薬品好きは森を抜ける
馬車から見えるのは鬱蒼とした森とそれを横に通って行く旅人たち。
「もう少しで第一門です。ここからは森を抜けて平原に入ります。」
御者の人がそう言うと間もなく通行許可待ちの行列に引っかかる。
「あと5分ぐらいでしょうな。近衞騎士の方を待たせるのは申し訳ないのですが
何故、馬車というものはこういうものでして、、。」
「そんなことはわかっているよ。大丈夫だ。」
「それにしても通り門が多いですね。」
「この道は森の方から通り門を抜けられてしまうんですが
それを防ぐために第一門だけは森に沿って壁が立っているんですよ。
第一門を抜けるには、合計14ある交通許可書を持っていなければいけないのです。」
「そろそろですよ。」
門兵に許可を取るとすんなり通された。
近衞騎士、実はかなりの権力を持っているんじゃないだろうか、、。
門を潜るとそこには、、、、
どこまでも広がる平原があった。
「ルデルアーさん。」
「なんですか?」
「広すぎませんか?」
「ここから王都ま100キロはありますよ。途中に休憩用の町がいくつかありますから、そちらによります。」
「なんていう平原ですか?」
「ワイド平原です。ちなみに平原の中腹に行くと、森から流れてきた魔物がちらほらいますよ。」
「どんなやつですか?」
「一番強いので、Aランクのソイルサラマンダーですよ。
Sランク臣級を日頃から狩っている貴方からしたらクズでしょうね。」
「あはははは、、」
こう答えるしかなかろう。人にとってはAランクでもかなりの脅威なのだ。
「魔物が出てきたらお願いしますよ近衞騎士様?」
「わかりました。雑魚は引き受けましょう。」
「「あっははははは」」
休憩町、それは魔境と呼ばれ冒険者たちには欠かせない狩場竜の森に、
近く冒険者の町といっても過言ではない場所である。
その竜の森に一番近い町。
第一ワイド町。
その一室で一人の貴族が声を荒げていた。
「ええい!まだなのか!ソイルサラマンダーを狩れとの国王陛下のお達しだぞ!」
「我が領土の兵では太刀打ちできません!凄腕の冒険者を雇った方がよろしいかと!」
「それだと高くつくだろう!なんとかしろ!さもなくば貴様の家族の命はないと思え!」
「っ!御意。」
ギィと閉まるドアを眺めながら部下の男は思い出す。
「奴があんなこと言わなければ、、」
奴とは先ほどの貴族、ルーディ・カルンコア男爵のことである。
ルーディ・カルンコアは先日の謁見で、
「私の兵が、ソイルサラマンダーを打ち取ってみましょう」
と全王国貴族の前で豪語したのである。
もちろんカルンコア男爵はサラマンダーをなめきっていたし、
討伐した後、子爵になれると思い込んでいたのだ。
「どうにかしなければ、、。」
今日も彼の苦悩は続く。




