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王女様と5人の騎士   作者: わんわん大好き
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決闘の申込み


あれから何日か過ぎ、エルもだんだん私の騎士団に慣れてきたようだった。


マキナはもとより、セルも文句を言いつつ面倒見がいいため、一番年下の世話をしっかりしてくれている。


ルイはいつも通りフラフラと王宮内を歩き回っては昼寝に良さそうなところを見つけて、寝ていたり、今のように私の膝に頭を乗せて寝ていたりする。



「うーん……お嬢~……。」


「どうしました…?」



柔らかい髪を撫でると気持ち良さそうに私のお腹に頬擦りするルイは猫みたいだ…。



「ルイくん!!!!お姫様の膝に寝るなんてなんて羨ま…じゃなくて、失礼な奴なわけー!?」


「セルくん……マジうっさい~……。」



私の騎士団は一人一人の実力は高いため、お兄様たちの何十人もいる騎士にも負けない。


だから、他の騎士の方々はセルたちに王城で出くわしても、逃げたり道を開けたりと、なるべく関わらないようにしている。


他の騎士たちには一目置かれているのだ。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇





「セル先輩、団長とはどのような方なのですか?」


セルに小声で尋ねたエリオットはパトリシアに聞かれていないか確認しながらセリシウスの耳元で言った。


エリオットはセリシウスから勉強を教えて貰っていた。


セリシウスは努力で剣術もなかなかなのだが、何より頭が良かったので、エリオットは習うことにしたのであった。



「マオくんの事ー?ウザイ奴だよー。エルくん、ここスペル違う。」


凄く抽象的過ぎて全く分からない……。


線を引き、訂正したエリオットは続けて聞いた。



「噂で聴いたのですが、団長は聖剣に選ばれし、愛し子なのですか?」


エリオットの質問に「まあねー。」と適当に答えたセリシウスは「ここも違う、本当にお馬鹿ちゃんだねー。脳みそ入ってるの?その頭。」と言って、コツコツとエリオットの頭を叩いた。


「やめて下さい。セル先輩が私の頭を叩く度に更に頭悪くなりますよ。」


「それは、大変だねー。今より頭悪くなったら騎士なんかしてらんないよー。」


天の邪鬼なセリシウスにイライラしつつも、エリオットは確実にセリシウスやマキナのお陰で少しずつ強く、賢くなっていた。



「というか、団長の事をもっと詳しく知りたいのですが!!」


「教えてって言われても、マオくんの事は詳しくは分からないからねー。お姫様がマオくんについては一番よく知ってるだろうから、聞きたいならお姫様に聞きなよ。」


「お嬢様が……ですか…。」


「お姫様に忠誠の儀式をして貰えたのは団長だけだからねー。ほーんと、うっざいよねー。」



儀式をやらないと言っていたお嬢様が、儀式をした唯一の人物が団長……。



「二人は幼馴染みらしいのよ。妬けちゃうわよね~?あたしたちの知らないお嬢様を知っているなんて~。」



紅茶を入れて持ってきてくれたマキナはエリオットの隣の席に座った。



「気心知れた仲という事なのですね。」


「さぁねー?団長は何考えてるか分からないからねー。」


マキナの入れた紅茶を飲みながらそう言ったセリシウスの瞳はどことなく悲しそうだった。



「あたしもセーちゃんもルイちゃんも皆お嬢ちゃんが大好きだけど、団長は特別なのよね~。」


「なるほど……。」




謎の深まった団長に眉を寄せるエリオットだが、その団長に会える日が待ち遠しくもなった。




期待に胸膨らませていたそのときはであった。




バンッ!!と大きな音がしてドアが開いたと思ったら、予想外の人物がそこには立っていた。





「セリシウス・アーデン・ロード卿!!」



そこには数日前にセリシウスが剣を首に突き付け脅しをかけたウィリアム王子付きの騎士が立っていた。



「はぁ?何?今忙しいからー。また、今度にしてくれるー?まあ、今度なんて無いだろうけどー。」



面倒そうに顔も向けず、そう答えたセリシウスにその騎士はズカズカ許可も無くパトリシアの部屋に入ってくると、自身の手袋を取り、セリシウスに向けて叩きつけた。



「は?汚っ!汚物投げないでくれるー?」


「俺の手袋だ!!貴殿に決闘を申し込む!!!先日の屈辱晴らさせてもらう!!」


「自業自得でしょー?騎士どころか人間的にも恥ずかしい生き方してる人ー。」


「何だと!!貴様!!!」



その場で殴りかかろうとした騎士の腕をマキナとルイスが抑えた。



「暴力はよくないわよ~?」


「つーか、お嬢の部屋に許可もなく入るとか殺されたいわけ?」



二人の剣幕に顔を青くさせた騎士は掴まれた腕を振りほどき、ビシッとその場にいた全員に指を差した。



「決闘の条件を変える!!貴様ら王女付き騎士団と我ら第二王子付き騎士団にする!!」


王女付きの騎士団5人対第二王子付きの騎士団は50人を越える。


圧倒的な人数比に恥もなく決闘を挑んで来た、元先輩にエリオットは呆れた顔をした。



「だってさ。お姫様、どうする?」


セリシウスの問いに優雅に紅茶を飲んでいたパトリシアはニコリと微笑んだ。


「構いませんよ。ですが、こちらで決闘の日は決めさせて頂きます。」


「ふんっ!仲間でも集おうとしているのか!無駄なことを。」


「いいえ。あなた方と私の騎士団だけの決闘とします。ただ、決闘は四日後にして下さい。」



馬鹿にしたように嗤った騎士は「仕方ない。そうしてやる」と何様なのか分からぬほど失礼な態度で返した。



「で?何をかけて闘うの?」


腕を組ながら溜め息を吐いたルイスに騎士は少し考えてからパトリシアを見てニヤリと嗤った。



「そうだな。最初は貴様ら全員に謝罪をさせようと思っていたが、やめよう。」


騎士はパトリシアに近づくと彼女の顔にズイッと顔を近づけた。



「お前たちの大事なお姫様に一緒にベッドへ入って貰う事にしよう。」



舌舐りをしながらパトリシアを見る。


それにパトリシアも目を逸らすこと無く強い瞳で見返した。



「決闘する前に殺されたいわけ?」


剣を抜こうとしたルイスにパトリシアは制止を命じ、綺麗に笑った。



「いいでしょう。では、こちらが勝ったときの条件をいいます。」


「ふん、まぁ聞いといてやるよ。」


「私たちが勝ちましたら、この決闘に関わったウィリアムお兄様の騎士団の方全員を男性器を取った上で国外追放と致します。」



その場にいる誰もが息を飲むような事を言われ、一瞬固まったが、騎士は負ける気が全くしないのか、ゲラゲラ笑うと見下すようにパトリシアに向かって言った。



「いいだろう。はんっ!四日後にはパトリシア殿下の純潔は失われているでしょうね。」


「さぁ、どうでしょう?」



騎士は自信満々で、部屋から出ていった。








「だ、大丈夫なのでしょうか!!!??」


エリオットが慌てたようにそう言うと、「うふふ。」と笑ったマキナが言った。


「まぁ、あたしたちがあんな三下連中に負けると思っているの~?」


「エルくん俺らを馬鹿にするのも大概にしてよねー。」


「あっちがどれだけ集まったって俺たちに勝てるわけないでしょ。」



こっちもこっちで自信満々の先輩騎士たちエリオットは顔を青ざめさせた。



確かに先輩方は強いが、何倍もの人数の敵に勝てるのか?


不安気に瞳を揺らすエリオットにパトリシアは微笑んだ。


「大丈夫よ。皆は強いし、信じているわ。それに明後日には彼も帰ってくるから。」



そう言ったパトリシアにセリシウスとルイスは嫌そうな顔をした。



「えー、最悪~。」


「折角、居なくて清々してたのに。」


「彼とは……もしや!!」



エリオットが期待を込めた目でパトリシアを見ると、彼女も頷いた。



「私たちの団長が……マオが帰って来ます。」




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