魔王の領土1
また遅くなって申し訳有りません。
ちょい短めかも?
廊下に足音が響く。
だがその音はキンという鉄と鉄をぶつける音に近い。
その音の主、《魔機之女王》エクスは廊下のT路に当たり目の前に来た壁に手をかざす。
「司令機権限・解錠」
ガコンという大きな音がし、その後は地震のような大きな地響きが続いていく。
そして様々な駆動音と共に突き当たりであったところに一つの道ができた。
彼女がこの様な作業をするのはこれで15回目だ。
「ソロソロ飽キテキマシタネ。魔王ノ方々モルートグライ教エテクレテモ良カッタト思ウノデスガ、、、」
文句を言いながらも彼女は与えられた領地・『魔導機迷宮』の中を進んでいく。
この迷宮は魔物以外の全てが魔導機でできており、これは魔導機が生まれる以前からある迷宮だ。
彼女はここに入って早くも2日。
彼女は脳(とは言っても脳に当たる魔導機にだが)全てのルート・魔導機や仕組みを記憶させているがそれでもまだずべては把握しきれていない。
彼女は魔導機であり感情などないはずだが、少し憂鬱な気分になるのだった。
《死者之皇帝》エルダリンは眼下のマジックアイテムにて自分の眷属に敗北しかけている冒険者を見つめる。
「っく!なんだこの遺跡は!」
「撤退の準備をするか?」
「そうしなければまずい!」
合計20程で彼の支配する領土・『旧リンドヘルム教王国遺跡』の第九首都を攻めてきた冒険者たちは下級アンデットによる物量攻撃により大幅に数を減らしていた。
なんとか切り抜けたその先から区長レベルのアンデットによる攻撃ですでに3名まで減少。
戦闘特化の3名も凌いでいたものの疲労からか既に手遅れ、彼らが気付いたときにはアンデットにより切り刻まれていた。
各首都やリンドヘルム遺跡の中にはエルダリンが作った階級が存在する。
エルダリンを頂点とし、首長級・市長級・区長級・市民級・奴隷級の6段階となっており、スケルトンやゾンビなど下級アンデットは奴隷級となっている。
「ここ最近ゴミどもが入ってくることが多いのう。しかしこちらとしては眷属が増えるだけだがまあよしとするか」
この『旧リンドヘルム教王国遺跡』は人間の大陸と魔大陸の最南端の接合部分に位置しており対魔評議会外の国家の集まりが近くに位置している。
その為、武功や冒険者組合での仕事を目当てに遺跡への侵入者が絶えない。
入ったものに容赦はなし。
彼が魔王になって以降侵入者の一人として返してはおらず人間国家からは『帰らずの遺跡』と呼ばれている。
彼はゴミどもが区長級アンデットの眷属増幅の効果によりアンデットになったことに満足し、マジックアイテムへの魔力供給を閉じた。
《地底王》ロック・バルレットの支配領域は魔大陸地下にある広大な洞窟である。
高純度の魔力を内蔵した魔結晶や魔力を回復することのできる魔力が濃縮された水である魔水など豊富な資源が多くある。
しかし彼は周囲に住む魔族に資源の採掘や採取を許可しておらずその理由は誰にも聞かされていない。
《地底王》ロック・バルレットの能力は魔人形などの製作に特化している。
もちろん本人も周囲の地面や岩、自然を利用した攻撃が得意だが通用するのは魔王配下で言えば側近級の魔族までであろう。
彼は用心深い。
基本的に他人を信用していないのだ。
だからこそ彼は自身の能力で自分に従順な兵士を作り出している。
最下級であり使い捨ての魔人形
少し強度と戦闘能力が増す魔装兵
この二つは主に岩石で作られている。
ゴーレムの完成度は素材によるところが大きい。
岩のゴーレムと鉄のゴーレムでは桁が違くなる。
中級であり下位魔族と互角程度の鋼鉄魔装兵
さらに上の銀鉱魔装兵
そのさらに上、中位魔族と互角程度の金鉱魔装兵
これまでで常備戦力。
上位の魔族と互角であり魔法やスキルすら使いこなす金剛魔装兵
そして魔王級の力を持つ彼の片腕。
彼が唯一信頼する側近でありこの世に一体しか存在しないゴーレム
その名は魔王装兵。
ミスリルやオリハルコン、アダマンタイトの超希少金属を大量に使った最強のゴーレム。
そもそもアイアンナイトゴーレム異常のゴーレムには指定鉱石以外のコストもあり、魔結晶や魔水などが必要とされる。
デモンゴーレムは他のゴーレムとは違いあるで人の様な出で立ちである。
ゴーレムは基本的に顔もないただの人形。
ナイトゴーレム以上は鎧の様な出で立ちでありダイヤモンドナイトゴーレムはスキルや攻撃方法により形態が異なる。
だが、それでも人には程遠い。
それなのにこのデモンゴーレムのみは完全に人の形をしている。
人の街に潜り込んでも怪しまれずに過ごすことができるほど人なのだ。
一人黙々と金鉱魔装兵を作り続ける《地底王》に、魔王装兵は話しかけた。
「ねぇロック。どうしてあなたはそれほど自身での戦闘を嫌うの?」
「俺のスキルが基本的に戦闘向きではないからだ」
「それ以外に理由もあるでしょう?」
「、、、どうだろうな」
「あなたがそういう時は大体なにかがあるのよ」
「っは、わかってるじゃないか」
「私は作られた時からそれを聞いている。何度も何度も。どうして答えてくれないの?」
「いうわけがないだろう」
「知っているわ。でもね、“人”どうしちゃんと話し合わないかしら?」
「ことわる」
「それに、作られた時から疑問なのだけれど何故あなたは私を女として作ったの?」
「、、、、、もう喋るな」
彼はスキルの中の能力の一つ、『製作者権限』という自身の眷属に対して命令を絶対的な効力を発するものに変えるものにて彼女を黙らせた。
彼は素材を変え、今度は金剛魔装兵の製作に取り掛かった。




