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勇者達は拉致られる

私を入れた水花さん、霧島さん、中田さん、紀ノ木さんの5人は『龍の逆鱗』と待ち合わせをするために先日チーム決めをした酒場に来ている。

朝早いので他の客は全くいない。

然し、約束の時間から一時間たっても来ないので既におつまみをみんなで食べている状況だ。

霧島さんがガーリックシュリンプのような物をフォークで刺しながら話し始める。

「しかし遅いな。道中何かあったんじゃないのか?」

「それであっても対処はできると思うぞ」

「確かに最高峰の冒険者の筈だからな」

「昨日の飲み過ぎで起きれないとかはありえますか?」

「あの量じゃ流石に起きれないことはないだろう。ん?うまいな」

「おっそいなぁ。紀ノ木に見に行ってもらうとかどう?あ、結構おいしいねこれ」

「どこにいるかもわからないのに見に行けると思うのか?確かにうまいな」

「無理だねぇ」

「おいお前。二個同時に食べるんじゃない」

「あ、ばれた」

「すみません。これもうひとつください」

「焼き鳥盛り合わせですね?少々お待ち下さい」

「あ、あとこれも」

「海老の香味焼きですね。分かりました」

もう完全に食事モードに入ってる。

単なる待ち合わせだよね?

「あまり食べ過ぎると訓練で吐いちゃうかもしれないからほどほどにしたほうが、、、」

「あんな筋肉ジジイが二人もいてたまるか」

「そうだそうだ〜。あのジジイが吐かせるほど訓練させるから悪いんだ〜」

「まあそういうことでしょうね」

「うーん、、、そうなのかな?」

「そうだろうな」

「そうでもないよ」

いつの間にか私の隣にマントを着た少女が座っていた。

すでに食事まで始めている。

「へー。で、君は誰?」

「リベルテ」

「あー。昨日いなかった『龍の逆鱗』の人か」

「昨日は用事があった」

「しゃべり方が坂藤みたいだな」

「失礼ですよ。すみませんがリベルテさん、ほかのメンバーの方々は?」

「寝てると思う。彼らの活動時間は基本的に昼から始まる」

「そうなんですか?」

「ちょうどいい。男子は起こしに行って」

「じゃあ紀ノ木が適任だな」

「分かった。今からか?」

「うん」

「とりあえずそれは取っておけよ」

「よし、食べるか」

「おまえあとで殺すぞ」

「洒落にならんからやめろ暗殺者め」

「頑張って起こしてきて」

「すぐ戻る。場所はどこだ?」

「南門の近くの宿」

「分かった」

そう言って紀ノ木さんは文字通り消えた。

多分だけどスキルを全力使用して最速で言っているんだと思う。

どれだけガーリックシュリンプもどきが好きなのかがわかる本気度だ。

「紀ノ木がどれぐらいで戻ってくるのか予想しようよ」

「俺は3分にかける」

「では私は4分で」

「僕は6分だね。金切さんは?」

「2分かな」

「リベルテさんはどう思いますか?」

「うーん。戻らないよ」

「え?」

「じゃあとりあえずお休み」

リベルテさんが消えると私の意識が暗転した。









早く戻らなければあのガーリックシュリンプもどきが全て霧島に食べられてしまう。

「早くしないと」

南門の宿屋について『龍の逆鱗』のいる部屋を聞く。

店主に教えてもらった部屋に行くとベルトナール他三名がぐっすり眠っていた。

「起きろ『龍の逆鱗』」

声をかけるが全く反応しない。

側には大量の酒瓶。

飲み過ぎで寝ているだけだろう。

「起きろ!酔っ払い!」

試しに蹴ってみる。

これぐらいしないと起きない可能性が高い。

然し蹴った感触はまるで力のない肉の塊だった。

「っ!?まさか死んでいるのか?」

仮にもアダマンタイトだ。

急性アルコール中毒で死ぬはずもない。

死ぬかもしれないがそんなヤワじゃないはずだ。

首筋に触れてみると鼓動はなく何より冷たい。

「いったい何が?」

「私が殺しただけだよ」

その言葉を最後に、俺の意識は暗転した。

最後に見たのは縛られ気絶している仲間達だった。






その頃、『紅蓮疾風』と陽間、翁力院、鈴坂、坂藤、中田の7人はグルノートとの戦いがあったリスト大森林の近くまで来ていた。

「さて、本日からおまえ達を指導することになったヴァルセットだ。知っているとは思うがな」

「本日はあなた達の主武器、主属性魔法の確認と効率の良い使い方です。ではそれぞれ主武器と主属性を言っていってください」

「陽間だ。主武器は剣、主属性は火でいいのか?」

「どのようなスキルをお持ちですか?」

「炎熱操作や溶岩操作、大地獄炎化とかだ」

「では主属性は火と土ですね」

「分かった」

「では私、翁力院と申しますが主武器は大盾で、主属性は魅了・催眠・支配等の精神攻撃系統です」

「じゃあ次は私で。主武器はナイフで、、えーと主属性は音でいいのかな?」

「はい。それで結構です」

「坂藤。杖で呪術系」

「島津でーす。主武器は鞭で使い魔を使いまーす」

「挨拶が適当すぎだろ坂藤と島津」

「別にいいですよでは初めま!?」

突如として彼らを振動が襲う。

「鈴坂さん!」

「わかってるよ!聴覚強化、音波察知!」

「何か聞こえるか!」

「無理!」

「この地震のせいでしょう!」

「私が感知魔法を使います!」

「どうですか!?」

「何も見つけられません!周囲一帯に私以外の動物や魔物はいません!」

「じゃあ一体何が!」

「恐らくこの前の巨大ミミズが死んだせいで地盤沈下が起きているのでは!」

「ありえなくもないよそれ」

「案外誰かが揺らしてるかも」

「とりあえず町に避難するぞ。霧島と水花の頭を借りたい!」

「分かった!」



『その必要はないよ』


突如地面から声が響く。

周囲の地面が隆起し彼らの立っている場所はへこんでいく。

そして隆起した地面は彼らに覆いかぶさるように彼らを飲み込んで行った。







「誰かいるか?」

暗闇の中で陽間が呼びかけた。

「鈴坂いるわ」

「私もいます」

「私も大丈夫」

「僕もいるよ」

「ヴァルセットさんとシャネルさんは何処に?」

彼らの疑問に答える声は上から聞こえた。

「ここです!」

「多分だがお前達のところは崖になっている!」

「今から明かりをつけます!それから土魔法にてそこの地面を持ち上げますので注意してください!」

「分かりました!」

上12mほどに明かりがつきその後ゆっくりと地面が持ち上がっていった。

「これで全員揃ったな。しかし一体何が、、」

「敵の土魔法にて地面に引きずれこまれて隔離された可能性が高い」

「しかしよくも盛大に引きずり込んでくれたわね」

「敵の目的は一体なんでしょうか?」

「殺すならとっくに私たちは圧死しているはずです。ですので足止めが目的かと」

「少し静かにしてもらっていいか?鈴坂、今から音を立てるから周囲の様子を調べてくれ」

「了解。聴覚強化、音波察知」

陽間が靴で地面を蹴りつける。

音が反響し鈴坂が周囲の様子を確認し始める。

「多分だけどここはあのミミズの穴じゃない。かなり広いんだけど何故か四角が多い」

「ちょっと構図を描いてもらえる?」

「ええ、私たちがここにいるとするとさっきシャネルさんが私たちを持ち上げた地点から向こう側に20mほど行ったところにこう、なんか四角が多くなってる」

「これって、、」

「まさに迷路」


『せぇいかぁいでぇぇぇす!!』


突如空洞に大声が響く。


「っな!?」

「誰だ?」

『僕は誰でもいいけど今君たちのお仲間は大変みたいだよ〜!だから頑張って迷路をクリアしないと助けに行けないかもよ〜!』

「なんだと!」

『じゃあ頑張ってねぇ!そうそう、迷宮にはたくさん魔物が出るから気を付けたほうがいいよぉ〜!じゃぁねぇ〜!』

声は聞こえなくなり静寂がその場に残った。











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