第一章 出会いと別れ③
三話目手探りまだまだ
少し長くなりました
簡潔に纏めるって難しいです
読んで頂けたら幸いです。よろしくお願いします。
泣かせてしまった!やっぱり僕は駄目だ!
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
居たたまれなくなって、走り去ろうとすると、手を捕まれた。
「ダン様違うのです。もう笑えないかも知れないと思っていた私の心に貴方様は爽やかな音を下さいました。だから嬉しくて涙が出たのです」
「私、笑っていますでしょう?」
はわぁぁぁぁあ!後光がさしてるぅぅ!
えっ笑顔が眩しい。直視出来ないっ!じいちゃん確かに当代『歌姫』様は可愛いいってか、美しいよ。いっつも嘘ばっかのじいちゃんが初めて正しかったよ。現実逃避まっしぐらの僕は耐えきれずセサミの後ろに隠れてしまった。
「ダン様、これが今の私です。貴方様のお話を伺わせて下さい」
隠れてる僕に穏やかな声…あまりの美しさに、大切な話からかなり脱線しちゃったけど、やっぱりそこからは逃れられないんだ。もう一度深呼吸。よしっ!ここでくじけちゃ男じゃない!よしっ!
「ヴゥヴァゥ!」
「バシッ」
痛い。容赦ないなセサミ。早くしろと殴られて、意を決する。
「僕はダンです。えっと、人とほぼ交流をせず育ったので失礼があったら申し訳ありません」と、少しずつ話をした。じいちゃんとセサミの3人暮らしで、今は2人だとか。皆、優しい目でつたない僕の話を聞いてくれている。話す事何てほとんど無いんだけど。ネタ切れで、僕が黙ったら
「ぐぅう~ぎゅ~」
お腹の音が響いた!
「すまんっ!腹減っちまって」
リュウさんが、豪快に笑った。
「そうですね!ご飯にしましょう!えっとこの周辺に今は敵?人族や、魔族の気配はありません。僕の家で休まれませんか?」
周囲には気配探知を拡げている。よっぽどの事がない限りしばらくは大丈夫だろ。ピリピリもしないし。そう伝えると、また3人はきょとんとした顔で
「いいのか?俺たちは狙われてるんだぞ?」
「は?あぁそうなったら一緒に全力で逃げましょう。転移魔法は僕も使えますし、セサミの結界は滅多なことじゃ破られませんよ。あっそれともやっぱり僕何かの家は駄目ですか」
厚かましく、誘ってしまったけどやっぱり嫌なのかな。ここでご飯にした方が良かったかな。ぐるぐる頭の中が周りだしてると
「そんな事ないわっ!ただ迷惑かけるかと思って!姫様いいですか?」
「ダン様がよろしければお願いしてよろしいでしょうか?」
「はいっ喜んで」
魔族に襲われて3日逃亡中は、ほぼ休めなかったらしい。姫様の歌で回復等は出来たらしいけど疲れはたまってるだろう。
「セサミ。大きくなって皆さんを乗せてあげてくれ」
「クゥ」
5メートル程の大きさに、なったセサミにまた、驚かれた。
「どうぞ乗って下さい!僕食糧調達しながら戻るので、セサミと先に」
「ほっ本当に乗ってよろしいのですか?」
まだ、恐いのかな?セサミは背中を下げて待ってる。先ず僕がまたがってリョウさんを引き上げる。次に姫様に手を差し出すとはにかみながら手を出してくれた。くぅぅ~綺麗だぁ触って良いのだろうかと、手を引きかけてとどまった自分を褒めたいっ。
無事姫様も背中に。リュウさんはもう少し鍛練だと、乗らなかった。だけど、控え目に走ってくれよなとセサミに、こっそり言ってたのは内緒だ。
我が家。3日間動き回って居たならやっぱり先にお風呂でしょ!案内して女性が先に使われている。これが気遣いってものだよねぇ~。
誘っておいて何だけど、これってすごくね?うちに、人が居るんだよ?しかも、超絶美少女に美女!子供の憧れいっぱい剣士様!いやぁ何か出世した気分だぁ。訳の分からない高揚感にひたりながらさっき狩ってきた鳥を使ってスープを作り朝ご飯の準備。リュウさんは、お腹が空きすぎてるのか僕の調理を見つめてぼーっとしてる。しばらくたって、姫様、リョウさん変身。湯上がり効果三倍増!何てこった、汚れがとれて肌から立ち上る湯気!お二人の眩しさは凝視出来ませんっ。こっこれが噂の眼福!ごちそうさまですっ!まっ負けるもんか
「どっどうぞ、お口にあうと良いんですが」
と、頑張った食事をすすめる。
「美味しいっ!」
3人が声を揃えて言ってくれて、本当に嬉しかった。
「良かったですっ」
食事を終えて一息、そこから怒涛の、質問責めが始まったんだ……
「君は召喚士かい?」
「魔法属性は?転移も出来るって事はかなりの高レベルだよね?」
「あの体さばきは、素晴らしい!高名な方に教わっていたんじゃないかい?」
「フェンリルを、従えてるって事は従魔術まで使えるって事?」
「まっ待って下さい。落ち着いて。ごっごめんなさい。あたまがついていきませんっ」
こっ恐い!2人共目恐い!涙目になりながら、ゆっくりして貰うようにお願いする。姫様はニコニコ笑ってセサミにすがってる。これが2人の普通なのかな?
「えっと、一応召喚士の筈です。僕は街にいったことが無いので、レベルや詳しいジョブ属性等は分かりません。戦闘術や魔法はほぼ全部じいちゃんからです。じいちゃん曰くすげぇ冒険者だったらしいです。たまぁに、ばあちゃんが来て従魔術や魔法を教えて貰いました。だけど、セサミは僕の従魔ではないです。生まれた時から一緒に居るので考えてみると不思議ですね?でも家族だから関係無いです。」
いっきに喋りすぎて魂が抜け出そうだ。少しは成長したなっ。こんなに話せるなんて夢にも思わなかったよ。
「従魔でないフェンリル?聞いたことないわ本当に驚かされてばかり。街に行ったこと無いって何で?」
「さぁ?でも不便も何も無いですし考えた事もなかったです。」
受け答えもバッチリ!もしかしなくても大人の階段上れてるかも!
「はぁ、あのね多分だけどダン君のレベルは70以上よ?転移は70からしか使えないんだから、しかもまだ16だっけ?私が転移を使えるようになったのって19歳の時よ。自分がどれだけ規格外か分かってるの?」
「はぁ、そっそうなんですか?」
実感がわかなくて生返事になる。
規格外だって?しっくりこないなぁ。去年までのじいちゃんに一度も勝ててないし転移は12の時に覚えさせられた気が‥何故か悔しそうなリュウさんには伝えられなかった。じいちゃんて、まじですげぇ人?いやいやいやいやあれはただの自由人だ。そんなはずはないっ!
「ダン君?聞いてる?」
うわっ思考の海に潜ってたら目の前に美女の顔がっ!うわぁよく見たらリョウさん瞳も紫なんだぁ?いやっ近すぎでしょ
「わあっ!」
慌てすぎて椅子から転がり落ちてしまう。
「リョウ落ち着きなさい。詮索のしすぎはマナー違反ですよ?ダン様困ってます」
うぉぉ姫様の、助け船に感謝。
「だって何だか悔しくて、それだけの力うもらせるのは勿体ないと言うか…何て言うか色々。ごめんなさい。」
「いっいえ大丈夫です。こちらこそごめんなさい」
あまりにも素直に謝られて戸惑った僕を姫様がまた笑ってる。でも、笑顔がいい。僕は笑われてもいい。姫様には笑ってて欲しい。会って少しの時間だけど心からそう思うんだ。何故かな?
「さて、これからの話をしよう」
うって変わって、真剣な表情でリュウさんが言った。
「いつまでもここには居られない。ダン君にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかないしラン皇王は諦めるはずが無いからな。王陛下が仰った様に蒲公英に向かう。幸いここは国境近くだ。リョウの転移を繋げれば比較的安全に向かえるだろう」
普通にいけば蒲公英まで、1週間と少し。転移もあわせれば4~5日かな?
「そうですね。それが一番の道と私も思います。連れて行って下さい」
辛そうに姫様が呟く。
「はっ、必ず御守り致します」
2人が声を揃えて答える。
すると姫様が僕を見つめた。深い蒼の瞳に吸い込まれそうだ。それから僕の手を取ってこう言った。
「お願いがあります!」
「はいっ?」
「ルナと、呼んで頂けませんか?」
「はいいぃ~っ?」
「わたくしをルナと呼んでくれる愛しいひとたちはどれだけ探しても望んでも、もう居ないのです‥。
ダン様、貴方からの音は歌は懐かしく優しい。そして激しい。どうか貴方は変わらずそのままで。いつか再びお会いするその時まで、どうか」
深い蒼い瞳は僕を射ぬいたまま銀色の歌声が僕を包む。優しい優しい声。温かい歌。何故だか涙が止まらない。知らない調べ知らない言葉。そして姫様の優しい心が僕の中に入ってくる。まるで僕の一部のように‥
「ルナ‥?」
「はい、ダン様」
当たり前の様に呟いたその時、花が咲くように彼女は笑った。
読んで下さった方々に感謝を
バトルが書きたいのにラブコメの様な展開に、自分が戸惑いつつ次回は暴れさせるぞ、と、脳内に指令を出しました。
続きがちょっぴりでも気になるなと思われたら、1日1更新目指しておりますので、よろしくお願いします。