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歌姫と召喚士  作者: むさし
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第一章 出会いと別れ⑤

今のところ毎日更新達成させてます!

これからも精進致しますので、読んで頂けたら幸いです。

 泣くだけ泣いて叫んだら落ち着いた。

 セサミは鼻水と涙でびちょびちょだ‥

あ~ごめん。後できれいにするから。

 さて、行動しなきゃな!身体に力をいれると痛い。うん。動けない。

「セサミMPポーション取ってきてくれ。多分壊れてない筈だから」

 先ずは回復と思ったけど、魔力が足りなかった。何とか起き上がり周囲を見渡す。

「あ~あ家が」

 見事に原型がない。

 屋根は吹き飛び壁は残骸となってる。何のオブジェなんだあれ。

 あ~畑までいっちゃってるよ。じいちゃんにばれたら間違いなくぶちきれられるなぁ‥そこへセサミが戻ってきた。

「ありがとう」

 いっきに飲み干して、

「我が友癒しの精霊レム!我が願いを聞きたまえ。傷ついた我らに癒しの息吹を!ヒーリング!」

 金色の風が僕たちを包む。

 リュウさんとリョウさんの傷が瞬く間に消えていく。良かった。もう大丈夫だな。

「いつもありがとうレム」

 レムは可愛らしい女の子だ。

 他の召喚精霊達と雰囲気が違って親しみやすい。

 いいのよ~って感じで手を振りながら消えていった。

 身体の感覚を確める。

 うん、大丈夫だ完璧。自分の回復魔法でもいいのだけど、やっぱりレムは一味違う!

 流石だ。後は、

「セサミきれいにしよう」

 セサミもレムのヒーリングで回復出来たみたいだ。横にスルッときた!

「リフレッシュ!」

 涙はまだしも鼻水は申し訳ないからなぁ。生活魔法のリフレッシュ。お風呂とかに入れない時に重宝する。

 いつも通り真っ白になってセサミも満足そうだ。

 もふもふもふもふ。やっぱりセサミって気持ちいい。顔を埋めてもふもふを堪能してたら

「バシッ!」

 他にやることあるだろ?みたいに尻尾パンチがとんできた。

 いたっ!いいじゃんかぁちょっとくらい。

 ん~何から手をつけようかな。

 正直なとこ僕の処理能力越えちゃって頭働かないなぁ‥そう考えてると

「うっ」

「リュウさん、大丈夫ですか?」

「うぁ‥姫様!リョウ!」

 ガバッと起き上がり慌てて周りを探すリュウさん。隣のリョウさんを確認してほっとするが、

「ダン?!姫様は!?姫様は!」

 僕の肩を揺さぶりながら必死の表情で叫ぶ。

「ルナはランと共に行きました。僕たちを護る為に」

「何だって?!今すぐ石楠花(しゃくなげ)へ姫様を‥」

 取り乱すリュウさんに僕は抱きついた!

「リュウさんごめんなさい!護れなくてごめんなさい!でも、でも今はだめです。また、ルナが苦しむだけになる。ルナはまだ、死ねないって。大和(やまと)の為に死ねないって言ったんだ!ランに僕たちの命を盾に取られて!僕らは弱い!だから今は駄目なんです!」

 口にすると、胸が千切れそうだ。でも今は駄目なんだってリュウさんにも分かってもらわなきゃ。

 僕は言葉を選べるほど器用じゃない。僕の必至の嘆願にリュウさんは呆然となる。

「姫様が死ねないと?」

「はい‥」

「俺たちを護る為に?」

「はい」

「ぐっうぅぅ!ちくしょう!」

 大地を殴り声を殺してリュウさんが泣いている。肩を震わせて。

「うっ」

「リョウさん!」

 リョウさんも目を覚ました。

「姫様!」

 リュウさんも同じだ目覚めると同時にルナを探してる。そしてリュウさんの姿を見て何かを察したように、静かに僕に聞いた。

「姫様は、ランと行ったのね?」

「はい」

「ダン君姫様何か言ってた?」

「大和の為に死ぬわけにはいかないって。2人を頼むって‥」

「そう‥そうなのね‥ふぅっうっうっ」

 2人の泣き声が響く。

 僕がそうだったように、いやそれ以上に悔しくて辛いんだろう。それだけの積み重ねが3人にはある筈だから。僕は2人が立ち上がれるまで黙って待っていた。

 太陽が沈む頃ようやく2人は落ち着きを取り戻した。

 肌寒くなってきたので、家だった残骸を元に焚き火をして囲んだ。しくしくしく。じいちゃんにばれる前に建て直さなきゃなぁ

「ダン君みっともないとこ見せちまってすまなかったな」

「ごめんね」

「なっとんでも無いです。僕もセサミに抱きついて泣いた口です。気にしないで下さい。」

 ええ、そりゃあ盛大に鼻水全開で泣きわめきました。

「保存食ですが、ちょっとお腹にいれましょう。台所があれなんで」

 床下から引っ張りだした干し肉と果物を晩ごはんにと持ってきた。

「あ~あれなぁほんとにっ申し訳ない!見る形も無いもんなぁ」

「本当に。結局どっぷり巻き込んでめちゃくちゃ迷惑掛けちゃって」

「誘ったのは僕です!それに後悔もしてません」

「ダン君、ほんとにっいいこっ」

 リョウさんがガバッと僕を抱きしめる。はがっほわわわわわ!やっ柔らかいっ!

「りょリョウさん!なっ何を!」

「え~いハグぐらいさせなさいっ!」

 幸せです!初体験です!でも、大きすぎて息が出来ませんっ!

「はっはがっくっ苦しいですっ!」

「あらあら、ごめんごめん!あまりにも可愛くて」

 いえ、貴重な臨死体験させて頂きましたぁ!

「はぁはぁはぁふぅ」

 ある意味凶器ですね‥

「まぁ、これからどうすっかなぁ‥」

 リュウさんがぼそっと呟いた。落ち着きはしたけど、やっぱり辛そうだ。

「あの僕、お2人に聞きたい事があるんです」

「ん?何でも聞いて?もう隠す事もないから」

 僕は赤い炎を見つめながら、ずっと引っかかってることを聞いてみた。

「あの時ルナは大和の為に、今は、死ねないって言ったんです。僕、『歌姫』の伝承は物語で知ってるだけで詳しくは知らないんです。今はって言葉がどうしても頭から離れなくて。お2人なら何かご存知かと」

 2人は顔を見合わせて頷きあう。

「そうだね。じゃ『歌姫』様のお話をしましょう。聞く権利が貴方にはあるわ」

「『歌姫』は、王ではない。世界の要である。これ知ってる?」

「はい」

「姫様のお名前がルナ・ヤマトなのも知ってるよね?ヤマトは『歌姫』様だけのお名前。大地大和(やまと)からの継承。そして『歌姫』が死んじゃうと、大地が滅んでしまうの。緑は枯れ川は干上がり大地は割ける。」

「えっ?」

「伝承とは史実に有ることを伝えるから伝承なの。幾代か前の『歌姫』が、暗殺されたその時実際起きた事」

「『歌姫』は、生きてるだけでその身体から歌を歌ってるの。生命の歌を。

でも『歌姫』も寿命のある人。どうやっても死んでしまう。

だけどね、時期が来ると後継が必ず生まれるのよ。後継が生まれると何故か当代の『歌姫』には分かるんですって。

『歌姫』は遺伝ではないから生まれるまで分からないの。」

「姫様がお生まれになられたのは16年前、その5年後に先代の『歌姫』様に祝福を受けられて当代になられた。そしてまだ後継は、生まれてないのよ。」

「今は死ねないは。そういうことだと思う。幼い頃から『歌姫』で有ることに誇りを持たれていらっしゃる姫様だから」

「えっ?後継様が産まれたら死んでも良いってこと?だから、今はって?そんなのひどいじゃないかっ」

 聞きながら僕は拳を握りしめていた。そんな、使い捨てみたいな事!

「誤解しないで、先代の『歌姫』様はご健在の筈よ。『歌姫』は、生け贄ではないのだから。大和と共に歩んで下さる存在なのよ?結婚もして子供も生んで大往生されるのが普通なのよ。ただ、今は魔族に歌が届かなくなってしまったから。姫様は覚悟を決めて‥」

「すっすみません」

「いいの。嬉しい。ダン君が姫様の為に怒ってくれて」

 なんでルナがそんな悲しい想いをしなきゃいけないんだ。絶対おかしい!許せない!

「僕、決めた事があるんです」

 2人を交互に見つめて話す。

「ルナは生きてます。去り際に僕に小さな光をくれたんです。それは僕の中で息づいてる。あの蒼い瞳は諦めていなかった!だから、助けに行きます。出会って数時間だったけど、そうしなきゃいけないとそうしたいと思うんです。でも、今の僕は弱くて駄目なんです。だから強くなります。そしてちゃんとルナって呼びたいんです。」

「だからだから、一緒に強くなってルナを迎えにいって下さい!うまく言えないけどお2人が居ないとルナの笑顔が濁る気がするんですっ!どうかお願いします。」

「先に言われてしまったな。情けない」

「本当に。ダン君が、弱いなら私達は最弱ね。何倍も、何十倍も鍛え治さなきゃ」

「えっ?」

「一緒に姫様を迎えにいってくれる?」

「はいっ!喜んで!」

 そして、また僕は泣いたんだ。

こんな拙い物語でも

読んで下さる方々がいらっしゃる!

もうそれだけで嬉しくて書こう!ってやる気がでます。


読んで下さる方々に感謝を

続きがちょっぴりでも気になる方は引き続きよろしくお願いします。

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