魔王達
何処かの黒い城に一人の男が入っていく。
門番や衛兵はその男を見た瞬間跪き道を開けた。
その男の名は《獣魔王》エレファ。
12いる魔王の中の一柱であり、象の獣人である。
我が物のように城の中を進み一つの大きな扉の前にやってくる。
扉はひとりでに開き、エレファと中の人物を引き合わせる。
「魔王エレファ様がご到着されました」
メイドの凛々しい声とともに王座にいたもう一柱の魔王が立ち上がる。
「よく来たなエレファ。100年ぶりか」
「そうだな。正確に言えば116年ぶりだ。して、《鬼王》ベルド。私を呼び寄せた理由はなんだ」
そう。
魔王エレファを呼んだこの魔王こそが鬼人族の魔王、《鬼王》ベルドである。
「200年ぶりに魔王会談が開かれることになったらしい」
「なんだと!?それで、主催者は誰だ?『原初』や『三魔』の方々ではあるまいな?」
「流石にそれはないな。聞いて驚け、《弱喰王》ギャラだとよ」
「あやつか。最近人間の国に進行しようとしているとは聞いたが」
「ここからが本題だ。人間ども、異界の勇者を召還したらしい」
「なんだと!?」
予想通りの反応だ、と鬼王は笑う。
そう、獣魔王はかつて異界の勇者に瀕死寸前まで追い込まれたことがある。
両者の力は拮抗しどちらも限界に近かったのだがそこで現れたのが『三魔』に次ぐ実力を持つ魔王、第三世代と呼ばれ、はたまた『四帝』と呼ばれる四柱の魔王が一柱『植物之皇帝』であった。
圧倒的な力で異界の勇者を蹂躙した『植物之皇帝』の力を目の当たりにしエレファは自身より上位者である第三世代以上の魔王を敬っているのだ。
「それで、ギャラはどうするつもりなんだ?」
「わからん。我らに協力を取り付けるつもりなのかも知れんが、、その前にもう一人の客も来たようだな」
鬼王が指差した先には、彼らと同じ比較的新しい魔王である《地底王》ロック・バルレットがそこにはいた。
彼の外見は青年のようにも見えるが何故か年齢を重ねた老獪な人物にも見えるという姿だった。
「面白そうな話だな」
「ふむ。魔人形か。そうしなくても『魔王間不戦協定』がある以上攻撃などせぬよ」
「用心に越したことはないからな。それで?ギャラがまたバカを?」
「やつは我々の中でも最弱だ。少し焦っているのかもしれないな」
「質問だ鬼王よ。今回の会談、『三魔』や『四帝』は来ると思うか?」
「ふむ、『四帝』の中でも人と交流がある《淫魔之女帝》などは反対をしに来るかもしれないな」
「しかし彼の方は損得感情が強いお方、協力して人間を支配し利益を得ようとするかもしれん、、、」
「まあそれもそうだな」
「案外、《死者之皇帝》が協力するかもしれないぞ」
「まあ、俺は今回の魔王会談が楽しみだ。来るだろ?」
「もちろんな」
「当たり前だ」
そこで三柱は解散し、それぞれが統治する地へ戻っていった。
その頃、
雲の上に浮かぶ天空の城にて、
その城の主は客を待っていた。
彼の名は《天空之皇帝》フェウリングである。
彼がいるのは自身の城の大広間。
彼の背中には4対の黒い翼が生えており静かに動いていない。
扉が開き身体に植物を纏わせた人物が入ってくる。
これこそが《獣魔王》エレファを助けた『四帝』が一柱、
《植物之皇帝》ラフレントであった。
「呼んだ理由はわかっている。どうせ次の魔王会談のことだろう」
「正解だよ。発起人がギャラであるということも気になってさ」
「未だにキングと呼ばれない雑魚か」
「はは、彼は急激に強くなるタイプだからね。そしてお二方も到着だ」
再度扉が開き二柱の魔王が入ってくる。
《淫魔之女帝》リルミルスと《死者之皇帝》エルダリンである。
「ッチ、なんでこんな売女と一所に入らねばならんのじゃ」
「そんな怒らんでくんなまし。ひとつ試していきます?お代は魂ということで」
「試す性器などとうの昔に朽ち果てたわい!そもそもわしはアンデットじゃ!」
《淫魔之女帝》リルミルスはその豊満な胸を腕で持ち上げ男を誘惑する。
彼女は美しき女性であり惚れない男はいないと呼ばれるまでのサキュバスである。
そして《死者之皇帝》エルダリンはスケルトンのような外見をした魔物。
だがその力はスケルトンなどという下級のアンデットの比ではなく、そこから漏れでる死のオーラはラフレントの植物を枯らした。
「またこいつを呼んだのか?こいつのせいで多くの眷属が死ぬ。いちいち成長させるのも楽ではないというのに」
「知るか。それで?どうして魔王会談ごときでわしらを呼んだ?ギャラがどうせ人間の国を襲うだけだろう?異界の勇者を召還されたらしいが、そんなもの返り討ちにすれば良いというだけよ」
「私は反対ですよ?あの国はそれなりの利益を生みますんで」
「まあ、まあ落ち着いて。二人の意見はもっともだ。でも僕としては静観でいいと思うんだ」
「なぜだ?もしギャラがやられた場合勇者どもはどこまで進んでくると思う?増長し我々にまで攻めてくるかもしれんぞ?」
「僕の眷属からの映像を見せるよ」
フェウリングは服の中から一つの鏡を取り出した。
その鏡の中には勇者たちの模擬戦が映し出されていた。
フェウリングの眷属は鳥類や鳥型の魔物である。
フェウリングは眷属の目を通して状況を観察することが出来るのだ。
「ふむ、なんとも貧弱よのぉ」
「王級スキルが2名しかいないなんておかしいわねぇ」
「この程度ならギャラでも蹂躙できるな」
「だよね。昔から異界の勇者は強かったけどこんなに弱いのも初めてだよ」
「魔王会談には行くとしよう。で?いつだったけか?」
「一週間後さ」
「ではわしも帰るぞ。我が遺跡にまた“冒険者”共が入ってきたようでな」
「私もそろそろ商談があるんで帰らせていたきます」
「女狐め」
「骨の男は持てませんよ?」
三柱は大広間にある転移魔法陣にて帰って行った。
誰もいなくなった大広間でフェウリングはほくそ笑む。
「今回は、『三魔』も来るかもしれないな」




