立ち去るつもりらしい。
魔族をこのまま野放しには出来ない。
例え、卑怯と言われようとも隙の生まれたこの一瞬で傷を負わせてやる。
「だから、ダメだって。僕は魔物なんかより魔素に敏感なんだから、攻撃するなら魔素に頼らないようにしないと。なんなら、僕が特訓してあげようか?」
「断るに決まってんだろ!嫌味か!」
反撃してくると思ったが、その気配は無い。
「ほら、僕等はお邪魔みたいだから行こうミヤビちゃん。」
「ちょっと待って。」
ミヤビが俺の方へと駆け寄ってくる。
次から次に何をしようとしてるんだ。
「これ、貴方の役に立つはずだからあげるなの。」
手渡されたのはリング。
特には小細工がされた形跡が見当たらないけれど、敵から渡された物を貰うわけにもいかない。
一応、俺と同じ日本人ではあるらしいが、人間嫌いだと言っていたし身に付けるのには抵抗がある。
「信じて欲しいなの。これを付けたら絶対に役に立つはずだから。」
「・・・あぁー、もう分かった分かった。クソッ、こうなりゃヤケクソだ!」
あんな悲しそうな目で言われたら断り辛いだろ。
もしも悪影響が出たらその瞬間に捨てれば良い。
「ありがとう。」
俺がリングを付けたのを見てニッコリと微笑み立ち去る。
咄嗟にそんな表情を見せてくるのは反則だろ。
影があるタイプの女子が見せる笑顔とか可愛いって感想しかねぇーよ。
異世界に来て女子への耐性があったから良かったけれど、もしも前の世界でこんな笑顔見せられたら落ちてたな。
付けた瞬間には何か効果が発揮される訳では無かったので、これがどんな物かはまだ分からない。
でも、あの子の顔を見れば何となく悪い物では無い気がする。
彼女がどんな思いでこの世界を立ち回っているのか、少しだけ気になってしまう。
3人は、ハーデスとミヤビが消えてようやく肩の力が抜けた様子だった。
生きてる心地がしなかっただろうな。
俺は死ぬ覚悟でいたから気にはならなかったけど。
「アイツの言っている事、本当だと思うか?」
「嘘って言いたい所だけど、アタシ達にあんな嘘付いてもメリットは少ないわ。」
「もし本当にアルカナ獣がいるとしてたら会ってみたいですよね。幻の生き物に会える機会なんて絶対無いですから。」
アルカナ獣なら本当にいるよ、なんて口が裂けても言えない。
「何言ってんのよ。仮にもアイツの話が本当ならアルカナ獣の近くには魔族も彷徨いているのよ?そんな所行ったら揉め事になるのが目に見えてるって。」
「分かってますよ。第一優先は冒険者の回収、ですよね?」
ここで大分時間を使ったので、そろそろ次の階層に向けて動き出す。
ハーデスと会った後だからか、出会う敵が前よりも弱く感じる。
4階層を順調に進めるのは嬉しい事だが、複雑な気持ちだ。
20分歩いたぐらいで、フロアボスの扉へと辿り着いた。
先に行ったはずの2人とは道中で一切会うことも無かったのは気になる。
もしかするとどこかに抜け道でもあるのか?
簡単に見つけられるなら使っても良いが、この広大なダンジョンの中で探すのは一苦労するだろうな。
さて、いよいよフロアボスとご対面したい所だが、目の前には熱々の鉄板のような扉。
これをどうやって開けるのか。
素手で触れたら火傷ではすまない事だけは感じ取れる。
「どうするよこれ。」
「私、挑戦して見ても良いですか?スキルが1番多く使えるのは私ですから何か解決出来るスキルがあるかも。」
何度も挑戦しても、水魔法や風魔法では温度が下がる気配は無い。
他のスキルを試してみたり、全員の武器で斬ったり殴ったりを繰り返してみたが結果は変わらず。
まさか、こんな所で立ち往生するとは思ってなかった。
無駄に時間だけが過ぎていく。
暑さで苛立ちが募る。
「クソッ!開けよー!」
思わず腹から叫んだ。
こんな事で開くはずが無いのは分かってる。
分かってるけど、声に出して文句を言わなければ気が済まない。
ギィーーッ
まじかよ。
いつまにダンジョンは声に反応する扉を取り付けたんですか?
昔ながらの開けゴマスタイルの扉ってこと?
開けようと一生懸命だったイリミから気まずい視線を送られている。
その視線には気付いていたが、無視して中に入る事にした。
本当にすまん、イリミ。
今回のフロアボスはキメラ。
蛇の尻尾と鳥の翼、鹿のような四つ足に凛々しい獅子の顔。
どれくらい強いのかは刃を交えるまで分からないが、そこまで強そうな印象は受けない。
言っても1パーツずつはただの動物だ。
焦らずに部分毎に破壊してやれば良い。
「炎魔法だ!気を付けろ!」
俺達を見るなり攻撃して来た。
しかも、魔法スキルか。
バルハートの炎魔法よりは劣っているので、驚きはしないけど。
避けながらもアイリスとエルマード、俺で前へと出る。
3人で前に出る事は事前に決まっていた訳ではない。
3人とも前線が得意なので仕方ない事だけど、出来ればエルマードには後方支援を頼みたかった。
これはパーティの陣形は一考の余地があるな。
「ちょっとみ、皆さん!バラバラに動かれたら援護が!」
イリミの負担が大きい。
アイリスは後衛に向いていないし、そもそも俺が後衛をするつもりでいた時もあったので渋々下がる。
「良かったですリューマさんは大人で。3人共下がらなかったら私まで前に出ようかと思いましたよ。」
ニコニコと笑うイリミ。
その目の奥は笑っていなかった。
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