第035話 滴る汗も程々に
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「アンタに教えろって言われたから渋々魔素の事を教えたけど、流石にコントロールするまでが早過ぎない?」
魔素の制御が完璧に出来るまで、どれくらいの時間が掛かるかをそもそも知らないけれど、多分あり得ないスピードで習得したんだろうなって事は分かる。
これも加護のおかげなのか、それとも異世界転生した特権なのか。
どちらにせよ、俺にとっては向かい風であるのは言うまでも無い。
「でも、3人であれだけの量の魔物を相手に出来るだろ?俺、いるのか?」
「そうね、アンタに頼らなくても12階層攻略出来るなら何も困らないんだけどね。」
「おいおい、その言い方だと俺に頼ると面倒な事になって言ってる様に聞こえるんだが?」
「何か間違っているの?」
間違ってないです。
何かと問題事を持ってくるのは決まって俺だ。
今回だって勝手に12階層へと行く契約を結んできている。
知られてしまったら怒られるのは確定しているが、黙って問題を先延ばしにしても良いことはない。
余計に怒られる未来が待っているだけだ。
ならば、同じ怒られるでも多少被害の少ない方を選ぶべきだと思う。
よし覚悟は決まった。
今の流れで打ち明けよう。
「確かにな。今回のダンジョン探索も12階層まで潜らないといけない理由が出来たしな。」
急に3人が固まった。
なんだ!?敵が来たか!
なんて、違うのは分かってます。
流れで言えば誤魔化せると思ったけど全然無理でした。
ゴミを見る様な鋭い視線を向けられるかと思ったが、案外大丈夫そうだ。
寧ろ、困惑が勝っていて先程の話をまだ理解しきれていない。
「今、俺の耳が正しければ12階層まで行くと聞こえたが?」
「あ、あれですよね?もしも、冒険者の方々が12階層にいるなら、12階層まで降りないといけないねって事ですよね。」
「アンタ、返答次第では首飛ぶ事になるけど。」
「いやー、説明が難しいけど、あの魔素が関係しているとしか。」
「どれがどうなったら魔素と12階層が繋がるのよ!自分で何言ってるか分かってる?」
やっぱり怒られた。
俺だって好き好んで12階層を目指す訳ではないんだけどな。
「呪いに近い何かだな。12階層にいる化け物に今し方呪いを掛けられてどうしても行かないといけないんだよ。」
嘘は言ってない。
アイツ、少女の格好が出来る狐だったし。
アルカナ獣とかいう訳分からない肩書き付いてたから総じて化け物と呼んで差し支えない。
「仮にその話を信じたとして、12階層へ行かないとどうなるのよ。死んだりする訳?」
「・・・そう言えばどうなるんだ?」
「そもそも本当の事を話しているかも分からないのに、より一層怪しくなったな。」
このままだと呆れられる一方だ。
折角、戦闘の方で活躍出来るようになって来たのに全て帳消しになった。
いや、マイナスまでになった可能性もある。
「はぁー、兎にも角にもまずは冒険者の安全確保が優先よ。もしも、生きてる様なら12階層とリューマは諦めて地上への誘導。死んでいるなら、そこでもう一度考えれば良いわね。」
冒険者の命と引き換えに俺死んでるし、もう1つの選択肢も迷ってるだけで行くって言われてないじゃねーか。
しかし、贅沢も言っていられない立場だ。
冒険者が生きていようがいなかろうが複雑な気持ちになるのは確定している。
「まぁ、とりあえず行くか。」
ちなみに4階層にテーマがあるとするなら灼熱。
永遠にメラメラと燃え続ける石とか沸騰し過ぎたお湯の様にポコポコしているマグマ。
階段付近は暑さを感じる事もなかったが、通路を進めば進む程蒸し暑くなってきた。
日本でも猛暑は経験していたけれど、その比にならないレベル。
「暑いとこの装備脱ぎたくなるわね。」
「それは賛成ですね。エルフは日に焼けないよう長袖を着用していますが、この暑さの中を長袖で過ごすと倒れてしまいそうですよ。」
え?良いんですか?
俺の事は全然気にせず上脱いでくださいよ。
着替えとかは無いですけど、タオルなら1枚貸せますよ?
「 気持ちは分かるが、ここでその話はやめておけ。横の変態の目が血走ってる。」
「おいおい、鏡見せてやろうか?」
「俺は女に興味ない。」
「えぇーー!!!アタシは全然エルマードになら見られて良いのに!」
「またこのパターンですか〜。」
お決まりのパターンで1番ダメージを受けたイリミ。
4階層の暑さと相まって余計に体力を消費している。
そこへ追い討ちを掛けるように魔物達が現れた。
鹿と烏の2種類の魔物だ。
毎回、魔物の名前が分からなくてもそれっぽい動物の名前で呼んでいるけど、誰か正式名称を教えてくれ。
エルマードもアイリスも何も言わないから知らないんだろうけど、毎回毎回動物の名前で呼ぶのは魔物が可哀想。
「前の階層と比べて魔物の量が多いな。」
「あの2体なら俺に任せておけよ。」
「言っとくが油断したら死ぬレベルで強いぞ。」
「分かってる。」
先程お預けを喰らった魔素を試したくて堪らない。
って、話している内に鹿が突進を始めていた。
スピードはそこそこって所だが、あの鋭利で熱々の角で刺されたら一発でお亡くなりだ。
だけど、不思議とワクワクが止まらない。
鬼丸を手に持ち構える。
今までのどの戦いよりも丁寧に。
血の巡りは感じる。
次に、空気の流れ。
最後に今までは感じていなかった魔素も感じる。
イメージをしろ。全身に力を行き渡らせろ。
「よしっ。これで魔素による強化は完了だな。差し詰、今の俺は第二形態と言った所か。」
「いや、形変わってないから第二形態と呼ぶには。」
黙れ、イメージ崩れるだろ。
わざわざそんな的確な事言わなくて良いんだよ。
こっちだって、ようやく異世界に順応して来て恥ずかしさをどこかへ置いてきたのに、わざわざ拾って戻す行為だぞ。
その間にも鹿の勢いは止まらない。
角を燃やして確実に殺しに来ているのが伝わる。
だから、迎え撃つ為に軽く刀を振ってみる。
鹿は綺麗に真っ二つになり、少しの余力で前進した後に倒れた。
衝撃的な光景が印象に残るばかりだが、周囲の壁面にも斬撃の跡が残っているのも、魔素による強化が強力なのを表している。
「アンタ、やっぱり人間じゃないわね。」
「どっからどう見ても人間だろ。」
残った烏は逃亡を始めた。
あれを見せられたら勝ち目があるとは思わないか。
魔物の割には賢い選択だ。
鬼丸に付いたを拭い取り鞘へと収まる。
そして、3人の方へと向かう。
「す、すごいですねリューマさん。」
いつも何でも褒め称えてくれるイリミがドン引きしている。
引き攣った口角とやばい奴を見る目をとりあえずやめて欲しい。
中学生の頃に女子から向けられていた視線を思い出してしまう。
「一応言っておくが、普通は魔素の強化だけではここまで強ならない。イレギュラーではあるが、俺達にとっては良いイレギュラーだ。」
「確かに仲間が強いのは良い事だけど、素性も何も教えてくれないのは気味が悪いわよ。」
「本人の前でそんな事言うなよ。普通の人間だから傷付くぞ。」
何回このやり取りすんだよ。
俺が本当の事を打ち明けるまだ続くのか?
エルマードとイリミは気になってはいるが、深く追求して来ない。
反対にアイリスは、怪しい状態のまま放置したく無いらようで徹底的に問い詰めてくる。
この駆け引きもいつか終わりが来る。
しかし、それが今では無い事を俺は知っている。
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