死
巨大な黒い魔法陣が竜の里上空に浮かぶ。
その魔法陣の中央には三人の男女。
前竜王であり天災と呼ばれる神。
『聖魔竜』:ルークス・デルガルダ・ノール=デルロ
吸血鬼の姫ででありながら竜王と結ばれた神。
『吸血妃』:カルナ・デルガルダ・ネクロス
『吸血妃』の妹であり様々な呪術を使う神。
『呪艶妃』:ヴァレンティーナ・ネクロス
魔法陣の中心にはヴァレンティーナが『竜魔王』:ダスター・デルガルダ・ノール=ビリタから奪い取った『始祖竜の大王』が封じ込められている試験管が回転しており異常な力が発せられている。
その下の宮殿では未だ覚醒はしていないものの『聖魔竜』より格上の『吸血竜』に至る可能性を秘めている男と『始まりの勇者』である女が戦いを行っている。
『始まりの勇者』は既に二回死んでおり残る九滅魂は7個となっている。
「もうすぐね」
「ああ。もうすぐだ」
「“あの方の復活”に必要なものは三柱の神の血・始祖竜の大王の力・神に成りし者が放出するエネルギー、そして『強き‘人’の魂』」
「勇者を殺させることで神に至らせそこから放出されるエネルギーを使い、勇者の魂も使う。素晴らしいな」
「もう一回死んだわね」
三人の上に数名の男女が舞い降りる。
下の男と同じ種類のコートを着ており鋭い眼光は三人を睨みつけている。
「『神炎』のベルニクルに『鉱神』のベルミリアム。それに『風神』のミシュリアムか」
「残念でしたね。もうすぐ儀式は完成しあの方が復活する」
「指をくわえて見ていればいいのよあなたたちは」
「悪神の信望者にかける慈悲はない!」
全てを焼き尽くす焔が三人に襲いかかる。
「ベルミア」
呪術の結界が焔を防ぐ。
「鉱石の憤怒!」
地面から異常な数の鉱石によって形成された槍が飛んでくる。
一つ一つが時空を切り裂く威力であり全てを殺す一撃であった。
神でさえなければ。
「聖魔崩壊」
全ての槍が崩れる。
「断絶の風刃!」
「死ね。聖魔豪砲」
聖素と魔素が超光速で振動する衝撃波が『風神』を襲う。
「がはぁ!」
「先輩!?」
「よそ見をするな。聖魔刺裂」
聖素と魔素の混合物により構成された棘が『鉱神』を襲う。
刺さった棘は体内で炸裂し肉をかき乱す。
「ぎゃあぁぁぁ!!」
「中位神ごときが図にのるな。俺たちを倒したいのなら最高位神ぐらいを呼び寄せておけ」
『風神』は体内をミンチにさせられ、『鉱神』は身体中の筋肉をズタボロに引き裂かれた。
死んではいないものの両方とも回復手段を持っていないので再生は異常なほど遅い。
「これで2柱が戦闘不能。お前だけだな『神炎』」
「このままでは負けるな」
「ああそうだ。諦めて悪神様の復活をそこで見ているがいい」
「断っ!?」
突如地響きが発生し周囲が揺れる。
轟音が大きくなるとともに魔法陣が光り出す。
「な!?貴様!」
「儀式はほぼ全て終了した。後は下のやつらがどうするかだな」
後、一回。
「アスクゥゥゥゥ!!!」
「死斬」
「ギャァァァァァァ!!!」
自分の声が恐ろしいほど小さい。
今何回目だっけ?
ああ、まだ3回目だ。
上の方に『神炎』のベルニクルがやってくる。
おそらく上で行われている儀式を止めるためだろう。
何をやっているかは俺には関係のないことだろう。
光に包まれたネルは無傷の状態に戻り魔力も全て回復した。
彼女は死ぬたびに自我を失っていっている。
「アスグゥゥゥゥゥ!!」
知性の欠片も感じられない大ぶりな一撃。
だがその一撃には俺が死ぬだけの威力が込められていた。
時間が停止しネルの腹に刃が突き立てられる。
「後6回」
「ぐはぁ!アスクゥゥ!」
ザシュ!!
「後5回」
「ギビャ!?」
ブシュ!
「あとっ4回!」
「ア、ズグゥゥゥ」
ビシャ!
「あ、と、さんかい」
「ギ、、」
シュ!
「に、かっい!」
「ガ、、、」
ザク!!
「すまない。ネル」
勇者は死んだ。
悲しみによって神災は覚醒し、破滅が蘇ることになる。




