第4話:王都からの帰宅と姉妹での観光
ティフェレトの会議を終えたテレーゼたちは帰途に就きますが、マルクトに向かう途中で転移魔法を使って早く帰宅します。
ティフェレトで昼食を終えたテレーゼ(ティアナ)、マーヤ、ソフィアは、買い物や別の場所で食事を終えたカトリナ、アリーナ、ペルレと合流後、改めて全員で宿から比較的近いダアトの孤児院に行くことにした。
新鮮な野菜やリバーシや骨灰磁器といった、今回の会議でサンプルとして用意していた品々と合わせて、気持ちばかりではあるが寄付を行った、孤児院の関係者たちからも非常に歓迎して受け取ってもらえたので何よりである。孤児院への訪問後、全員はそのまま宿へ向かった。
宿に到着後、テレーゼは、早速ジークリットに渡す復命資料の作成に取りかかった。会議内容に関しては、ソフィアやマーヤ以外の、会議に出席していない妹たちにとっとも、冒険者として他所のギルドの現状を知ることはとても大切であるため、情報共有の意味で話を行った。またソフィアは、現在テレーゼが行っている復命方法を改めて学びたいとのことで、テレーゼと一緒に資料作成である。
もっとも、会議におけるギルド支部の報告内容は、ほぼ現状の説明に留まっていたため、むしろ復命するべき内容が乏しいことを心配するレベルだったが、何はともあれ夕食までの間に資料作成を終了した。
そのあと、7人は宿の食堂でささやかではあるが、今回の会議や旅の慰労会を行った。イェソドにいるため日頃あまり話す機会のないソフィアとテレーゼたちが、会話を含めて楽しいひとときを過ごせたので何よりである。
翌朝、ダアトの宿をチェックアウトして、留守番をしてくれている妹たちに、通信魔法で王都からの出立と帰宅する予定日時を連絡してから帰途に就くテレーゼたち。道中の野営で一泊して2日目の夕方にイェソドのギルドに到着した。
「テレーゼさん、そして皆さん、今回の旅では本当にお世話になったわ。こんな快適な馬車での移動は初めてだったし、道中での美味しい食事を含めて癖になりそうよ。改めて本当にありがとう」
「ソフィアさん、本当にお疲れ様でした。あと、宿の紹介や街の案内をしていただいてありがとうございました。今夜はゆっくり休んで下さい」と、ソフィア、テレーゼ。挨拶を終えてギルドを離れ、テレーゼ姉妹はそのままイェソドの街の門から外に出る。
街が見えなくなるくらいまで離れて、周囲に他の馬車や旅人がいないことを確認したテレーゼ姉妹は、テレーゼの転移魔法で馬車ごとマルクトの街の外にある自宅に到着した。これで、移動時間でほぼ2日間の短縮ができたことになるが、転移魔法のことは現在ジークリットには話していないため、テレーゼとマーヤは、ギルドへの出勤を3日後にする予定である。
自宅の農場に着いた後、道中頑張ってくれた2頭の馬(幌馬車と馬を譲ってくれた元の持ち主曰く、2頭は仲の良い夫婦らしいので、近い将来子供が産まれるかも知れない。楽しみである)を幌馬車から外して飼い葉と水を与え、ブラッシングをして回復魔法を掛けるテレーゼ(ティアナ)、カトリナ、アリーナ、ペルレ、マーヤ。手分けしての作業なので程なく終わる。
馬の手入れは、大半が馬や馬車関連の技術に長けるマーヤから姉妹全員が教わったのだが、2頭とも元気そうで何よりである。削蹄(さくてい:蹄を削ること。人間の「爪切り」と同じである。最低でも半年に1回くらいは必要)に関しては、馬たちを迎え入れるときに元の持ち主が行ってくれたので、当面は不要であろう。
馬の手入れを終えてテレーゼたちは自宅に入る。
「テレーゼ姉さんたち、おかえり。思った以上に早かったんだな」
「姉さんたち、お疲れ様。事前に通信魔法で早く帰ってくると聞いていたけど、馬車ごと転移魔法を使ったの?」と、今夜の食事の準備をしてくれていたアデリナ&ヘレナ。
「アデリナ、ヘレナ、ただいま。イェソドの街から離れたところで転移魔法を使ったんだけど、上手く行って良かったわ。それと、ティフェレトと王都ダアトには、今後いつでも行けるようになったから、近いうちにみんなで行きましょう」と、テレーゼ。
「わーい♪イーナ、テレーゼお姉ちゃんたちと一緒に遊びに行きたいの♪あと、猫の神様たちにも会ってみたいの♪」
「アンナも、イーナちゃんやお姉ちゃんやみんなと遊びに行く!」と、テレーゼたちの会話に加わるイーナ&アンナ。ティフェレトやダアトに行くことを、最近知り合ったエマやエーリカ宅への訪問を含めて、楽しみにしてくれているようだ。
「イーナ、アンナ、ただいま。明日はティフェレトやダアトにちょっとした観光に行って、明後日にエマたちへのお土産を用意して全員でお邪魔しましょうか?」と、テレーゼ。そして、エマとエーリカに、姉妹全員での明後日の訪問を打診するテレーゼ。
(もうマルクトに帰り着いたのかい?この前の話では、アタシたちの家から馬車で5日くらいは離れているということだったけど、アンタの使う転移魔法ってホント凄い魔法だねぇ・・・あと、アンタの妹たちならうちに来ても問題ないだろうから、みんな一緒にやって来るがいいさ。歓迎するよ)
(テレーゼさん、明後日でしたら丁度1日家にいますから、エマお姉ちゃんと一緒に、皆さんが遊びに来てくれるのを楽しみにしています)
「エマ、エーリカ、急な話だったのに訪問を受け容れてくれてありがとう。明後日の午後からみんなで行かせてもらうわね」と、エマ、エーリカ、テレーゼ。
折角の訪問なので、イチゴや唐芋、リバーシ、白磁の器といった、まだ王都でも手に入れにくいと思われる、自分たちで生産・製造している品物をお土産に用意しようと思う。
翌日は、朝食を済ませたあと、転移魔法で比較的容易に行けるようになったティフェレトとダアトに、姉妹で出掛けることにした。但し、ヘナフ、ワーちゃん、エァトは、観光よりは自宅や農場で過ごしたいようだったので、最近ティフェレトに行ったことのあるカトリナ、アリーナ、ペルレ、マーヤと一緒にお留守番をしてもらうことになった。そのためテレーゼ(ティアナ)と同行するメンバーはアデリナ、ヘレナ、イーナ、アンナ、エーファである。転移魔法でまず王都ダアトに到着する。
「テレーゼ姉さん、以前姉さんの故郷に行ったときもだけど、人や建物がとにかく多いな・・・」
「姉さん、ダアトには初めて来たけど、姉さんの魔法がなかったら一生来ることがなかったかも知れない」
「テレーゼお姉ちゃん、イーナはみんなと一緒にいられて楽しいの♪」
「イーナちゃんやお姉ちゃんと一緒に遊べるのが楽しみ!」
「テレーゼ姉者、我が人間にならなかったら、今この場にいないだろうと考えると不思議な心持ちを感じるのだが、同時に、我らが日々幸せな生活を送れるきっかけとなった姉者たちとの邂逅を、改めて本当に幸運に感じる」
(テレーゼさん、みんな、今日はあちこち見て回って楽しい時間を過ごしましょう)
「みんな、この前ここに来たときに、ソフィアやマーヤにいろいろ教えてもらったから、今日は私がここを案内するわね」と、アデリナ、ヘレナ、イーナ、アンナ、エーファ、ティアナ、テレーゼ。
今回の観光は、イーナやアンナといった幼女がいることもあり、ダアトの巨大建築物である王城や大教会、ティフェレトのギルド本部や市場での食事や買い物など、ある程度場所を絞って行くことにした。
良い意味で予想外だったのが、王城や大教会といった歴史ある巨大建築物を、幼女であるイーナやアンナも興味深そうに見学していたことである。マルクトにはここまで大きな建物がないこともあって、印象深く興味を持ってくれたようだ。そして、ティフェレトの市場で食事したり、セフィロト各地から集まってくる売り物を見物したり買い物をしたりと、テレーゼが思っていた以上にみんなが楽しむことができたようで何よりである。夕方近くになって転移魔法で自宅に帰宅した。
自宅では、留守番してくれた妹たちが、夕食を用意してくれていた。
(姉妹全員で一緒に食事するのは、昨日の夕食や今日の朝食もだけど、本当に好きだな・・・明日の訪問が楽しみだけど、その前のお土産の準備や、明後日の会議復命も頑張らなくちゃ・・・)
(テレーゼさん、私もです。いつもそばにいてくれる娘や妹たちとの食事は、それだけで幸せに感じますから・・・)と、テレーゼ&ティアナ。かけがえのない妹たちとの時間を実感しながら、明日のエマやエーリカとの再会と、明後日のジークリットへのギルド会議の復命のことを考えることにする。
(これまで本当にたくさんの出逢いや出来事があったわね・・・今後もここセフィロトの地でいろいろなことがあるだろうけど・・・みんなと一緒ならきっと迷わず行ける、そしてみんなで楽しめるに違いないわ・・・)と、本当に強く思うテレーゼである。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
転移魔法によりマルクトへの復路の負担が大幅に軽減して、合わせて通常よりも早く帰宅できました。そのため、時間的余裕を活かして姉妹の観光を行うことができました。そして、観光はイーナやアンナといった幼女たちも楽しむことができて何よりです。
これで第19章は終わりです。同時に本話で80話となりました。私事で本当に申し訳ないのですが、昨年末の身内の急逝も相まって公私ともに酷く多忙で、愛娘たちの日々を綴る時間の確保が困難なため、当面の間、不定期の更新とさせていただきたいと考えます。時期は確約できませんが、作者的には状況が落ち着いてから定期的な連載の再開を考えていますので、そのときには改めてよろしくお願いします。




