第031話 鬼に金棒、アイリスに斧
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中は箱の外寸よりも広い世界が広がっていた。
前なら驚いた反応を見せたかも知れないが、最早これぐらいでは驚かない。
異世界なのだからこれくらいはあって当然。
それくらいの感覚。
しかし、宝箱の中身は興味を惹かれる。
代表して、ルートを選んだエルマードが手に取るとエルマードの身長よりも遥かに大きい斧が現れた。
持ち手はふわふわの毛皮で覆われており、柄の部分は骨、刃は真っ黒な鉱石で仕上げられている。
鑑定が使える人がいないので、すぐさま効果が分からないのは残念だが、恐らく市場では滅多に手に入らないレベルの代物だ。
鍛冶屋のルクスに一度見せてみる事にしよう。
「どうしようか。この斧、エルマードが見つけたから貴方が決めてよ。」
「そんなの決まってるだろ。アイリス、お前がこの武器を使え。」
まさか自分に渡されるとは思っていなかったアイリスは目を丸くしている。
だけど、これは自然な流れだ。
エルマードは銃がメインで、アイリスも自分の魔法スキルを主軸に戦う。
俺が持つにしても鬼丸という高性能な武器を腐らせてしまっては勿体無い。
結論、アイリスが適任だという訳だ。
そもそも、ルクスの鍛冶屋へ行った時もアイリスだけ遠慮してまともな装備を買っていなかったからな。
この宝箱から武器が出たのは幸運だ。
懸念する点が1つあるとすれば、あの事だ。
「アイリス、お前が拳を使うファイターだということは理解している。だが、『打撃』や『拳術』のみが頼りの戦闘では限界が近いのは感じているはずだ。」
「・・・持つよ、アタシ。そりゃ、今までのスタイルで挑みたいってのはあるけど、今はパーティとして生きている。なら、アタシだけ我儘を言っていられないからね。それに、エルマードからのプレゼントは断れないわよ。」
「俺からのって訳では無いけどな。」
一言余計な事を言うエルマード。
良かったなアイリスが笑ってくれるタイプで。
普通の女子ならドン引きだぞ。
貰った斧を手に持つと元からアイリスの物だったのでは無いかと思うほど、似合っている。
誰かがわざわざ置いたとかでは無いよな。
「ちょっと試しにっと。」
重そうな斧を軽々と持ち上げて振り回す。
危ないと言いたい所だけど、武器を使うなら試しに動かすのは当たり前なので仕方ない。
それにしても良く扱えるな。
俺なら、先端が重過ぎて思うように動かせないだろう。
それを自由自在に振り回せる才能はアイリスのA級冒険者たる所以だ。
「す、すごいですねアイリスさん。私、どんどんみんなに置いていかれますよ。」
「何言ってんだよ。イリミがいなかった喧嘩して内部崩壊起こして終わりだ。」
「まぁ、否定はしないな。精神的支柱であるのは事実だ。」
「私・・・。いえ、みなさんのお力になれるようにもっと頑張りますね!」
何か言いたそうな雰囲気を醸し出すイリミ。
言いたい事は分かる。
焦りと劣等感、その両方が彼女を苦しめているのだろう。
しかし、本人が口を閉ざした今、俺から言ってやれる事はない。
でも、もし何かあった時に俺達がいるという事は気付いて欲しい。
「もう十分馴染んで来たから戻って別れ道を選び直そう。」
「良いのか?もう少しぐらい素振りしても良いけど。」
「これだけしか振ってないけど、リューマよりは戦えるわよ?なんなら、お手合わせ願おうかな。」
「あの、すみませんでした。謝るので斧を振りかぶるのだけはやめてください。」
これで当たったら、冗談では済まない怪我になるのは確定している。
そもそも、アイリスと純粋な戦いで勝てる見込みが無いのに、強力な武器まで手に入れたら余計に勝てない。
「なんでそんなに嫌そうな顔してんのよ。冗談に決まってるでしょ、冗談に。まだ3階層なんだし、さっさと戻るわよ。」
これ以上、本気が分からないボケを聞かされたくないので急いで来た道を戻る。
残る2つの内どちらを選ぼうかなんて考えていると、別れ道のある広間に見知らぬ少女が立っていた。
なんでこんな所に小さい女の子がいるんだと思い、声を掛けようとすると俺達の存在に気付き走り去って行ってしまった。
「おい、ダンジョンで女の子1人はまずいぞ。追いかけろ。」
「待ちなさいよ。あれが罠って可能性は?既に死んだ死体を使ったあのジーガスとか言う奴のね。それか、人間に擬態する魔物の可能性だって。」
「・・・分かった。」
「珍しいな。お前が折れるなんて。」
「いや、俺1人で行く。危険だと思ったら大声上げるから追い掛けてくるなよ。そうすれば、最低限の被害で済む。」
後の言葉は聞かずに飛び出した。
もしも、魔物と出会ってしまったら、あの少女は確実に死んでしまう。
それが分かっていながら見過ごすくらいなら、罠だったとしても飛び込んで行く方がマシだ。
何も俺自身のやり方が正しいとは思っていない。
人を助けたとしても、それが良い事で返ってくる訳ではないのだから。
なら、なんで助けに行くのかって?
1人くらいどうしようなく性善説を信じる奴が居ても良いだろ。
はいがあれば、いいえもあるのが人生なのだから。
「おい、待て!それ、以上・・・先は危ないぞ?」
「どうした?何があった!?」
3人も俺の後を追って来たらしいが不思議な光景だった。
道は行き止まり、その先には何も無いのに先程の少女の姿が見当たらない。
俺の見間違えだった可能性もあるけれど、4人全員が見ているのでその可能性は低い。
だとすると、俺達は嵌められたのか!
急いで後ろを振り向くが誰もいなかった。
罠でも無いが、少女もいない。
不思議な体験だ。
1つ良い事があったとするなら、ここも行き止まりだったので、最後の道がどこかへ繋がっていると分かった事。
小さな結果だけど、時間を使って悩み行き止まりを選ぶよりは良かったと思う事にした。
「あの子、一体なんだったのでしょう。」
「分からない。生きていたのかどうかも怪しい。」
「精霊や幻影の類いじゃないの?」
「そうかも知れないが過ぎた事だ。今は忘れろ。」
忘れるとまではいかないが、気持ちの切り替えは重要だ。
次の場所へと移動するという事は、魔物があるかも知れない。いや、フロアボスに繋がる扉の可能性だって。
どっちにしろ、この空間の様に敵が全くいない平和な時間はないはず。
最後の通路を進んで行くと、奥から光が漏れていた。
やっと次のステージへと進める。
そう思い、先へ進むとそこには大きな門があった。
「意外と早くフロアボスに到着したな。」
「魔物は強くなった代わりに個体数が減ったのでしょうか。」
「可能性としてはそれも考えられるな。」
俺達が遭遇したのは、サメの形をした魔物1匹。
敵が少ない事に不満はないが警戒はする。
この先にいるフロアボスが強すぎるから難易度調節でとかだったら最悪だな。
「どうだったにせよ、このフロアボスを倒せないと次の階には進めない。」
「3階層にもA級冒険者はそれよりも下にいるはずだよな。早くしないと生存確率は下がる一方だし急ぐか。」
それにしても、A級冒険者が3人だけで下の階層に進めたのかは疑問が残る。
アイリスはA級冒険者だけで6階層は行けると言っていたが、3人ではなく全員で挑んだ場合の仮定のはず。
何か感じる違和感の答えは、この先を進む事でしか得られない。
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