第032話 3番目の仲間は頼れる獣
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海の怪物と言えば何を思い浮かべるだろうか。
やはり、代表的なのはサメ。
3階層ではかなり苦戦を強いられた。
それとも、大きさだけで言えば鯨も。
あんな巨体に飲み込まれて助かる術が思い付かない。
まだまだ候補はあるかも知れないが、今回の敵はなんとイカ。
刺身にすると上手いし、酒の肴にもなる優れ物。
だけど、イカなんて敵になり得るだろうかときっと思っただろう。
フロアボスは確かにイカだが、普通のイカではなくクラーケンだ。
あれをイカと呼んで良いのかは分からないが、外国の御伽話とかに出てくる海賊船よりも大きなイカの化け物である。
それが扉を開けるとエリア一体を埋め尽くしているのだから驚いた。
「あれってどうやって倒すんですか?」
「意外と簡単なんじゃない。攻撃だって避けられる心配はないだろうし。」
「いや、触手ではたき落とされて終わりだろ。」
「それはやって見ないと分からないでしょ。まぁ、見てなさい。この斧で最初に斬り裂くのがイカってのも残念だけど仕方ないわ。」
アイリスは入念に準備運動を始めた。
斧で戦うのは初めてだからなのか、より慎重になっているのかも知れない。
「アタシの胃袋に収まる準備は出来たかしら?」
挑発と共に10本の触手が動き出した。
巨体とは見合わないスピードで降り注ぐ猛攻。
それを物ともせずに走り出す。
躱す訳でも無く走るだけ。
でも、そのスピードには誰も追いつけはしない。
自分の身体より大きい斧を持ってるとは思えないだろ。
「まずは一本目。」
触手の根本に向かって大きく振りかぶった一撃を放つ。
当たればかなりの威力は出るだろうけど、何より隙が大き過ぎる。
派手な攻撃が斧の持ち味。
これに文句を言うつもりもないが、当たらなければ意味はない。
躱したはずの触手も再度アイリスを狙って動き出した。
「やっぱりお前は世話の焼ける仲間だなッ!」
「エルマード!」
アイリスの下へ届く前にエルマードが立ち塞がり全ての触手を弾き飛ばした。
え、カッコ良過ぎないかコイツ。
普通にスキルとか使わないで、この階層のフロアボスに傷を負わせられるのかよ。
「お前はいつも1人で戦って来た。だから、仲間を頼るってのを知らない。だけど、周りを見ろ。今、お前は1人なのか?」
「違う!アタシには仲間がいるッ!!!」
魂の叫びから放たれた一撃は宣言通り、1本の触手を切断する。
まだどこか遠慮のあったアイリスがようやく俺達を信頼した。
そんな瞬間だ。
良いね、良いねー!
なんか冒険と青春を同時に進行しているような満足感が味わえている。
俺はこう言う冒険がしたかった!
変に異世界のリアルを見せられてテンションが下がるような時間が生まれてしまう事が多いけど、全てはこの瞬間の為にあったのかも知れない。
「おい!リューマ、ぼーっとしてたら!」
「えっ?ブヘラァッ!」
何かがぶつかって来たのだけが分かった。
飛ばされた勢いで空中を舞いながらも、何が起こったのかを把握しようとする。
だって、さっき殆どの腕は破壊・・・されてない!
エルマードが壊した触手とアイリスが切断した触手合わせて8本。
残り2本だけなら俺がいなくても余裕で抑えられる。
そう考えていました。
いやいや、全然復活しているんですけど。
根本からの切断以外は再生してしまうのかもな。
有効打が根本からの切断しかないのは如何なもんだ。
イカだけに。
・・・よし、気持ち切り替えてクラーケンを倒そう。
「俺とアイリスで1本1本根本から切断していく。だから、援護頼んだぞ!」
鬼丸を手に取り走り出した。
触手が襲ってくるが気にせず走る。
決して俺がアイリスの様に全てを避けられるからではない。
「『炎魔法』×『炎魔法』"プチビッグファイア"」
いくつもの小さな炎が集まり、やがて大きな炎へ。
そして、触手を焼き払っていく。
俺はこうなると信じていたから走り出した。
イリミがいつも援護をしてから俺は普通に戦える。
エルマードが指示を出すから前へ進める。
アイリスが指導するから強くなる。
1人ではここまで強くなれなかったと思う。
3人はそれぞれの役目がある。
なら、俺の役目は何だ。
「俺の役目は最強である事だよな!」
クラーケンの足下まで辿り着く。
ここで全ての触手を斬り落とせば、攻撃手段は恐らく無くなる。
「"映像模倣"!10秒あれば八つ裂きだっての!」
アイリスの動きをイメージする。
剣の太刀筋や身体の動かし方。
その全てが理想的な動きをしている。
1本目を斬り落とす。
鬼丸の斬れ味はやはり万全の状態だった。
このままのペースで行けば、本当に10秒で全てを斬り落とせる。
そんな確信まで湧いてくる程に今の俺は強い。
調子に乗るとトラブルが起こるのが俺の運命。
触手以外の攻撃は無いと思っていたが、急に黒い球を生み出して来た。
脳では避けなければと思うが、接近し過ぎたので間に合わない。
逃げられないなら撃ち落とす。
「溟渤、怪奇冥々の一翼を持つ。故に、生き残るは洗練され強者のみ。証明せよ、己の強さを!"水陣乱舞・頂"!」
強力な技には、より強力な技をぶつける。
そこに小細工は一切無く、シンプルで分かりやすい。
クラーケンは動揺していた。
悉く斬られる触手、全く通用しない奥の手。
フロアボスとしての尊厳はボロボロになり、いずれ討伐されてしまう。
しかし、クラーケンは足掻く。
どうせ死ぬなら足掻く。
それがフロアボスとして生きる者の責めてもの行事だ。
「最後は華やかに散れッーーー!!!『斧術』"天地割り"!!!」
いつの間にか習得していた『斧術』によって、抵抗虚しく真っ二つに斬り裂かれた。
無惨にも転がる死体。
このクラーケンが運の悪かった点は、俺達がダンジョンに潜入してからあり得ないスピードで成長していた事だ。
3階層すら物ともしない強さを手に入れた。
後、どれくらい下へと行けば良いのか分からないが、この調子なら何事も無く帰れるかも知れない。
慢心とは違う、確実な自信が俺の中に湧いている。
「これで3階層も攻略か。まだまだ戦力的には余裕があるが、イレギュラーが多い。油断はするなよ。」
「でもでも!私達だけで3階層って快挙ですよ!まさか、ここまで来れるとは!」
「何言ってんのよ。アタシとエルマードがいるんだから当たり前じゃない。」
「おい!俺だって活躍しただろ!あの触手斬るの結構大変なんだぞ。」
「油断するなと言った側からこのザマか。」
いつもなら魔物の死体から素材を剥ぎ取ったりもするが、今回はイカだからな。
食べられる可能性はあるが、武器にするのは。
食べ物かぁ・・・。
コイツを見ていると急にお腹が空いて来た。
「今、誰かお腹鳴った?」
やばい!無意識の内にお腹が鳴っていたのか!
「あはは・・・、聞こえちゃいましたか?」
どうやら、イリミもお腹が空いてしまったみたいだ。
それも仕方がない事ではある。
ダンジョンに入ってから体感4時間くらいが経過している。
実際どれくらいの時間が経過したのかは分からないが、これだけの時間ぶっ通しで動いたらお腹だって空くだろ。
区切りが良いので暫しの休憩に入る。
アイリスが鞄の中から必要最低限の調理器具を取り出した。
フライパンでフロアボスを調理する光景は異様だが、あまりにも美味しそうな匂いがして気にならなかった。
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