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剣術チートな悪役令嬢  作者: 時雨もゆ
第一章 魔法陣を抜けると、異世界であった。
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1. エリーズ・ベルナール嬢

  魔法陣に飛び込んで転生してからはや十一年。

  自分でもバカだなぁと思う。普通に考えれば異世界転生なんて出来るわけないし

 ーー現にその夢は叶ってしまったのだから、なんとも言えないが。

 

(今の生活は楽しいからいいんだけどね。ただ一つ問題が……)


  千鶴ーーもといエリーズ・ベルナールはため息をついた。別に異世界生活が辛いわけではない。それどころか、エリーズとなった生活は、予想以上に楽しかった。

  今も夕食後のティータイムで、自分の部屋で本を読みながら紅茶のカップを傾けているところだ。しかも昨日が十六の誕生日だったので、いつもより豪華。前世の自分ならこんな美味しいお茶を飲めなかったし、こんなゆとりのある時間はなかった。内心心配していた言語や文字、マナーや立ち居振る舞いについても、あの時流れてきた記憶でどうにでもなった。

  それに、顔。気の強そうなつり目ではあるけれど、前世の自分に比べれば確実に小さく、整っている。しかも瞳と髪の色は綺麗な青色で、毎日鏡を見ても、飽きることがない。

  それから、環境。ねだれば欲しいものは何でも貰える。化粧品、ドレス、本、アクセサリー……欲しいものは本当に何でも。さすが令嬢といったところか。

  それに、 エリーズの五歳の誕生日(どうやら千鶴が転生してきた日の一週間前だったらしい)に婚約したルソワール王国第二王子ーーアラン・ヴァレーズが週一でこの家に遊びに来る。彼は()()()()である。つまり週一で、この世のものとは思えないイケメンに会えて、しかも耳もとで愛の言葉を囁かれたりするのだ。

  彼は亜麻色の髪に、灰色がかった緑の瞳をしていて、身長は推定180cmほど。細身の体には、程よく筋肉がついている。

  中味が千鶴の状態(エリーズのそれまでの記憶は残っていたが)で初めて会った時、あまりの可愛さに失神しそうになった。なにせエリーズの中身は十六なのだから、無理もない。

  当時は女の子と見まごうほど可愛らしかった(その辺の女子より……下手したらそこそこ美形に転生した自分より可愛かった)アランも成長するにつれ、男らしく、それこそイケメンになっていき、毎週目の保養として拝めさせて貰っている。

  ただし、一つだけ重要な問題があるのだ。それは千鶴はこの世界の話を前世では全く見たことも聞いたこともなく、何も知らないということ。

  乙女ゲームの世界なんだろうとは思う。令嬢だし、幼い頃に王子と婚約なんかしているし……それに、千鶴には六歳の頃に発覚した、ずば抜けて上手い剣術の才能があった。女の子だからという理由で、隠すことになってはいるが。テンプレ通りにいけば、そんなチートなスキルを使って、バッドエンドを回避しなければならないのだろう。けれどそのスキルを使えないなら、どうしたらいいのか。


(しかも)


  エリーズは顔を顰めると、また深いため息を吐いた。


(明日から学校に通わなきゃなんないのに!)


  近づいてくるバッドエンドの気配をひしひしと感じつつ、もう考えても仕方ない、と自分に言い聞かせる。


(とりあえず明日に備えて早く寝るか)


 お手伝いさんに紅茶のカップの片付けを頼み、ベッドに潜り込む。


(どうかいい日になりますように)


 どこにいるかも分からない神様に祈り、ゆっくりと瞼を閉じた。





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