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テレーゼ院長のセフィロト見聞録  作者: 西風の剣
後日談第1章:猫神姉妹との交流
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第1話:テレーゼ姉妹の訪問とエマの願い

 エマとエーリカのところに全員で出掛けたテレーゼ姉妹。2人をマルクトの自宅や農場に案内しますが、エマがテレーゼにあることをリクエストします。

 テレーゼ姉妹がダアトとティフェレトへの観光に出掛けた翌朝のこと。 


 エマとエーリカの姉妹宅を訪問するにあたりテレーゼは、少し早起きして、まずお土産にと考えていたリバーシと白磁の器を作成した。先日のギルド会議のとき、ギルド本部や各支部からこれらの品物のサンプル提供を求められる可能性を考慮して事前にテレーゼが用意していた品物は、後述の野菜を含めてダアトの孤児院に寄付(前章第4話参照)しており、手許に予備がなかったからである。


 それに加えて、追加でお土産にしようと考えていたイチゴや唐芋といった野菜の収穫を早朝から姉妹全員で行い、これでテレーゼが考えていたお土産の準備が整ったのは何よりである。その後姉妹全員で朝食を済ませる。


 朝食後テレーゼ姉妹は、テレーゼの転移魔法でダアトにあるエマとエーリカの姉妹宅に到着した(ワーちゃんとヘナフは、それぞれイーナとアンナが抱っこして移動している)。家の外では、姉妹の母親のエルナが、大きな庭木のそばの花壇を手入れしていた。


 「エルナさん、おはようございます。お言葉に甘えてみんなでやって来ました。うちで作っている作物や道具などですが、良かったらどうぞ」と、エルナに挨拶をしてお土産を手渡すテレーゼたち。イチゴは生で、唐芋は焼き芋にすると美味しく食べられることも伝えた。


 「話はエーリカから聞いています。皆さん良くいらっしゃいました。あと、こんなにたくさんのお土産をいただき本当にありがとうございます。娘を呼んできますので、家の中にどうぞ」と、エルナに居間に案内されるテレーゼたち。エーリカたちは部屋にいるとのことで、エルナが呼びに行ってくれた。






 (テレーゼ、約束通りみんなでやって来たんだね。歓迎するよ)


 「テレーゼさん、皆さん、遠いところを来てもらってありがとうございます。全員一緒に転移魔法ですか?凄いですね」


 「こちらこそ、全員誘ってくれてありがとう」と、エマ、エーリカ、テレーゼ。その後、全員で自己紹介を行った。


 (ところで、テレーゼ。もしかしたらアタシたちも、魔法でマルクトにあるテレーゼの家に行くことができるのかい?)


 「それは大丈夫よ。あと数回くらいなら、あなたたちを含めて往復で移動することができるわ」


 「本当ですか!?もし良ければ私をテレーゼさんたちが住んでいるところに連れて行ってもらえませんか?私はダアトとその隣にあるティフェレトから外には出たことがありませんので、ぜひ行ってみたいです」


 (テレーゼ、エーリカ1人だと心配だから、アタシも一緒に連れて行っておくれ)


 「解ったわ。日没までにここ(エーリカたちの家)に戻ってくれば良いのかしら?」


 「それで大丈夫だと思います。お母さんにテレーゼさんたちと遊びに行くと伝えてきます」と、部屋を出て行くエーリカ。すぐに母親の許しが出たようで、嬉しそうに居間に戻ってきたエーリカである。


 「今更ですけど、折角皆さんで遊びに来てもらったのに、すぐに家に帰らせるようなことをお願いしてすみません」


 「エーリカ、私たちはいつでもダアトには来られるから、気にしないで。今日は私たちがあなたたちをマルクトの自宅や農場に招待するわ。街の案内は自宅から少し離れているから、別の日にしましょう」と、エーリカ、テレーゼ。今日の予定を話しつつテレーゼたちは家の外に出る。そしてテレーゼは転移魔法を使った。






 テレーゼ姉妹は、エマとエーリカを連れて転移魔法で自宅まで戻ってきた。


 (いきなり家が目の前に現れたと思ったら、今まで見たこともない変わった家で、アンタが異世界から来たというのを改めて実感したよ)


 「テレーゼさんの魔法であっという間に移動したこともですが、これが他所の世界の家ですか・・・さっきから私、驚いてばかりです・・・」


 「まず、農場に案内するわ。家の裏側を農場にしているんだけど、離れのお風呂や、露天風呂や、農場で一緒に暮らしている仲間たちの休む場所もあるわ」と、エマ、エーリカ、テレーゼ。






 (これは、立派な農場だね。今日持ってきてくれたお土産もここで収穫しているのかい?)


 「ええ。今朝ここで収穫をした野菜をお土産にさせてもらったんだけど、美味しく食べてもらえると嬉しいわ。この農場では、私たちが食べる分を除いて、ギルド経由でマルクトの街にも出荷しているのよ。ちょうど収穫直前のイチゴがあるけど、もし良かったら食べてみる?」


 「この赤くて大きな果物、とっても甘くて美味しいです。こんなの初めてです・・・」


 「アタシにはちょっと信じられないけど、ホントにこれが野菜なのかい?」


 テレーゼに勧められて農場の無農薬栽培されたイチゴを試食したエーリカとエマ(猫の亜神であるエマは、人間と同じものを食べられる)は、その美味しさに驚いたようだ。






 「ここは、庭鳥とボアの仲間たちがご飯を食べたり休む場所になるわ」と、テレーゼは2人を案内した。近くにいた庭鳥やボアたちが集まってきた。


 「庭鳥って、私たちと一緒にいるヘナフちゃんもそうですよね」


 (そうなの。テレーゼおねえちゃんや、イーナおねえちゃん、アンナおねえちゃんたちがいっぱいおせわしてくれたから、あたしたちはおっきくなれたの)と、エーリカの問いに答えるヘナフ。


 (そこの庭鳥も話ができるんだねぇ・・・あと、普通よりは少し小さいようだけど、これだけたくさんのボアも一緒に暮らしているのかい?)


 「テレーゼ姉者が、我や我の群れをイェソドからここに連れ帰ってくれて、飢えや病気にならぬよう日々護ってくれているのだ。姉者は人間でありながら、実は慈悲深い獣の神の化身ではないかと、我には思えてならない・・・」と、エマの問いに答えるエーファ。テレーゼに対して敬慕以上の、自らが信じる獣の神と同等以上の強い感情を抱いているようだ。


 「エーファさんって、ボアなんですか!?どう見ても人間にしか見えないんですが・・・」


 「ええ。エーファが私たちと一緒にいてくれるようになって、そのときに人化魔法で人間になってくれたのよ」


 (テレーゼ、アンタそんな魔法も使えるのかい!?ホントに驚いたよ・・・ところで、ものは相談なんだが、もしできるのならアタシを人間にしてくれないかい?)


 「それは構わないんだけど、人間でいるのはこの家にいるときだけにしてもらえないかしら。エマが人間になったことを、例えばエルナさんとかに説明しようがないことと、それがクリアできたとしても、私たちがずっとそばに居るわけじゃないから、変身中にもしエマに何か起こったときにフォローができないわ。だから、エマには帰宅前に元の猫の姿に戻ってもらおうと思うのだけど、それでいいかしら?」


 (それで構わないさ。猫が人間になるなんてことは、アタシと会話ができるエーリカは別にしても、その場で変身を見てなけりゃエルナを含めて誰も信じないだろうさ)


 (私はあなたの考えに賛成です。人間になったら、これまでできなかったことができるようになりますから、きっとエマとエーリカの2人にも良い思い出になると思いますし、帰宅前に人化魔法を解けば、同じく人化魔法で人間になったイーナやエーファよりも身体が小さいエマにとっても、負担が少ないでしょうから)ティアナもテレーゼの考えに賛成してくれるようだ。


 「テレーゼさん、私からもお願いします。エマお姉ちゃんが人間になれるのなら、ぜひそうして欲しいです」


 「解ったわ。「お願い、私たちと同じ姿になって!」」テレーゼが魔法を発動すると、身長が160センチほどの均整の取れた体型で、明るい茶色の長髪に淡いヘーゼルの瞳を持った、20代半ばくらいの白人系の綺麗な女性の姿になった。二足で立ち上がることにまだ不慣れなためなのか少し猫背気味(猫だけに・・・)であるが、元が猫だったとは誰にも思えないような変身後の姿である。テレーゼは空間魔法でいつも持ち歩いている手鏡でエマに変身後の姿を見せたあと、ガウン代わりの白衣とスリップオン式の履き物を出してエマの身に着けてあげた。


 (そう言えば、エーファに人化魔法を使ったときにも白衣と履き物を身に着けてあげたわね・・・)と、かつてエーファに人化魔法を使ったときのことを思い出すテレーゼ。


 「これがアタシの姿かい・・・人間のように二本の足で立ち上がって歩くなんてしたことがなかったけど、すぐに慣れるだろ・・・ホントにありがとうよ」


 「いきなり大人の女性になったけど、本当にエマお姉ちゃんなの!?」そう言いつつ、感極まった様子でエマに抱きつくエーリカ。「相変わらず仕方がない子だねぇ・・・」と愚痴を言いながらも、猫のときとは違って自分よりも小さいエーリカを優しく抱きしめ頭を撫でるエマ。


 (テレーゼさん、この魔法は3回目ですが、すっかり慣れたみたいですね)(そんなことないわ。イーナやエーファのときもだけど、ティアナが一緒にいてくれるから魔法が使いやすいんだと思うわ。ありがとう)(あなたにそう言ってもらえると嬉しいです・・・)と、テレーゼ&ティアナ。エマとエーリカの2人には、この後農場で採れた野菜をふんだんに使った昼食を用意しようと考えるテレーゼである。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


 エマの人化魔法が上手く行きました。猫と人間の姉妹ゆえ、これまで一緒に何かをやりたくてもできなかった事がマルクトにいる間だけとはいえ、できるようになって良かったですね。


 次話は、全員でカレーを作って昼食などで懇親を深める話です。

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