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剣術チートな悪役令嬢  作者: 時雨もゆ
第一章 魔法陣を抜けると、異世界であった。
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5. リルという少女

  入学式が行われるという聖堂へ行くと、すでにリルと思わしき少女がいた。後ろ姿しか見えていないため、どんな感じなのか分からないが、細い肩と茶色がかった透き通るような細い髪が、守ってあげたい、と男子なら思うだろうな、という雰囲気を醸し出していた。


  少女はすでに支給されたのであろう制服を着ていて、薄手のストッキングを履いていた。豪華な装飾のされた椅子に座り、エリーズにはまだ気づいていないのか、聖堂の丁度真正面にあるステンドグラスを見ている。


「ご機嫌よう」


  エリーズが後ろから声をかけると、驚いたような顔で振り返った。


(確かにヒロインってだけあって可愛いな。目もタレ目だし)


  少女は若草色の瞳をしていた。小ぶりの鼻や口が可愛らしい。


(タレ目だ、可愛い。完全に私のタイプだ)


  実を言うと、エリーズーー千鶴は、ものすごくタレ目に憧れていた。前世でもそれなりのツリ目だったし。

  その点で言えばリルはめちゃくちゃエリーズ好みの顔をしていたのである。


「ご、ごきげんよう」


  リルはかなり緊張した面持ちで言った。無理もない。平民出身だというから、こんな異様な世界、不安しかないだろう。


(結構いい子そうなんだけどな。あれか?余裕がなくなったら、豹変するってやつか?)


「緊張するわね」


  リルの隣に置いてあった椅子に座ると、リルはビクッと体を震わせた。そんな怖いだろうか、とちょっと落ち込む。もしかしたら私の存在は知っていたのかもしれない。別に自意識過剰なわけではないけれど、怯え方がちょっと異常な気がしたから。


(やっぱりそこそこ有名なのかな。私って)


  どんなところでも気を抜けない、というのを思い出し、内心溜息を吐いた。


「緊張しますよね」


  リルは、ははっと力なく笑う。副音声で、自信ないなぁ、と聞こえてきそうだった。しゅんとした顔に思わず


  「仲良くしましょうね」


  幼稚園児のようなことを言うと、彼女はぱっと顔を輝かせ、


「はい」


  嬉しそうに笑った。


(やばいめちゃくちゃいい子じゃん)


  こんな子が果たして、本当にアランと結ばれたりする、というか、裏切ったり、裏切られたりのこの世界で周りを出し抜いたりできるのだろうか。

  まだまだ疑問は残るところだが、入学式の進行を進める校長が部屋に入ってきたことにより、脳内会議はお開きとなった。


(まだ本性は分からないし、とにかく今日は適度に話しかけるくらいにすれば良いのよね。神様は話しかけんな、て言ってたけど、それだとあまりにも失礼だし……)


(我ながら面倒臭い世界に来ちゃったな)


  エリーズは一瞬顔を曇らせたが、すぐに頭を切り替え、校長の話に耳を傾けた。


 

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