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テレーゼ院長のセフィロト見聞録  作者: 西風の剣
第15章:同居と魔法あれこれ
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第2話:エーファのギルド登録と付与魔法

 テレーゼたちは人化魔法で人間になったエーファの冒険者登録のためにギルドに向かいます。

 そして登録後、彼女に相応しい防具を用意します。

 テレーゼがエーファに人化魔法を使った翌日のこと。非常勤のテレーゼはともかくマーヤは指名依頼からマルクトに帰ってきた翌日ということで、ギルドの勤務は休みである。そこで、この機会にギルドでエーファの冒険者登録を行うことにした。テレーゼ(&ティアナ)、マーヤ以外の同行者は、登録者本人のエーファと、ギルドや冒険者関連に詳しいカトリナである。


 自宅を出たテレーゼ(&ティアナ)、カトリナ、マーヤ、エーファは、マルクトの門番に身分証を提示(身分証がないエーファの分の通行税はテレーゼたちが支払った)して街中に入り、そのままギルドに向かった。二足歩行はかつてのイーナのとき以上に経験がない(というよりほぼ皆無だと思われる)エーファが、自宅から街中までの長めの距離を無理なく歩いているのには、少なからず驚きを感じたテレーゼである。人化魔法が優秀だからなのか、エーファの身体能力が高いからなのかは皆目不明であるが。


 (そう考えると、確かに不思議ですね・・・エーファは、元々ボアですから四足歩行しか経験がないはずなのですが・・・)と、ティアナが頭の中に語りかけてきた。


 (逆に私が人間になる前のイーナやエーファみたいに四足歩行しようとしても、とてもうまく行くとは思えないわ・・・そう言えば、日本は四足歩行を体系化した人がいてその分野の研究では本場だけど、とてもマネできそうにないから、その意味でもイーナやエーファは凄いと思うのよ)


 (ティアナ姉者、テレーゼ姉者、後脚だけで立ち上がるのは、少し高い木の上にある餌を採ったりするくらいで、そのときも前脚は木に乗せてるから完全に立ち上がったわけではないな。そんな我が何で普通に歩けているのか?と考えると全く解らないが、本当に凄いのは2人の姉者が我に使った魔法だろうな)

 と、テレーゼ、エーファ。エーファは、彼女と同様にテレーゼと強固な心の繋がりを持っているティアナ、イーナ、ペルレと同じく、声に出しての会話と頭の中の会話の両方が可能なようだ。その意味ではヘナフも人化すれば両方が可能になると思われる。


 頭の中で3人が話していた今の話を、カトリナとマーヤに伝えるテレーゼである。


 「普通に考えて、本来キラーグリズリーというよりティアナの固有魔法である人化魔法を使えるテレーゼお姉さんのような人って、他に見たことも聞いたこともありませんのでよく解らないのですが、やはり人化魔法やそれを使えるお姉さんたちの力が凄いのだと思いますよ」


 「少なくともギルドではそんな魔法があったなんて、イーナちゃんが魔法で変身していることを聞かされるまでギルドマスターですら知らないことでしたから。いずれにしても、ギルドマスターが以前話していたように、この魔法は私たち姉妹の関係者だけで留めておくべきでしょうね」

 と、カトリナ&マーヤ。会話しながら歩いているうちに姉妹はギルトに到着する。早速ジークリットのいる部屋に向かう。






 「やあ、テレーゼ。今日はどうしたんだ?そう言えば知らない人がいるな。彼女を私に紹介してくれるのかな?」と、ジークリット。


 「はい。今日は彼女のことを含めてお願いしたいことがあります。彼女は昨日紹介したエーファです。彼女からの申し出があって、私が人化魔法を使いました。ついては、彼女にギルドの身分証を発行して欲しいんです。あと、彼女たちが率いていた仲間たちは、私たちの農場で一緒に暮らすことになりましたので、その報告です」


 「我はエーファ。テレーゼ姉者とティアナ姉者の魔法で人間になった。よしなに頼む」と、テレーゼ&エーファ。


 「イーナのときもだけど、テレーゼの人化魔法は本当に凄まじいな・・・どこから見ても人間そのものじゃないか・・・あとボアの群れを全部君が丸抱えすることも含めて了解したよ。大変かも知れないがよろしく頼むよ。エーファの身分証の件は、マーヤ、休日のところを申し訳ないが、今から用意してくれないか」


 「わかりました。書類や道具を持って来ます」と、ジークリットの指示で書類などを取りに行くマーヤ。


 「こちらの無理を通していただき、ありがとうございます」


 「いやいや、礼を言うのはこっちのほうだよ。ソフィーアから早馬で届けられた手紙にもあったけど、落ち着いたら君に礼を言いに来たいそうだ。あと、テレーゼは、うちのギルドにとって、いや、このマルクトにとっては、もはや余人をもって代え難い存在だからな。そんな宝を護るためなら何だってするさ」


 「本当にありがとうございます」と、テレーゼ&ジークリット。程なくマーヤが部屋に戻ってきて、身分証発行の書類をテレーゼが代筆し、エーファの身分証が発行された。


 職業に関しては、以前人化魔法で人間になったイーナは、キラーグリズリーの種族的特性で罠や地形的な危険を看破できる能力を活かす形で「斥候」での登録だったが、エーファは人化により、ボア(彼女の場合は、正確にはボアの群れを統率・守護する上位種族であるガーディアンボアというらしい)の身体的頑健さを強く引き継いでいるため、これを活かす形で盾を攻防に活用する術に長ける「守護者」での登録である。職業に関しては昨夜姉妹全員で話し合い、最終的にエーファがそれに同意してくれたのだが、彼女の名前の由来(第14章第3話参照)や群れのリーダーという役目や身体的能力なども相まって、本当に彼女に相応しい職業だとテレーゼは思っている。ギルド登録が終わり、テレーゼ姉妹はジークリットにお礼を言ってギルドを出る。その後、マルクトの街の武器・防具屋で、エーファ用の大きな鉄製の盾(構えると、エーファを完全に覆うくらいの大きさ)と、雑貨屋で太く長い革紐を購入して帰宅した。






 帰宅後、テレーゼは市内のホームセンターで分厚く丈夫なポリカーボネート製の樹脂板を購入してから、早速エーファ用の盾改造に着手した。まず、盾に付いている上腕部で固定する留め具と持ち手を外す。次に、盾を縁の部分を枠のように残す形でグラインダーで切断して、そこに魔法で変形させたポリカーボネートの樹脂板をはめ込み接着する。そして、外した留め具と持ち手をエーファの上腕と手の大きさに合うように調節して取り付ける。最後は、盾全体に永続的な堅牢化・軽量化などの魔法を付与して完成である。盾は、自らの堅牢さを示すかのように、魔法的な淡い銀色の輝きを放っている。


 これは警備会社などが用いている防護盾を参考にしたもので、盾を構えた状態でも、盾がない状態とほぼ同様の視野が確保でき、なおかつ軽量で物理・魔法的衝撃をほぼ完全に相殺可能な堅牢さと、魔法使い用の杖代わりに使用できる特性を持った、テレーゼによる自重なき魔改造(使用者のエーファが敵の攻撃で極力負傷しないように)が施された逸品である。先日の農場全体の防御壁を作る際に、多数の魔石に付与魔法を施したことが良い練習となり、魔法使い用の杖としての能力を他の武器・防具に付与できるようになったテレーゼである。もちろん、こんな高性能な盾はマルクトはもちろんのこと、王族の宝物庫にすら存在しないであろう。これを構えたときのエーファは、「移動する要塞」と言っても過言でない防御力であり、この上なく頼もしい。


 なお、切断した鉄の盾の残りに関しては、更に2つに分割して切断面を内側に折り曲げて加工したあと、窓の部分を作るように切断してそこにポリカーボネートの樹脂板をはめ込んで接着する。そして革紐で留め具と持ち手を作成して盾に取り付け、最後に堅牢化・軽量化などの魔法を施して新たに2枚の小さい盾が完成した。これは軽量化の魔法の効果でイーナやアンナでも十分使用可能であり、しかもほぼ完全に2人の身体全体を護ることができるものだったため、2人は大喜びであった。


 「テレーゼ姉者、こんな凄い防具を我に授けてくれて、本当に感謝する。この盾があれば、我の同胞だけでなく、テレーゼ姉者たちも護ることができる・・・」


 「テレーゼお姉ちゃん、イーナ、これすごく気に入ったの♪」


 「アンナもイーナちゃんと一緒に、これでテレーゼお姉ちゃんたちやヘナフたちを護るの!」


 「エーファ、イーナ、アンナ、そう言ってくれて、本当にありがとう。でも、あなたたちだけで頑張るのではなく、私たちにもみんなのことを護らせて欲しいわ。あと良い機会だから、みんなの武器にも魔法を付与しようと思うんだけど、どうかしら?

 アデリナ、カトリナ、ヘレナの武器は威力の向上もだけど魔法を使うときの杖代わりに使えるようにして、イーナ、アリーナ、アンナには魔法使い用の杖の強化を、マーヤには今使っている杖代わりの指輪を強化することにして、ペルレには私と同じように杖なしで魔法が使えるから、魔力消費が減少するように魔力軽減の魔法が施されたアクセサリーでも作るつもりだけど、他に何か要望があれば、遠慮なく言ってもらって構わないわ。あと、ティアナ、何も身に着けさせてあげられなくて申し訳ないけど、あなたのことは必ず私が護るから心配しないで良いわ」


 「テレーゼ姉さん、本当か?ぜひアタシの槍に姉さんの魔法を掛けて欲しい」


 「姉さん、私の弓にも」


 「テレーゼお姉さん、私の長剣にもぜひお願いします」


 「イーナの魔法の杖にも、テレーゼお姉ちゃんの魔法をお願いしたいの♪」


 「アンナもイーナちゃんと同じ魔法が良いの!」


 「テレーゼお姉さん、もし面倒でなければ、私の杖にもお願いします」


 「私の指輪もテレーゼお姉さんの魔法で強化してもらえるなんて、本当に凄いです」


 「姉さまがペルレのためにアクセサリーを作って下さるなんて、考えただけでも物凄く嬉しいです♡」


 「テレーゼさん、あなたが私に気を使って下さるだけでとても嬉しいです。あと、何もできないかも知れませんが、私にもあなたのことを護らせて下さい」

 と、アデリナ、ヘレナ、カトリナ、イーナ、アンナ、アリーナ、マーヤ、ペルレ、ティアナ。今回の装備品の魔法強化を、妹たち全員が凄く期待してくれているようだ。加えて、ティアナの気持ちがテレーゼには心底嬉しく感じられた。


 テレーゼは早速妹たちの武器やアクセサリーへの魔法付与を開始した。あと、ペルレのアクセサリーはブレスレットにして、魔力消費半減の効果と、自身が拡大・縮小する魔法(第14章第4話参照)を付与した。ブレスレットの素材はゴムのように非常に大きな伸縮性があるため、たとえ身につけたまま拡大魔法を使っても破損せず安心である。ペルレは独りだけ人間よりも小さい姿であることをどこか気にしていたようなので、その悩みを自分の意思で解消できるようにしてあげたかったのである。


 今回の魔法付与が妹たち全員からとても好評だったのは何よりである。中でもペルレは右手首にブレスレットを着けて、早速拡大魔法を使った。すると、他のテレーゼ姉妹と同等以上に均整の取れた身体を持った、テレーゼよりも若干身長が低いものの普通に成人といえる大きさに変身した(変身しても、服のように身に纏った魔力はそのままである)。これにはイェソドに同行しなかったカトリナ、アリーナ、イーナ、アンナが特にびっくりしていたが、当の本人は、自分が大きくなった途端、喜びのあまりテレーゼを正面からしっかりと抱きしめ、そのままテレーゼを抱えたまま約2mの高さを、本当に嬉しそうに飛翔したほどである。ペルレが自分を抱えて飛んでくれたのはこれで2回目であるが、心から喜んでくれて何よりである。


 自分が縮小魔法で小さくなったイェソドの時と逆で、今回はペルレが拡大魔法を使ったのだが、改めて自分を抱いたまま容易く飛ぶことができるペルレの力強さ・飛翔能力の高さを実感できた。その後、姉妹で手分けして、大きくなったペルレが人間サイズの衣装などを持っていないため、普段着や他所行き用の服、下着、靴、食器などの購入を行った。それと近いうちにペルレのギルドへの登録も行いたいと思うテレーゼである。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


 エーファが護りに特化した能力に加えて、テレーゼ謹製の盾を手に入れて、まさに鉄壁の護りとなりました。また、他の妹たちの武装も大幅に強化されましたので、後述のペルレのことを含めて攻守ともにテレーゼ姉妹のパーティーは大きく底上げされたことになります。


 そして、ペルレが自分の意思でいつでも大きくなれるようになって良かったですね。今後は大きくなった状態で過ごすことが増えるのではないでしょうか。


 次話は姉妹が毎朝行う鍛錬での新たな取り組みと、テレーゼが使うある魔法に関して考察を行います。

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