狂った勇者
体が動かなくなる。
背後から歩いてきた奴は俺に束縛の魔法をかけたようだ。
そんなことをできる魔法使いは俺の知る中に一人しかいない。
「それで、ネルは返してもらえるんだろうな?」
後ろの女にそう言うと鼻で笑ったような声が聞こえてきた。
その直後俺の目の前に一人の男が宮殿の屋根を突き破って入ってきた。
衝撃で地面が陥没し瓦礫の粉が周囲に舞う。
「あら?義兄さんじゃない」
「それで?ダスターは死んだのだろう?」
「そうよ。うまくそこのハーフくん。いえ義兄さんの息子が動いてくれたわ」
「竜族に劣る種族では殺せず竜族に絶対的な支配能力を持つこの愚弟を殺したこと感謝するぞ我が息子よ」
ルークスがこちらに来る。
腰にはこの世のものとは思えないほど強力な魔剣がありその魔剣からはどす黒い瘴気が溢れ出ていた。
俺と王座近くにいる女、恐らくカルナの妹との間に大きな麻袋が置かれる。
その麻袋の中身から出される魔力と気配はネルと一致していた。
「そうね。よくやってくれたわ」
後ろにいた女が俺の目の前に現れる。
その女、カルナは麻袋の口を炎で燃やした。
中からネルが出てくる。
生きてはいるようだが手足は焼けただれ凍りつき腐っていた。
怒りが湧いてくる。
「そう睨まないでちょうだい。はい。返すわ」
何かの魔法がネルを包み手足が治っていく。
それと同時にネル自体が一瞬ピンク色に光り起き上がる
「はい、頑張ってね?」
俺にかけられていた束縛の魔法が解除されると同時にネアが狂気に満ちた目でこちらを見た。
「会いたかったヨォォォォ!!アスクゥゥゥゥゥ!!!!」
ネルの持つ剣が俺に向かって投げられた。
ネルの剣と俺の剣、ネルの刀と俺の刀が打ち合う。
接触するたびに両者の刃は削れ、潰れ、切断されていく。
「九連斬撃ィィィ!!!」
「っ!?時空断裂!」
九つの時空すら切り裂く飛ぶ斬撃が時と空間を切り裂いた盾にて防がれる。
「ネル!どうしたんだ!アスクだ!」
「アスクゥゥゥゥゥ!!」
「俺はお前と戦いたくっ!?」
「千撃ィィィ!!」
「瞬間転移!」
千以上の斬撃が瞬時に放たれて宮殿の壁を跡形もなく切り裂く。
不意に神級鑑定が発動しネルのステータスが見える。
_______________
ネル・カネル
称号『始まりの勇者』『愛に狂う者』
15歳
人族
スキル:剣神
剣神:身体強化・武具強化・絶対切断・時空切断・防御貫通・巧妙剣刀術
称号スキル:『始まりの勇者』
聖剣・聖刀召喚
魔王対峙時攻撃力倍増
九滅魂
『愛に狂う者』
愛狂い〔暴走中〕
_______________
愛狂い?
なんだよこれ
どうしてだよ
なんでそうなっちまったんだ?
ネルとルークスたちを合わせたのが悪かったのか?
そもそも俺が王都を出なければ済んだ話じゃないか
俺が魔王だとしてもネルなら受け入れてくれてくれたかもしれないじゃないか
神理究明が発動する。
_______________
ネル・カネル
称号『始まりの勇者』『愛に狂う者』
15歳
人族
スキル:剣神
剣神:身体強化・武具強化・絶対切断・時空切断・防御貫通・巧妙剣刀術
称号スキル:『始まりの勇者』
聖剣・聖刀召喚
=魔剣・魔刀と対をなす神聖な武器。魔物では触れただけで消滅する
魔王対峙時攻撃力倍増
=魔王と戦闘になった際に攻撃力や性能が1000倍になる
九滅魂
=九回復活できる。一つ使用することで全てを浄化して殺す一刀を放てる
『愛に狂う者』
愛狂い〔暴走中〕
=愛している対象に執着しついていく以外の選択肢が思考より排除される
暴走した場合愛している対象に殺されるまで愛している対象を殺すまで
永遠に苦しみながら生き続ける
_______________
ははは。
こんなの
俺がネルを殺す以外に
選択肢がねえじゃねえか




