対魔評議会3・大混乱
短めです
魔王会談が開かれ対魔評議会が再開してから早くも2時間が経過しようとしていた。
議題は魔王軍に対する対処である。
「通常は魔王軍の周りを包囲し撃退するのが基本だが、ここで一つ問題がある。
「その問題とは?」
「魔王の支配している各領土は対魔評議会が行われている大陸とは別の大陸にあり、北王国アイシアンはその大陸と魔の海域と呼ばれるどのような船でも沈む海を挟んで隣だった、これは当然皆さんもご存知でしょう?つまり魔王軍は魔の海域を超えてアイシアンに攻め入ったということになる。そして、決して冒涜し、侮るわけではないが、魔王軍を魔の海域に追い詰める戦力は七大国が総力をあげてもあまりにも頼りなく、逆に魔の海域を利用され大量の援軍が来る可能性がある」
「なるほど。それで?対処方法は?」
「勇者のみを戦場に送り出し我々がサポートするとか?」
「いや。そんなものは上位魔族の前では無意味になる」
「では?」
「勇者たちにはアダマンタイト級冒険者とともに訓練をしある程度強くなったと判断したら魔法使いの飛行魔法でアイシアンまで飛んで行ってもらい首都を奪還する。その間は陽動としてアダマンタイト級冒険者達を主軸に連合軍を作成し魔物どもと交戦する。議長、採否をとってください」
「では、議会書記のギルバートの案を採用するかどうかの採否を取る!賛成のものは立ち上がって欲しい!!」
議長の掛け声とともに多くの大使が立ち上がる。
その数は9割を軽く超えこの作戦を採用するには十分な結果だった。
「過半数を超えたのでこの案は可決されました。アゼリア王国に質問があります。現在異界の勇者達はどこへ?」
「ベルロンに向かわせております。確か『紅蓮疾風』の方々のホームはノーミリズ王国の最東でしたよね?」
「なるほど。こうなることを予想していたのですか。確かにそちらの方が早く着くことになるでしょう」
「ではその方向で、、、
「失礼します!!!」
会議場の扉が開きガリンの騎士団長をやっている騎士が駆け足で入ってくる。
議長の前で跪いた騎士団長が議長に何かを伝える。
それを聞いた途端議長の顔が驚愕に染まる。
信じたくないと言う表情とともに彼は大使達に顔を向ける。
「新たなる魔王が誕生しました!!」
騒然となる会議場。
騒ぎは大きくなり最早議長や各委員では招集がつかなくなっていた。
だがそこに、、、、
「新たなる魔王が誕生しました!!新たなる魔王が誕生しました!!!」
同じ言葉を全力で連呼する騎士団長。
あまりの異様さに評議会は静まった。
「新たなる魔王が誕生しました!新た、なる魔王、が誕生、しました!ガ、ガガ、、ガ、、、、新ナル魔王ガ誕生シマシタ」
騎士団長の声はだんだんと無機質な機械的なものへと変わっていった。
「き、君?どうしたんだ?」
どこからともなく何かの起動音が聞こえ始める。
その音は騎士団長から発せられていた。
そして、騎士団長の鎧が駆動音と振動音を発し遂に騎士団長の顔が機械に覆われた。
「ドウモ、対魔評議会ノ途中ニ申シ訳アリマセン。新タニ魔王トシテ君臨スルコトトナッタ《魔機之女王》エクストイウモノデス。タダシコレハコノ方ノ体ニ魔導機ヲ張リ巡ラシ通信ヲシテイルノデコノ方ハモウ助カリマセンシコノ方ヲ殺シタトシテモ本体ハ死ニマセン」
「ま、魔王だと!?くそ!どうなっている!警備のものはまだか!」
「すみません団長!!覚悟ぉぉぉぉ!!!」
警備兵の一人が飛びかかる。
だが騎士団長の手から伸びた刃により串刺しにされ警備兵は絶命した。
「う、うわぁぁぁぁ!!!!」
「くそぉ!どうしてこんなことに!」
「満ちる魔力よ!我を守れ!」
混乱で騒ぐもの、状況を理解しようと俯くもの、魔法道具で防御魔法をかけるもの、そんな状況の中騎士団長を支配した魔王エクスが言葉を発した。
「皆サンニ危害ヲ加エルツモリハアリマセン。私ハコレデ失礼シマス」
騎士団長の体が何かが蒸発する音と共に崩れていき、新たなる魔王エクスは去っていった。
だが会場は大混乱に陥り、最早対魔評議会は続けられる常態ではなかった。




