表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テレーゼ院長のセフィロト見聞録  作者: 西風の剣
第11章:誕生会とボードゲーム
45/84

第1話:ボードゲームの準備

 テレーゼは、アリーナ、アンナ、マーヤの誕生会を盛り上げるために、セフィロトに存在しないボードゲームを妹たちと一緒に作成します。

 テレーゼは、元々行う予定だったアリーナとアンナの誕生会に加えて、マーヤの誕生日を一緒に祝うことになり、何か全員で楽しめる簡単なルールの遊びはないだろうかと考えていた。そこで、今から半世紀ほど前に、日本で改良された後に世界的に広まったボードゲームであるリバーシを8セット用意することにした。6セットはテレーゼ姉妹と両親用で、1セットは誕生会が終わった後、マーヤにプレゼントとして贈呈する予定である。残りの1セットは、多分ジークリットがギルドでの販売のための見本として欲しがりそうなので、そのための予備用である。


 ところで、当日の誕生会出席予定者の中で、剛史とテレージアは間違いなくこのゲームが別格に強い。何しろテレーゼが2人と対戦した回数は、2人合わせて間違いなく4桁に達するが、今まで勝てたのはせいぜい2割程度である。なお、テレーゼの名誉のため補足するが、彼女が高校3年の文化祭で数十人が参加した勝ち抜き戦のリバーシ大会で優勝したとき、(正直な話、父母との対戦のほうが余程厳しいわ・・・)などと感じたのは余談である。


 加えて父である剛史は、勤務していた会社の本社で9月に開催された、臨時職員も含めて100人ほどが参加した大会の初代優勝者である。大会の表彰式でトロフィーを持った父の写真が載った記事が掲載された、会社の労働組合の機関誌を当時読んだことを今でも覚えている。そして、父は第2回大会が開催される前に支社に昇進絡みで転勤となり、それ以降は本社勤務がなく残念ながら大会に参加する機会がなかったそうであるが、そんな父は、今でも時々パソコンやゲーム機のソフトやテレージアなどを相手にリバーシを楽しんでいる。


 控えめに言っても相当に強い剛史に鍛えられた母のテレージアも、娘の贔屓目抜きで相当な強さである(但し、剛史との初対戦は、テレージア曰く、前述の大会優勝直後にお互いが手加減抜きの真剣勝負をした結果、文字通り全滅してしまい、あまりの結果に呆然としてしまったとのこと)。テレーゼが子どもの頃は、明らかに2人から手加減されていたにも関わらずなかなか勝てず、それはテレーゼが社会人になって30年近く経過した今も大して変わらないように感じる。


 いずれにしても、今までゲームをしたこともない妹たちやギルドの2人と両親を対戦させるのはあまりにも酷であるため、両親と対戦したいというチャレンジャー(多分アデリナやジークリットあたりは対戦を希望するのでは?)を除いて、主に残りの人たちで仲良く遊んでもらおうと思っている。ゲーム盤は市内の玩具店で購入すれば話が早いのだが、今回は妹たちとの思い出作りのため、全て手作りにすることにしたテレーゼである。






 方針が決まり、早速作成である。最初に以下の物を市内のホームセンターで購入した(工具は手持ちの物を使用)。

  ・ペンキ、ニス、油性黒マジック、刷毛:ゲーム盤の塗装・墨入れ用

  ・蝶番、木ネジ:ゲーム盤を折りたたみ式にするために使用

  ・木工用接着剤:駒箱材料の接着用

  ・紙やすり:板の塗装前にささくれなどを取り除くために使用


 ・次に自宅裏の森林に生えている大木を2本伐採して、合成魔法の「ドライヤー魔法」(第7章第3話参照)を使って木を乾燥させる。

 ・皮を剥いだ木を2枚合わせて正方形になるように魔法で板に加工したあと、丁寧にヤスリ掛けを行う。

 ・片面に緑色のペンキを塗り、乾いたらマス目をマジックで墨入れして、両面にニスを塗って乾かす。

 ・折りたためるように蝶番を取り付ける。

 以上でゲーム盤の完成である。板のヤスリ掛け、塗料やニスの塗布・墨入れ、蝶番の取り付け作業は妹たち全員に手伝ってもらった。


 「お姉さん、相変わらず魔法の使い方が上手ですね。大木があっという間に長方形の板になりました」

 「イーナ、この板に色塗りするの♪」

 「イーナちゃんと一緒にアンナも色塗りを頑張る!テレーゼお姉ちゃん、これで良いの?」

 「アリーナもこのくらいの魔法はすぐに使えるようになるわ。あと、イーナ、アンナ、色塗りありがとうね。上手にできてるわ。乾いたら今度は定規を使って線を引こうね」と、アリーナ、イーナ、アンナ、テレーゼ。イーナとアンナは板を緑色を塗るのが楽しいようだ。






 ゲーム盤が完成したら駒と駒箱の作成である。駒は魔法を使って片面が黒、もう片面が白の薄く丸い陶磁器の駒を、予備も含めて500枚ほど作成した。

 次に、ゲーム盤を作った残りの材木を使って薄い板を作り、それを使って駒箱を作成した。

 最後に、材料は同じであるが前述のものとは別に、ペルレでも遊べるよう小型のゲーム盤と駒と駒箱を作り、予定していた作業が全て終了した。

 なお、伐採した木は薪として使える枝や木の皮を含めて、ほぼ無駄なく使い切ったので何よりである。






 テレーゼがリバーシのルールを説明するとき、今まで遊んだことがないゲームに妹たちは全員興味津々である。説明が終わり、早速ゲーム開始である。


 「姉さん、このゲーム面白い」

 「最初は順調に勝ってるのに、何で後になるとヘレナにボロ負けするんだよ・・・」

 「姉さま♡私のために小さなリバーシセットを作って下さって本当に嬉しいです♡」

 「ペルレはこのゲームが強いんですね、びっくりしました・・・」

 (テレーゼさん、そばで見ているだけでも面白いです)と、ヘレナ、アデリナ、ペルレ、カトリナ、ティアナ。


 ペルレは接骨院で患者様同士が施術前の待ち時間に対戦していたのを見ていたらしく、なかなかの腕前のようだ。

 因みに、ペルレ用のリバーシセットは、一応他の妹たちも使用可能な大きさであるが、今回ペルレとカトリナは、それぞれ1セットずつ使って相手の指し手を再現しながら対戦を行っていた。他の妹たちは、時折2人のゲーム盤を見て指し手の参考にしているようだ。


 リバーシを作り上げたその日の夜から、妹たちの間では夕食後にリバーシに興じることがブームになったようだ。テレーゼも妹たちに誘われて時折対戦することがあるが、現状で妹たちの中では、明らかにペルレが頭一つ以上腕前が抜きん出ている。接骨院で老練な患者様たちの対戦を数多く見ていたことが大きいようだ。


 他の妹たちも、ただ遊ぶだけでなく、テレーゼに指し手の良し悪しを度々質問してくるようになりとても熱心である。テレーゼから剛史とテレージアが相当に強いという話を聞いた影響もあるのだろう。いずれにしても今後の上達が強く期待できそうで楽しみである。






 もう1つ、テレーゼは五目並べを妹たちに紹介した。テレーゼが子どもの頃、リバーシのゲーム盤を使って五目並べをしたことがあり、それを思い出したのがきっかけである。但し折角なので、今回はリバーシ盤の代用ではなく19路の折りたたみ式の囲碁盤を姉妹全員で作成して。碁石と碁笥ごけ(碁石を入れるために使う、蓋付きの丸い入れ物のこと)は、テレーゼが魔法で作成した。


 「テレーゼお姉ちゃんのお顔ができた♪イーナ、アンナがいてくれたから頑張って作ることができたの!」

 「イーナちゃんが石を使って絵を描くことを思いついたのがすごいの!」

 「イーナ、アンナ、2人とも本当にありがとうね。折角だから写真に残しておくわね」と、イーナ、アンナ、テレーゼ。


 五目並べは、特にイーナとアンナがよく対戦するようになった。時には白黒の碁石を並べて図形を表現することもあり、2人で一生懸命作り上げたテレーゼの顔はなかなかの出来映えだった。テレーゼは妹たちの頑張りと、お互いの思いやりに対して胸が一杯になり、こみ上げてくるものがあった・・・

 早速2人の力作を、デジタルカメラで写真を撮って記録に残し、パソコンのプリンターで印刷して部屋の壁に飾っておくことにした。他の妹たちにも大好評で、絵を作成したイーナとアンナは姉妹全員から誉められて、とても嬉しそうだった。






 (今度の誕生会に限らなくても、妹たちと全員で楽しめる遊びを用意できて良かったわ・・・次は何を用意しようかしら?)と、リバーシや五目並べに興じる妹たちの様子を見ながら、テレーゼは誕生会に向けての次のアイデアを考え始めるのだった。

 最後まで読んで下さり、ありがとうございます。


 テレーゼが新しく用意したボードゲームが、姉妹全員で楽しめているのは何よりです。

 リバーシや五目並べは、誰でも覚えやすいシンプルさはあっても奥深いゲームだと思います。あと、職場の第1回レクリエーション大会で優勝したことと、当時の交際相手とオセロをやって相手を全滅させたことは一応作者の実話です。相当昔のことですので、トロフィーに付けられた優勝した証である名前が書かれたリボンや、レクリエーション大会そのものが現在もあるのかは不明ですが、当時どうやって優勝できたのかと言われてもまぐれとしか言い様がありませんし、今同じことを達成しようとしても絶対に無理だと思います。


 次回は、テレーゼが妹たちに関してのある事柄に覚悟を決めたことと、誕生会料理の試作ということで魚料理を妹たちに披露する話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ