人質
『闘争祭本戦二日目の開幕だぁ!!』
掛け声とともに本戦二日目の開始が宣言される。
俺は本戦二日目が開始すると同時にネルとサタロカを連れて闘技場の裏に来ていた。
サキとリリネとデルマティは留守番である。
「アスク殿下。このようなところに何か用事でも?」
「まず全員手をつないで」
「いいけど何するの?」
「それはおたのしみ」
サタロカはなぜか恐れ多いみたいな事を言っていたけど強制的につないだ。
「行くぞ。『空間転移』」
一瞬で景色が移り変わり懐かしき吾が家に到着する。
「え?なにしたの!?え!?えぇぇ!?」
「そういえばこんなのもありましたよね」
「さすがはアスク殿下です!感服いたしました!」
「その殿下って止めてくれる?」
騒いでいると突然ドアがバターンと開きヒードが猛スピードで突っ込んできた。
涙目になってる。
三つの頭から全て滝のように涙(腐万毒弱)が流れ出し周囲を異臭で包んだ。
「何かあったのか?」
「ひーちゃん!どこ、、って!アスク!?」
「なに!?アスクだと!?サタロカもいるではないか!」
父さんと母さんが出てきて俺に飛びついてきた。
「アスクがでかくなってるぅ」
「久しぶりなんだから家に入れ」
「ルークス・デルガルダ・ノール=デルロ陛下。サタロカでございます。お元気なようで幸いです」
いや父さんてそんな長い名前だったの!?
つまり俺の名前もこのくらい長いってこと?
「久しぶりだなサタロカ。おまえも家の中に入れ」
「ありがとうございます!」
ニヤァ
だが俺はこの時点で両親である父さんと母さんを疑ってもいなっかたのが悪かったのだろう。
それから知る羽目になる。
彼らにとって俺は王座への帰還のための道具に過ぎないという事を。
「ネルさん?ちょっといい?」
アスクの母親、カルナさんに呼び止められ意識を傾ける。
「ネルでいいですよ。何ですか?」
「ちょっと来て欲しいところがあるの。ついてきて」
カルナさんに引っ張られ玄関の奥、大きな階段の裏手につれ込まれる。
「入って」
石の壁が奥へと動き出し地下へと続く階段が姿を表す。
「え?」
「入って」
「分かりました」
カルナさんは私を奥へ押しながら進んで行く。
行き着いた先は大きな広間でこちらに背を向けている椅子がポツンとあるだけで他には何もなかった。
「連れてきたか?」
「ええ」
先ほど通ってきた階段からルークス前竜王がこちらに向かってくる。
そのまま私の横を通り過ぎ広間の中心に立った。
「ネル・カネル。そこの椅子に座れ」
「嫌です」
ここまで来て怪しまないものはいないだろう。
「何をするおつもりですか?」
「話をしたいと思ってな」
「私のほうがあなたたちより強いですよ?」
「ほう?」
「アスクは例外ですが大抵のものなら私はこの刀で倒せます。不死の魔物もね」
「それがどうした?実力差がわからない愚か者ではないだろう?」
後ろからカルナさんの魔法が飛んできた。
私はそれを避け警戒を強める。
壁に着弾した魔法は流石王級スキルというべきかかなりの威力だった。
ただ王級スキルでは私には勝てない。
アスクの話ではルークス前竜王は剣を使うはず。
なぜ構えない?
「こちらから行かせてもらいますね」
ネルの神級スキルによって強化された身体能力と絶対の斬撃によりルークスの腕は切り落とされた。
ように見えた。
バァキィン!!!
「っな!?」
「甘いな。斬撃が通らなければ殺せはしないだろう?」
アスクからもらった刀が折れた!?
「動揺している場合か?」
「は!?」
ルークスの蹴りによってネルの脇腹の骨はどれがどのパーツだかわからないほど砕け散りそのまま壁に衝突した。
「ぐはぁ!」
「私を忘れられても困るわよ?」
カルナが大多数の魔法を展開する。
その魔法一つ一つが神級スキルに並ぶ、いや神級スキルを凌駕した威力となっていた。
様々な属性の魔法がネルの逃亡がないように足を襲い、ネルの足は氷結・火傷・腐食によって使いものにならなくなってしまっていた。
「さて、ネル・カネル。貴様は人質だ」
「ひ、と、、じち?」
「俺があの小僧をうまく使うためのな」
圧倒的な実力差。
それの意味がネルにはようやくわかったのだ。
ルークスとカルナはあの、魔物と同じ、いやそれ以上の神炎のベルニクルと同じの真の意味での神だと。
「そろそろ寝てくれるかしら?足は直しておいてあげるから」
そう言カルナはネルに睡眠の吸血を施しネルの意識は閉じた。
いろいろ聞いてきたサタロカの質問に答え答えやっとの事で解放された。
部屋を出て久しぶりの家を歩き回る。
ふと異変に気付いた。
この家から父さんと母さん。
そしてネルが消えているのだ。
空間掌握でも何も掴めず誰もいない。
「お〜い!だれか〜!」
呼んでも返事が無い。
次第に心拍数と不安が増していき探す速度が速くなっていく。
「ここよ」
不意に呼び止められ階段の方を向く。
ちょうど玄関まで来ていた。
階段の後ろから母さんが姿を現した。
吸血族の特徴の尖った犬歯に血をしたらせて。
吸血族の本能だろうか?
その血が誰のものかがすぐにわかった。
「母さん、ネルに何をした、、」




