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テレーゼ院長のセフィロト見聞録  作者: 西風の剣
第2章:4人での生活
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第2話:両替魔法

 セフィロトでお金を稼いでも、それをどうやって日本円に両替するのか?

 テレーゼは、魔法という力業?でそれを解決します。


 7月26日 一部の台詞で発言者が違っていた箇所を修正しました。

 4人は隠蔽魔法の効果確認が終わり家の中へ。


 「ところでテレーゼさん、日本でのお金ってどうやって稼いでいたんですか?私たち、ここに住まわせてもらって、おまけに毎日食事もお風呂も出してもらってますから、本当に申し訳なくて・・・」と、カトリナが尋ねてきた。


 「接骨院が「セフィロト」にあるけど・・・というか日本も含めて接骨院の開業は無理ね。ここが「国境」になってることは隠さないといけないし・・・」と、テレーゼが現状を3人に伝える。


 「それなら、アタシたち4人で討伐やって、手に入れたものを日本で売ったら良いんじゃないの?」

 「アデリナ、テレーゼと知り合ってから頭良くなった?」

 アデリナのアイデアに突っ込みを入れるヘレナ。


 「アデリナはいざという時の頭の回転が速いんだと思うわ。ここの建物と魔法の関係性も見抜いたんだし」と、テレーゼがフォローする。


 「テレーゼ・・・アタシ、懐が大きくて誰にでも凄く優しいテレーゼが大好きだよ。ヘレナも少しはアタシに優しくしておくれよ」

 「無理。アデリナはボアだからそれで何度もパーティーが酷い目に遭ってるし、もっと反省すべき」

 間髪入れずヘレナが毒舌で応じる。


 (ボアって確か猪のことよね・・・直情的に突っ走る人を猪に喩えるのって、セフィロトでも同じなのね・・・)

 世界は違っても、比喩の表現が同じであることを面白く感じたテレーゼである。


 「ただ日本に魔物を持って行って売ったら、「ワシントン条約」に抵触して不味いことになりそうだから難しいかな?」

 「ワシントン条約?何だそれ?」と、アデリナ。


 「要するにあっちの世界では、数少ない動物や植物を勝手に捕獲したらいけません!っていう内容で国同士が条約結んでるのよ。それにセフィロトの魔物ってあっちの世界にはいないから、出回ったら悪い意味で間違いなく大騒ぎになるわ」と、テレーゼ。


 「駄目か・・・良いアイデアだと思ったんだがな・・・ごめんよ、テレーゼ。アタシ役に立てなくてさ・・・」

 「そんなことないよ!アデリナが一生懸命考えてくれて凄く嬉しいよ!」

 テレーゼは、いつも自分の精一杯で行動してくれるアデリナに、感謝しかなかった。それはカトリナやヘレナに対しても同じ気持ちである。


 「今思いついたんですけど、商売する人の中には、他所の国のお金を自分の国のお金に両替する魔法を使える人がいるんです。私には無理ですがテレーゼさんの場合、イメージ次第でこっちのお金を日本のお金と両替する魔法が使えるかも知れないですね。あと魔法はあくまでも「両替」ですので、同じ価値のお金でしかできませんよ」

 「テレーゼの規格外な魔法は、多分イメージする力が強烈だからだと思う」

 「テレーゼ、テレビって言うんだっけ?アタシあんなの見たことなかったけど、いつも見ているテレーゼならイメージが強いのも納得だよ」と、カトリナ、ヘレナ、アデリナ。


 (つまり、想像力は武器だ、ということね・・・)

 「それならやってみるわ。カトリナ、お金貸してくれないかな?」

 テレーゼがカトリナに頼むと、「銀貨で良いですか?これをどうぞ」そう言ってカトリナは銀貨を2枚、テレーゼに手渡してくれた。


 (銀貨1枚って日本のお金で1万円くらいよね。最初は1万円札を見ながら魔法を唱えるくらいのほうが良いかな?)

 そう考えたテレーゼは、まずポケットの財布から1万円札を取り出し、時間を掛け裏表を確認して十分にイメージができてから、銀貨1枚を掌に乗せて「1万円札に両替せよ!」

 テレーゼが魔法を唱えると1万円札が1枚出てきた。


 次に銀貨の裏表を見ながらしっかりイメージする。次に掌の1万円札を元の銀貨に戻すイメージで「銀貨に両替せよ!」

 再度魔法を唱えると元の銀貨に戻った。実験後、カトリナに借りていた銀貨2枚を返す。


 「アタシ、もうテレーゼがどんな人外な魔法使っても驚かないよ」

 「ホント凄い・・・」

 「流石に1回で成功させるとは思ってなかったですよ・・・それでも、こっちでお金を稼げばテレーゼさんの魔法で両替できますから、売れるか判らない魔物を日本に売りに行くよりも話が早いですね」

 テレーゼの魔法の再現力に驚くアデリナ、ヘレナ、カトリナ。


 日本円のお金稼ぎに目処が立ち一安心のテレーゼだったが、「例えば私が、マルクトの病院か教会で働くのってどうだろう?」と、3人に尋ねる。


 「テレーゼさん、マルクトの病院や教会は止めたほうが良いと思いますよ」

 「テレーゼの実力がずば抜けてるから、病院と教会どっちも自分たちとの実力差を妬まれて多分雇ってもらえないと思うし、魔法の力が知られると大騒ぎになること確実だから、他所であまり実力を見せない方が良いと思う」

 「テレーゼ、これからもアタシに出来ることなら何でも言ってくれ。頑張って討伐もこなすからさ」

 テレーゼを気遣ってくれる3人である。


 「そうなんだ・・・みんな、心配してくれてありがとう。とりあえず、今日は約束していたあなたたちの服や靴を買いに、今から日本に行くわね。今日中に帰れると思うから、楽しみにしてて」

 テレーゼは今日の予定を3人に伝える。


 「1日だと流石にギルドの依頼を受けて復命するのは無理ですので、それは明日以降にして、今日は私たちで夕食を用意しておきますね」

 「裏の森で木の実でも拾ってくる。あとギルドに行って、4人パーティーで引き受けられそうな依頼を探してくる」

 「アタシたち3人で何か夕飯作って待ってるよ。たまにはアタシたちに用意させてくれ」

 3人で協力して夕食を用意してくれるようだ。


 「楽しみにしてる、だけどあまり無理しないでね。台所にある調味料とか、お鍋や火を使わない電気コンロや水道の使い方は、この前教えた通りにしてくれれば良いから。あと鍋を焦がさないようにね。じゃ行ってくるね」


 「「「行ってらっしゃい」」」


 (3人から送り出してもらえるのって、気持ちがとても暖かくなるというか、凄く好きだな・・・)

 そう思いながら、テレーゼは買い物に出掛けた。

 最後まで読んで下さり、ありがとうございます。


 テレーゼのセフィロトでの能力は順調に成長しているようです。


 次話は、どうしても避けて通れないシリアスな話になります。作者として、愛娘のテレーゼに対して申し訳ない思いで一杯ですが、後々憂いを残すことのないよう、彼女と二人三脚で、丁寧に対応していきたいと思っています。

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