16 裁定の日が来ました
とても長くなりました…!
どんよりとした曇り空を眺めていると、ポツリと雨粒が落ちた。
次第に雨は勢いを増し、ザアザアと城壁に打ち付ける。
「ディア。いこうか」
そろそろ時間だ。
「はい。お兄さま」
こちらに手を伸ばすシルヴィオ兄さまの手を取ったわたくしは、外の景色を見るのをやめた。
「今日の装いも美しいね、ディア」
「ありがとうございます。兄さまこそ、今日も素敵です」
「大事な舞台だからね」
ぱちりとウインクを返されて、わたくしはふっと微笑んだ。
――今日は裁定の日だ。
シルヴィオ・アメティスとディアナ・アメティス。隣国の侯爵とその妹は重要参考人。
「二回目ですね、お兄さま」
「全くだ。またこのような形で引っ張り出されるなんてね」
揃いの銀髪でそう会話するわたくしたちは、城の東棟にある裁定の間へと向かっている。
中央には玉座。中央には開けたスペースがあり、その赤絨毯の上に被告人たちが座らさせられるのだとか。
背後には傍聴席もあるが、今回は関係する貴族だけが招かれているとのことだ。
それにしても、わたくしたちはどこに座るのかしら?
あの誘拐事件から二週間ほどが過ぎた。
その間に、アレクは黒楼亭の資料を確かめに来て、セドナと共に一週間ほど書類を検分し続けていた。
わたくしの方も、シルヴィオお兄様がユエールから訪ねてきていて、お兄様もあちらでの捜査に進展があったことが分かる。
「ディアナ。これが終わったら、君のことを自由にしてあげられる」
席へと案内されたあと、お兄様にそう耳打ちされた。
わたくしたちが通されたのは、玉座の左隣にあるスペースだ。他にも数組の貴族らしき人たちが既に着席している。一様に青い顔をして俯いていた。
「自由に、ですか?」
「そうだよ」
琥珀の瞳をゆるやかに細めたお兄様に、わたくしは頭をポンポンと撫でられる。
「君のための留学だったのに、またこんなことになってしまうなんて、どういう因縁なのだろうね」
「でもそれは、お兄様のせいではありませんもの」
色々なことが複雑に絡み合い、こうなってしまった。わたくしは出来ることをしたし、ちゃんと自分なりに満喫できている。
「楽しいこともたくさんありましたわ。ガラスペンだって好調ですし、お友達も出来ました。美味しいカフェも。全部全部、ユエールでは出来なかったことですもの!」
どこか落ち込んでいる様子のお兄様を元気づけようと思ってそう言ったのだけれど、なぜかますます悲しそうな顔をする。
「健気! 私の妹が今日も健気でかわいい!」
……うん、よかった元気そう。
お兄様がいつも通り元気になったことに安心していると、バートとアレクもこちらへと向かって来ていた。
二人はお兄様に挨拶を済ませると、わたくしたちの隣の席に座る。
そう思っていたのも束の間、部屋の大きな扉が開いた。その物音にわたくしだけでなく皆が一斉にそちらを振り向く。
入ってきたのは、マーヤや男爵たちだった。
「ちょっと、何よこれ!」
それぞれが手枷をつけた状態で、騎士に縄を引かれている。先頭は染めていた茶髪が薄れて桃色の髪が露になっているマーヤ。
自分がこの場に引っ張りだされたことが気に食わないようで、麻色のワンピースの彼女は何かと騎士に文句を言っている。
その後ろにいる背中を丸めた無精髭の男性がおそらくキュプカー商会の商会長なのだろう。
「……信じられない、どうして私が」
一番後ろから歩いてきたのは、スワロー男爵だ。いつものぱりっとした姿はそこになく、よれよれのシャツと乱れた髪が印象を変える。
そう、今日はキュプカー家、スワロー男爵、マーヤの処罰に関する裁判が行われることになっているのだ。
中央に連れてこられ、床に座るように指示をされる三人は、抵抗を見せたが通るはずもなく、そのまま床に膝をつく。
「えっ、何これ……最後の悪役令嬢断罪スチルのとこじゃない……!?」
会場をキョロキョロと見渡すマーヤが、不意にそうこぼした。
ここはそういう場所だったのか。
てっきり断罪はパーティー会場だと思っていたけれど、最終的な裁定シーンまで入っていたらしい。
なんというか、制作者の方の好みをそこはかとなく感じるわ。
わたくしがそう思っていると、マーヤ以外静かな裁定の間の、玉座の背後にある扉が開いた。
最初に出てきたのは国王。それから――……
「国王の後ろにいるのが、この国の司法長官だ」
「そうなのね」
隣にいるバートが耳打ちしてくれて、あの真っ黒なローブの白髪の男性の存在を知った。
その後ろからはフリードリヒ殿下が続く。
「揃ったようだな」
静かな広間に、国王の威厳のある声が落ちる。
「では、これから我が息子フリードリヒが告発した事件についての審議を始める。よいな」
「はい、陛下」
フリードリヒ殿下が国王に対して腰を折る。
いよいよ始まるそう思うと、私も緊張して気がしてきた。
「まずはキュプカー商会について、私の方で調べたことを発表させていただこう。まず、商会長ザカリー。あなたは既に国境付近での不当な人身売買の件で既に身柄を拘束しており、有罪が確定している」
以前、セドナたちと集まった時にしていた話だ。捕らえられている期間が長い分、確かにキュプカー商会長はマーヤやスワロー男爵よりもいっそうぐったりとしていて、やつれている。
「あなたがたが国境を介してまで人々を売り買いしたり娼館で働かせていた黒楼亭は、キュプカー商会が運営していたことで間違いは無いな?」
「はい」
すでに連日の取り調べで明らかになっているのだろう。ザカリーの頬は痩け、眼に生気がない。
「その娼館はすでに経営困難で不渡りを出し、他者の手に渡っている。ここまで間違いないな」
「はい。そのとおりです」
「競合するエクハルト商会への嫌がらせについても複数の陳情が上がっている。これらの余罪はまた今後の判断材料とする」
「……」
キュプカー商会の商会長が答える間、男爵もマーヤも我関せずといった素知らぬ顔をしている。そもそもすでにトカゲの尻尾切りをした後だ。
「ではここからが本題だ。私はこの人身売買に、スワロー男爵が関わっていると考えている」
殿下の言葉に、場がざわりと揺らいだ。
こちらにいる貴族たちもお互い顔を見合わせるなどして、ヒソヒソと話し合っている。
「なんの事ですか? そもそも、こうして私のことを不当に取り調べることに対して、あとできちんと賠償していただきたいものです」
「そうよ! わたしもお父様も、何も関係ないのにどうしてここにいるんですかぁ……うっうっ。殿下はわたしのヒーローなのにぃ」
スワロー男爵の言葉ににわかに活気づいたマーヤも、すすり泣くような仕草を始めた。それからきゅるんとした瞳で殿下を見つめる。何回も見たことがある、あれだわ。
こほんと咳払いをした殿下は、視線を商会長へと戻した。
「ザカリー。貴殿はスワロー男爵と手を組んで人身売買の甘い汁を吸っていたのではないのか?」
「……違います」
「ほら見てください。冤罪ですよ!」
商会長が弱々しくも否定の言を述べると、スワロー男爵は勝ち誇ったような顔をした。
すでに自らの罪が確定しているのに、ザカリーがスワロー男爵を庇う理由は何なのだろうか。
「スワロー男爵。あなたは人身売買に関わった事実はないと?」
「ええ。もちろんありません。私は清廉潔白ですよ」
「ふむ……」
三者は関わりあいを認めない。このまま話していても埒があかないと思ったのか、フリードリヒ殿下は右手を挙げた。
「司法長官殿。証人を呼んでもいいだろうか」
「認めます」
「ありがとうございます。では、アレク・ブラウ。前に」
殿下が指名したのはアレクだ。立ち上がったアレクは、颯爽と三名の前に出る。
「スワロー男爵。あなたは隣国ユエールの娼館にも度々顔を出していましたね。そして素行の悪さから出入り禁止の措置を受けている」
「……なっ、なんのことだか」
これまでの余裕の表情だったスワロー男爵の表情が微かに揺らぐ。
あら、それってわたくしの娼館のことだわ。
「あなたの女性の扱いは酷く、ここエンブルクの百花楼でも相手にされなかった。そこで目をつけたのが黒楼亭です。各国から、身寄りがなかったり問題があって行方不明であることが明るみに出ないような女性を黒楼亭に集めた――そこにいる、ソフィア・モルガナのように」
「え……?」
「手酷くしてもいいように。本当に屑だと思います。あなたが傷付けた女性たちからは証言を得ています」
眼鏡のつるに触れながら、バートが紙束を司法長官に手渡す。長官はそれを受け取り、束の厚さに目を丸くしている。
「人身売買との関わりを否定しようとも、暴行罪は立件されます」
「そんなの嘘よ! だってお義父様はわたしにとっても優しかったもの!」
「……それは、あなたが大切な駒だからです」
ソフィアを見るアレクには憐憫の表情が浮かんでいる。
彼女にとってしてみれば、異国の娼館に売られたところを助けてくれた救世主だろう。だがそれも、利用価値を見越してのことだ。
「そんなものは無効だ!!! 第一、異国の女たちがそんな書状を書ける訳がない! 娼婦の発言を信じるのですか、司法長官!」
「……静粛に、スワロー男爵」
「しかし!」
声を荒らげるスワロー男爵の隣で、ソフィアの顔色がどんどん悪くなる。信用していた義父が、とんでもない鬼畜だったことを聞かされて混乱しているに違いない。
「司法長官。私にも証人としての発言をお認めくださいませ」
そんな時、会場から凛とした声がした。
「ユリアーネさん……?」
声のした方を見ると、手を挙げていたのはクイーヴの妹であるユリアーネさんだった。
話さなくなってから久しい。少し痩せただろうか。
線の細くなった彼女は、不安そうに手を握りしめていたけれどその瞳には力が宿っている。
「エイミス伯爵家が長女。ユリアーネ・エイミスです。スワロー男爵の件で、私からも証言をさせてください」
「ふむ……。よろしい」
許しを得たユリアーネは、証言台に立った。
その姿を見たスワロー男爵とソフィアが、安心したような顔をする。
そうだ、ユリアーネはソフィアの取り巻きをしていた。彼らにとって、彼女の登壇は希望の光に見えているに違いない。
「これまでの案件に付随し、我がエイミス伯爵家の罪について、この場を借りて告発します」
ユリアーネさんの言葉に、ざわめきたっていた会場が水を打ったように静まり返った。
告発? 何を?
安心しきっていたスワロー男爵の顔が途端に引き攣る。
「かつてこの国に、ギレッセン伯爵家という家門がありました。私の祖父は、ゲーベルク卿と友人でした。でも、彼を裏切って負債を負わせ、爵位を返還させるまでに至りました」
ユリアーネさんの声は、しなやかながらも強く芯の通ったものだった。
「我がエイミス伯爵家は、キュプカー商会と共にギレッセン伯爵家の当主を欺き没落させた後、その見返りにスワロー男爵からお金を受け取っています」
「ユリアーネ、何を言っている!?」
「お父様。いつまでもこのままでいい訳がありません。いい加減、目を覚ましてください」
エイミス伯爵が慌ててユリアーネの元に向かおうとするが、フリードリヒ殿下の指示で騎士に動きを封じられる。
とんでもない爆弾発言だ。
だって、このことが明るみに出ればユリアーネさんだって無事では済まない。
「此度の発言、看過できない内容があった。虚言ではなかろうな」
「陛下。この件については証拠がこちらに。三者での契約書面と、金貸しの記録です」
訝しげな顔をする国王陛下に、殿下が日焼けした紙を手渡す。
「これは……」
「なんということだ……」
それを覗き込むようにしていた司法長官も、国王陛下と同じく眉を寄せた。
「……そうした負い目があるため、我がエイミス伯爵家はスワロー男爵に頭が上がらない状況でした。マーヤ・スワローを支援するようにと厳命されていたのもそのためです。他にも同じように弱みを握られている家門があるかと思います」
まさかエイミス伯爵家が裏切ると思っていなかったのか、スワロー男爵は顔面蒼白だ。
他の貴族たちもザワザワと騒ぎ出す。
そんな中で、ユリアーネさんと視線がかち合った。彼女はわたくしと目が合ったことが分かると、ふんわりと柔らかく微笑む。
彼女の決意はここにあったのだ。
「黒楼亭を調査したところ、これまでの裏帳簿及び売られてきた人たちに関する名簿が隠されていました。それらの名簿と、先程の娼婦たちからの陳情書を突合していただきたく思います」
アレクが別の資料を司法長官へと手渡す。目まぐるしく出てくる証拠の数に、ただただ目を丸くしている。
「こちらは現在の黒楼亭のオーナーよりお借りしています。エイミス家から預かった契約書の写しと同じものも見つかりました」
アレクがちらりとこちらを見る。わたくしはにっこりと微笑みを返した。資料が見つかったことは、セドナとアレクから報告を受けていたのだ。
スワロー男爵は証拠を残していたキュプカー商会長を睨みつけているけれど、もう遅い。
「スワロー男爵。先日のお嬢さんの誘拐事件についてなんだけれど」
フリードリヒ殿下が美しく微笑む。
「あれについては狂言で、マーヤ・スワローから誘拐事件を起こすように言われたとの言質も取れている。そして、同時に起きた一般女性への件についても、依頼者は男爵だ」
「し、知らないっ!」
「『いつものように処理をしろ』と男爵から指示があったと彼らは吐いたよ。いつものように、が誘拐と人身売買とはどういうことだろうね」
「……っ、あれは、この女が勝手にやったことだ!」
「え……?」
急に男爵に怒りを向けられたマーヤが目を丸くする。寄る辺のない幼子のように大きな目をいっぱいに開いて。
「せっかく娼館から助け出したのに、下卑た考えでそんなことをしでかしたんだ! 私は知らない! 義理の親子関係も解消する!」
「待って、そんな、お義父さま」
「その名で呼ぶんじゃない!」
「……ぅ」
スワロー男爵はマーヤを切り捨てた。あまりにも杜撰で、呆気なく。
「よし、そろそろ私の出番だろうか」
「お兄様?」
「司法長官。ユエール王国のシルヴィオ・アメティスです。今回の件について、我が国からも発言をよろしいですか」
「えっ? ど、どうぞ」
すっと手を挙げたお兄様に、司法長官がまたしても目を見開く。まさかのユエール王国の外務大臣がこちら側の席に座っているのだ。
「マーヤ・スワロー……いえ、ソフィア・モルガナは我が国の罪人です。輸送中に連れ去られ、行方知れずになっていました」
証言台に立ったお兄様は、ソフィアを真っ直ぐに見つめた。
「ユエール王国にて、この事は重く受け止められ、罪人の出国を手引きしたものについて重罪を課したいと考えています。本人の身柄は当然ながら本国に引き渡していただきたい」
お兄様がユエールに戻って整理していた事のひとつに、ソフィアの逃亡を手助けした者の特定があった。
例の騎士たちはすでに捕らえられ、刑に処されたそうだ。
「わっ、わたしは攫われたんです、本当に! 本当だもん! あれは本当に……!」
「ユエール王国での処罰から逃げたのは、君の意思ではないと?」
「うぐっ、そうよ、だって急に違う馬車に押し込まれたもんっ……! それであの娼館に売られたんだから……ひぐっ」
「ふむ。実は君を娼館に売り飛ばしたのは、スワロー男爵の手引きなんだけど、それは知っているのかな?」
「え……?」
お兄様の問いかけに、ソフィアが涙に濡れた瞳をまんまるにする。
やっぱり、彼女は何も知らなかったのだ。
縋るように男爵の方を見たが、黙秘を決め込むことにしたのかその視線にも答えない。
「ではここで、新たな証人を召喚する。誘拐事件の舞台となった娼館の主。前に」
フリードリヒ殿下の高らかな声に、また会場が揺れた。どこに娼館の主がいるのかと、貴族が並ぶ席を訝しげにきょろきょろと見ている人もいる。
わたくしはゆっくりと立ち上がり、証言台へと向かう。
「え、あのご令嬢は一体──?」
会場中の視線が自分に向けられているのを感じながら、紺のデイドレスを身にまとい、髪をハーフアップにして、眼鏡をかけない姿でわたくしは臨む。
証言台に立ち、前を見据える。
「な、なんであんたが……」
震える指で、ソフィアがこちらを指差す。
わたくしはいつもよりもより優雅に、そう意識してお辞儀をした。
「皆さま初めてお目にかかります。ディアナ・アメティスと申します。百花楼と黒楼亭のオーナーを務めています」
それから、次に見たのはスワロー男爵だ。
「それから、ユエールでも娼館を経営していた事がありまして。あら、お客様の顔はよく覚えています。あまりにも酷い振る舞いに、出禁にしましたわね」
「な……、ぐっ」
わたくしがこうして証言台に立つことを予想していなかったのか、彼の顔色はすこぶる悪い。
「あなたの評判は酷いものだったことは事実です。それから、わたくしは以前、そこにいるソフィアが男たちによって黒楼亭に連れていかれる様子を見ました。あれは演技ではないでしょう」
ソフィアをこの国で見かけて、かなりの衝撃だった。あれは今回のお粗末な誘拐未遂とは違い、本当の誘拐だったろうと思う。
わたくしの証言に、当事者であるソフィアが口をあんぐりと開けていた。
「ソフィアの誘拐と身請け、それから彼女を増長させて誘拐事件を引き起こした咎は、全てスワロー男爵に起因するものだと考えます。あなたは罪を償うべきです」
わたくしはスワロー男爵に怒りをぶつける。
彼の行いの全てが自分勝手だ。お金で人の関係を壊して、いいように利用して、捨てる。ソフィアのことだって捨て駒のひとつだ。
その過程で傷付いた多くの娼婦たち、身寄りのない異国の子たち、セドナの家族、エクハルト商会、ユリアーネさんたち、ローザさん。挙げればキリがない。
「……わたくしからは以上です。国王陛下、司法長官さま」
わたくしは忸怩たる想いを胸に、席に下がる。
それからも暫く裁定は続いたが、マーヤだったソフィアは抜け殻のようになり、桃色混じりの茶髪を投げ打ってボトボトの大粒の涙を流していた。
きっと助けてくれたスワロー男爵を恩人のように思っていたに違いない。
その憔悴した姿を見てかわいそうだとは思ったけれど……これまでの彼女自身の行いも、誉められるものではなかった。そもそもの発端は、当初の婚約破棄騒動なのだから。
◇◇◇◇◇
翌日。
議会でも満場一致でスワロー男爵の罪が認められ、爵位剥奪の上、処刑されることになったとの報告があった。
議会にも彼から金を借りていた貴族たちが多くいたが、彼が捕まるとなれば手のひらを返してその余罪を訴えたのだ。
裁定の場で証言されたことに加えてこれらのことが決め手となった。
そしてただのソフィアに戻った彼女は、その身柄をユエールに戻される。スワロー男爵の甘言に乗り、有力な子息を籠絡する目的があったのだとか。
そして――エイミス伯爵家は過去の罪が暴かれ、爵位を剥奪された。悲劇の没落貴族ギレッセン家は国王の命により、その子孫により家門の復興を目指すことが定められたのだった。
駆け足なので、あとで書き足すかも知れません…!
次回、最終回です(இ௰இ`。)