化け物
その夜は宴が開かれた。
いわゆる俺の歓迎会だそうだ。
そこで俺の強さの話になった。
「あなたはどれくらい強いのですか?」
まさかここで神級スキル保持者だとは言えない。
「一応それなりですが、、」
「それなりなわけないじゃないか。あのスピード見たろう?」
「見れなかったから見てないさ。」
「「うんうん。」」
子供を助けようとした時に飛んだと同時に子供が手から落ちてしまったので“それなり”の速度で助けた。
その速度でも俺を認識できなかったそうだ。
「ふ、普通ですよ?」
「お前さん見たいのが普通の魔族だったらこの世界化け物ぞろいになっちまう。」
「それはいいんですがそろそろ仕事の話を。」
「それは私から話そう。こちらに来てくれ。」
野太い声が聞こえて来る。
その人に連れられ一つのテントに入る。
「先ほどはありがとう。私がこの集落の長のものだ。」
人間でいうと50代ぐらいの男でかなりのイケメンだ。
ちなみにオーガは魔物なので名前はない。
たえ婆と言う老婆は昔はある男の使い魔だったらしいがその男が亡くなったため30年前、集落に戻ってきたそうだ。
「暴れ出したのは私の息子だったものだ。」
「だった?」
「我々には破壊衝動に負け暴れたものは我が集落のものではなくなる掟がある。」
少し悔しそうな顔で村長は話してく。
暴れ出した者は集落を少し破壊した後ダンジョンに入っていったらしい。
最近わかったことだがダンジョンにも幾つかタイプがある。
洞窟の中が変形して階層がある迷宮と化した迷宮型。
また、ドーム状に変形して試合のように魔物が出てくるドーム型。
そして洞窟の原型を残したままになっていて魔物が巣を幾つか作っている通路型。
さらに竜の森のようにダンジョンではないが強力な魔物が出て生態ピラミッドができているフィールド型なんて言う物もある。
「ダンジョンに入っていったのなら害はないはず。なぜ討伐しようと?
それに知性を失った同種ならあなた方の方が強いはずだ。」
「週に三日ほど別の魔物の叫び声や悲鳴が崖に響くのだ。」
「二つ目の質問に答えていただきたい。」
「それは、、」
「私が話しますよ。」
「たえ婆、、すまぬ。」
「実はね、暴れ出したやつは何回も破壊衝動を抑えてハイオーガになってるのさ。
そんなのが暴れ出したらただのオーガである私たちはひとたまりもない。」
「分かりました。明日には出かけます。」
「頼む、」
「仕事ですから。」
長のテントを出て止まるように言われたテントに入る。
宴は俺が長のテントを出ると同時に終了したらしい。
ハイオーガは知性がなくともBランクとAランクの中間ぐらいの強さがある。
サキであるならば勝てるだろうがリリネだとギリギリで負けるだろう。
あ、サキたちに伝えるの忘れてた。
「アスク様はどこ行ったのでしょう?」
「依頼にでも行ったんじゃない?」
「それが一番可能性が高いですが私たちを置いていくなんて、、」
突如部屋の中に黒い裂け目が現れる。
サキがめっちゃくちゃ喜んでいる。
中から紙が出てきて裂け目は閉じる。
中を見ると依頼で遅くなると書いてあった。
「置いてったわけではないのですね。安心しました。」
それ依頼受けた後忘れられてた可能性があるんですけど、、、
寝よう。昨日夜更かししすぎて眠い。
翌日、、、、
ダンジョンは不気味なオーラを放っていた。
中に入ると魔力が濃くなって行く。
このダンジョンは通路型なので壊してしまうと落盤する可能性が高い。
一からやるしかないのだ。
さらに奥に行くと、蹂躙されたウッドウルフの死骸が散乱している。
ウッドウルフはBランクの魔物だが抵抗も虚しく死んでいる。
Aランクは確実にあるだろう。
死臭が充満する巣を出て次の巣へと向かう。
しかしそこはこの世の地獄でもあるような光景だった。
Aランクの魔物だけではない、Sランクの魔物までも一撃で死んでいたのだ。
Sランクの魔物はスキルのレベルで優劣が決まる。
おそらくこの魔物は兵級であろう。
一体だけなら納得できる。
この魔物は体の大きさはSランクにしてはそこまで大きくなく人間の子供の大きさなのだから。
それが数えるに500体。
Aランクも含めると800体。
そんな数がいればクロウタイガーぐらい物量でどうにかできるだろう。
しかしそれが骸となり床一面に散らばっている。
異常事態だ。
そしてさらに奥がある。
通路型は奥に行くほど魔物が強くなっていく。
ここはAランクの巣だったのだろう。
つまりこのSランクは奥の奥からやってきた。
さらに奥に進むととうとう再奥に到達する。
巨大な部屋。
その大きさは前世で言う東京ディ◯ミーラ◯ド20個分に相当するだろう。
その中にメタルドラゴンの死骸がゴミのように散らばっている。
その数は数えきれるものじゃない。
真ん中には死骸でできた塔ができておりその頂上に一体の魔物が鎮座している。
魔物は来訪者を歓迎するかのように叫んだ。
その姿はウルツァイトドラゴンの数倍にも及ぶ威圧を放っていた。




