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テレーゼ院長のセフィロト見聞録  作者: 西風の剣
第15章:同居と魔法あれこれ
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第1話:同居と人化魔法再び

 イェソドから農場までやってきたエーファたち。

 彼女たちの群れを農場に迎え入れることが決まり、エーファはあることを決心します。

 イェソドから帰宅したテレーゼたちは、留守を護ってくれた妹たちから遅めの昼食を作ってもらい、ちょっとした宴となった。そこでテレーゼは新しく妹になってくれたエーファを紹介する。今回の指名依頼の顛末に関しては、概ねテレーゼと心の繋がりのあるイーナやヘナフから他の妹たちにも既に伝わっていたが、流石にボアのリーダーのエーファを間近に見た妹たちは、改めて姉であるテレーゼ(&ティアナ)たちの偉業に驚かされることになった。もっとも、エーファやその子供たちや彼女の群れのボアたちは農場でのどかに唐芋の焼き芋を食べて寛いでくれており、和やかな異種族交流が行われることとなった。


 宴が終わった後、テレーゼは妹たち全員に、できることならエーファたち全員を農場に迎え入れたいということを伝えた。


 というのも、農場の外に連れて行った場合、せっかく縁あって妹になってくれたエーファやその仲間たちが他の冒険者たちに討伐される危険性があることを危惧したからである。もちろん、300頭以上のボアの大群を、いくら小さくなったとはいえ全て護ることは相応の覚悟が必要であり、また、エーファたちの意向が最優先であるため、今回の話し合いを持った次第である。なお、エーファとヘナフの通訳は、ペルレとイーナがそれぞれ受け持つことになった。


 「エーファ、もし身体が小さいままで良いのなら、あなたたち全員と今後一緒に暮らしたいと思うのだけど、どうかしら?」


 (われらのことをそこまでかんがえてくれてかんしゃする・・・われらはそれでよい。でもわれらはにんげんではないが、それでもいいのか?もちろん、われらにできることならばテレーゼたちにしたがう)


 「アタシはテレーゼ姉さんの意見に賛成だよ。というか、優しい姉さんなら、多分そう言うと思っていたよ・・・農場でみんな一緒に暮らすのならきっと賑やかで楽しいし、もし食べ物が足りないのなら今以上に畑仕事を頑張るから」


 「姉さんはたとえ自分を犠牲にしても、私たちを本当に一生懸命に護って幸せにしてくれる・・・だから、姉さんがエーファたちを護りたいと思うのなら、私はそれに喜んで協力したいと思うし、姉さんを含めてみんなを護れるようにもっと頑張る」


 「テレーゼお姉さんが農場周辺の護りを以前の数倍も大きくしたのは、間違いなく今回のように農作物がより多く必要になった場合を視野に入れてのことですよね・・・私もお姉さんの意向に賛成です。それにエーファたちも協力してくれるようですから、きっと大丈夫ですよ」


 「姉さま、大雑把な計算ですけど、現在の農場の生産量だけでもかなり余裕を持ってみんなで食べていけると思いますよ。それに、エーファ姉さまたちが畑を耕したり除草してくれるのであればとても大きな手助けになりますから、今以上に生産量を増やすことも不可能でないどころか比較的簡単だと思いますよ。何よりせっかく出逢えたエーファ姉さまたちと、ペルレはお別れしたくありません」


 「イーナも、ティアナお母さんも人間じゃなかったけど、テレーゼお姉ちゃんたちと仲良く楽しく暮らしているの♪だからエーファお姉ちゃんたちともきっと仲良くできるの♪」


 (あたしたちよりもつよいおともだちがいっぱいそばにいてくれたら、ヘナフたちはいまいじょうにあんしんできるし、きっとたのしいの)


 「ボアの群れって、身近にいてくれるのならたとえ身体が小さくても凄く心強いですね。私はテレーゼお姉さんの考えに強く賛成します」


 「優しいテレーゼお姉ちゃんの決めた事だから、間違いなく良いことだと思うの!だからアンナもテレーゼお姉ちゃん、お母さん、イーナちゃん、他のお姉ちゃんたち、ヘナフたち庭鳥さんと一緒に、エーファお姉ちゃんたちとも一緒に暮らしたいの!」


 「テレーゼお姉さんがイェソドから戻ってくる間、ずっとそのことを考えていたんですね・・・本当にお姉さんは地母神様のように懐が大きくて凄いです・・・そんな心優しいお姉さんが私は大好きですし、もちろんお姉さんの考えに心から賛成します」


 「テレーゼさんの決めた事を全力で支えていきたい・・・私たち妹は全員心からそう思っています。唯一不安があるとするならば全員分の食料ですが、さっきペルレが話していたように、食べて行くには現状でも全然問題ありません。今後とも、あなたの考えに及ばずながらお手伝いさせて下さい」と、テレーゼ、エーファ、アデリナ、ヘレナ、カトリナ、ペルレ、イーナ、ヘナフ、アリーナ、アンナ、マーヤ、ティアナ。一緒に暮らすことに妹たち全員が賛成してくれるようだ。食べていくことに関しては、話の提案前にある程度綿密に計算していたのだが、ペルレとティアナは改めてそれを精査してくれていたようだ。


 「みんな、本当にありがとう・・・」心優しく健気な妹たちの存在が心底嬉しく、テレーゼはいつしか目に涙を浮かべていた・・・妹たちは人一倍情愛が強いテレーゼに近寄って、心から敬慕する長姉のテレーゼを自らの身体で護るかのように、優しく身体を抱きしめたり頬を伝う涙を拭いたりしてくれた・・・






 テレーゼたちが落ち着きを取り戻すのを待ってくれていたかのようなタイミングで、(テレーゼ、もしよければわれをにんげんにしてもらえないか?なかまたちにこれからもずっと、あのあまくておいしいいもをたべてもらいたいのだ。そこにいるクマのこどものように、にんげんになればきっとテレーゼたちのたすけになれるだろう)と、エーファがかつてのイーナと同じように、テレーゼに人化を申し出てくれた。


 「エーファ、解ったわ。こっちに来て・・・「お願い、私たちと同じ姿になって!」」そう言って、人化魔法をエーファに発動するテレーゼ。すると、栗色のショートヘア、黄色人種よりも若干濃い色の肌、エーファの心の強さと群れ全体への優しさを反映したかのような強い目力を感じさせるヘーゼルの瞳、全身がとても筋肉質でテレーゼよりも少し背が低い30代半ばほどの、生気に満ち溢れた凛々しい顔の女性に変身した。彼女は殆ど人間と同じ姿だが、下顎のやや長い犬歯2本が唇から見え隠れしているところに、かつてのボアだった頃の名残が窺える。


 魔法を唱えた直後、すぐに空間収納にしまっていた自らの施術用の白衣とスリップ・オン式の履き物を身に着けてもらい、手鏡で変身後の姿をエーファに見せてあげるテレーゼ。


 「これが我の姿か・・・二足で立つというのはこんな感じなのだな・・・テレーゼ姉者あねじゃ、今後我らをよろしく頼む・・・」「解ったわ、エーファ。長姉として、あなたたち全員を心から歓迎するわ。こちらこそこれからよろしくね」と、エーファ、テレーゼ。以前のイーナの時と同じように、人化により元々の知能が底上げされているようだ。あと、これはボアだった時からであるが、全体的にやや古風な口調である。そんなエーファの個性をテレーゼは興味深く感じた。


 変身したエーファの姿を見て、彼女の連れ添いや子供たちがびっくりしながらもそばに近寄ってきた。そして彼女は連れ添いや子供たちを、たった今人間になったばかりの両手で代わる代わる優しく撫でていた。彼女の家族や率いていた群れに対する強い情愛は、自らが人間に変身しても欠片も損なわれていないようだ。


 人化と言えば、以前庭鳥のヘナフにも希望を聞いたことがあるのだが、もし人間になりたいと思ったときには教えてくれるそうなので、そのときには彼女の希望を叶えてあげたいと思う。






 エーファが人化したあと、テレーゼたちは手分けして、マルクトの街と日本にエーファの普段着と余所行きの服や下着、靴などを買いに行った(特にマルクトの街の店は、日没時には閉店するためギリギリの時間だったが何とか購入できた)。そして服を着る方法は主にイーナが教えてくれていた。「人化の先輩」とも言えるイーナのアドバイスは納得できるところが多いのだろう。夜は、テレーゼ姉妹全員で改めてエーファや仲間たちの歓迎会を行った。基本的にボアは雑食性なので、人間が食べる物はエーファも大体問題なく食べられるのが幸いである。彼女は、自分と同じく人化したイーナや人化はしていないものの心の繋がりがあるヘナフと、主に動物目線での生活について会話を交わしていた。


 ところで、ジークリットからボアの群れの行き先が決まったら教えて欲しいと言われているが、そうなるとエーファの人化について触れないわけにはいかないだろう。今回エーファに人化魔法を使うところはギルド勤務のマーヤも確認しているし、イーナという前例もあるので今更ではあるのだが、ジークリットには事情を説明するときに、エーファのギルドでの冒険者としての身分証を手に入れるために協力してもらおうと思うテレーゼである。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


 エーファたちの群れにとって安住の地ができて良かったですね。


 そして、エーファは人化魔法で人間になりました。これまでリーダーとして群れを護ってきた彼女は、とても頼りになる存在であり、今後の活躍に大いに期待です。


 次話はエーファのギルド登録を行う話です。

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