第029話 声が聞こえて
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いつジーガスの奇襲があるか分からない恐怖があるけれど、2回も勝っている相手だ。
勝てないのに何度も挑んでくる噛ませ犬みたいな感覚なので、大した問題ではない。
それよりも問題なのはバルハート。
よりにもよって、アイツがダンジョンにいるとは。
魔族の中でも強い方に分類される相手。
前に戦った時は勝敗が有耶無耶になって終わってしまった。
でも、俺の『妄想具現化』を喰らっても耐えていられた数少ない相手だ。
出来れば、このまま2度と会わずに冒険者を回収したい。
「フロアボスの居場所に繋がる扉、見つけました。」
一度確認した場所にフロアボスの扉があった。
さっきまでは隠れていたはずなのに、どうしていきなり現れたのだろうか。
頭を捻って考えてみる。
「あのトカゲがこの扉を守っていた訳ね。」
「近付いて来た俺達を敵と見做して襲って来たって感じか。」
それが妥当な判断か。
透明化と思っていたスキルは、高度な迷彩スキルだったのかもな。
倒してしまったので、結果がどっちであろうと関係はないけど。
1階層の扉と違って、この扉は自然を感じる。
苔や蔦、見知らぬ花などが所狭しと咲いていた。
綺麗な印象を受ける判明、手で直接触れるのは躊躇ってしまう。
自然界には人間を蝕む毒や菌も多いからな。
迂闊に触ってしまって死亡しましたなんて笑い話にもならない。
そんな中、イリミは一切恐れる事なく扉に触れた。
俺よりは植物に詳しいイリミが触れているという事は安全なのだろう。
「見た目よりも軽いですね、これ。私の力でも簡単に開きますよ。」
呑気そうに語るイリミだが、扉が開いたという事は中のフロアボスも俺達の存在に気付いているという事だ。
いつ攻撃が飛んで来てもおかしくないというつもりで中へと足を踏み入れた。
少しだけ辺りを見渡してみるが、敵の気配はどこにも無い。
フロアボスが居ないなんて事があり得るのか。
いや、トカゲだって姿を消せる世界だ。
どこに隠れていたって不思議では無い。
部屋の中にも蔦が侵食している。
ここへ来るまでにそんな植物らしき要素は感じなかったのだが、急に露骨なアピールが始まったな。
この植物が敵か?
なんて、それはいくら何でも考え過ぎだろう。
もしも、このフロア全体に生えている植物が敵だとするなら、俺達に勝ち目があるかどうかも怪しい。
しばらく散策すると下の階へと続く階段への扉が開かれているのを発見する。
本来はフロアボスを倒さないと開かないはずの扉だ。
戦わなくて済むなら越した事はないが、嫌な感じがする。
「何故この扉が開いている。フロアボスがいないなんて事はあり得ないだろ。」
「同じ思考になるよな、普通は。冒険者をしていたエルマードとアイリスの方が詳しいと思ったけど分からないのか。」
ため息を吐きながら、アイリスが会話に参加する。
「簡単な話でしょ。あの魔族が先に殺したからいない。それだけのことじゃない。」
この意見に珍しくイリミが手を挙げて意見する。
「あの〜、何も知らない私が口挟む様で申し訳ないんですが、倒したりしたとしてもボスってそこに残るんじゃないんですか?」
この世界の死体は残る。
処理する為には、魔物であっても土に埋めて自然に帰すのが常識だ。
ダンジョンだからと言って例外ではないはず。
その点も踏まえて考えると、やはり魔物の死体が無いのに扉が開いているのはおかしい。
「本当に何も考えないのね、アンタ達。」
「言い過ぎだろ。イリミは仕方ないとしても。」
「なんで私は良いんですか!結構良い線ついたと思ったんですけど!」
「冗談だから殴るのやめてくれ。」
こういう時の効果音ってペチペチぐらいだろ。
普通に拳で殴られているので、ゴッと鈍い音が鳴っている。
「相手には死体を行ったり来たりする変態がいるでしょ。だから、ソイツの為にわざわざ持ち運んだのよ。魔物へ乗り移れる事はさっきの戦いで証明されたんだから。」
「可能性としては、アイリスの予想が1番高いだろうな。」
「だけど、わざわざ強い魔族が人間に名誉挽回のチャンスを与えるかどうかは懐疑的だな。」
バルハートがそんな優しい奴だとは思えない。
逆に失敗した奴には、魔族だろうが人間だろうが関係無く相応の罰を与えるはずだ。
「あー、もう面倒くさいわね。確かに気になる事はあるかも知れないけど、次の階に進めるから良いじゃない。」
「それもそうだけどな。」
「選びなさいよ。この階段を自らの足で降りるのか、アタシに蹴り飛ばされて降りるのか。」
誰が後者を選ぶんだよ。
エルマードもイリミも有無を言わずに降り始めた。
俺も尻を蹴られない内に階段を降りようとした時に、
・・・助けて
どこからか唐突に声が聞こえる。
助けを求める声だ。
前後も何か話していたかも知れないが、助けて以外はハッキリとは聞こえなかった。
一瞬しか聞こえなかったし、俺の勘違いか。
前の3人に遅れを取らない様に階段を降りる。
───私を助けて、異界の血が流れる者よ。
今度はハッキリと聞こえた。
異界が地球の事を指しているなら、このSOSは俺に向けて発信されているという事になる。
他の3人が聞こえていないのが不思議だったが、その理由も俺だけに助けを求めているなら納得だ。
何故、俺が異世界から来たと分かるのか。
どこへ助けに行けば良いのか。
まだ、分からない事が多すぎる。
しかし、俺の中ではどうしても助けてあげたいという気持ちが芽生えていた。
階層を進めばまた何かヒントが貰える可能がある。
だからと言って、3階層で残りの冒険者が見つかった場合、危険を犯して4階層以降に降りる必要はない。
魔族やイカれた人間が待ち構えている可能性だってあるのだから。
どうするべきか悩む。
正直に打ち明けてみるのが1番良いのは分かる。
でも、打ち明ければきっと最後には3人が了承してくれる。
俺の確証のない一言で命を落とす可能性のある行動に巻き込むのは心苦しい。
「何ボーッとしてんだよ。変な物でも食べたか?」
止まっている俺を見て声を掛けるエルマード。
言っている事は酷いが、これもコイツなりの優しさだろう。
「ダンジョンの中の物なんて迂闊に口にしないだろ。」
まだ3階層を攻略するまでの時間がある。
その間に打ち明けるべきか考えれば良い。
「見てください!この景色すごいですよ!」
「これは一体・・・どういうことだ。」
「ダンジョンだから、何があっても不思議じゃないってことね。」
3階層にテーマがあるとするなら、海中ダンジョンだな。
海の中にいるみたいなのに、普通に動けるのが不思議だ。
呼吸だって苦しくない。
どうなっているのか気になる所だが、立ち止まって考える暇はない。
「どうやら最初の魔物が出迎えてくれたみたいだ。」
「気を引き締めろよ。3階にも来たんだ。魔物の強さも上がっている可能性が高い。」
「アンタに言われなくても気を付けるわよ!」
今回の魔物はサメに似ているが、明らかに発達し過ぎた牙と鋭利なヒレは、あの魔物がサメとは似て非なる生き物だと実感させる。
初めてみたはずの魔物に迷い無く突っ込むアイリス。
あの様子だと倒すのも楽勝だろうなと思った矢先だった。
サメの魔物へ確実にヒットしたアイリスの拳は何故か血を出していた。
スキルを使っていなかったとはいえ、アイリスの攻撃が一切通じない事があるなんて。
やっぱり3階層の魔物は強くなっていると、ここで体感した。
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